山田行政書士事務所

プライム市場上場企業において、企業法務として10年以上の経験を有する。 その経験を活か…

山田行政書士事務所

プライム市場上場企業において、企業法務として10年以上の経験を有する。 その経験を活かし、2023年に行政書士として登録し、副業として契約審査専門の行政書士として活動を開始。

マガジン

  • 秘密保持契約書の審査マニュアル

    BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、秘密保持契約書の審査マニュアルを作成する。 <対象者> ・企業法務(若手):秘密保持契約の理解を助ける ・企業法務(中堅):秘密保持契約の再確認 ・行政書士(契約審査業務経験が浅い方):秘密保持契約の理解を助ける ・事業部への教育:事業部への説明に役立てる

  • 会社法まとめノート

    法律知識を暗記するにも、 理由を知った方が暗記しやすいと思います。 ところが、私が会社法を勉強した際に、1冊だけで、 痒い所に手が届くというものがありませんでした。 それならば、自分用に 会社法まとめノートを作成しようと思い至りました。 このように、基本的には自分用ではありますが、 誰かの勉強の参考になれば幸いです。

記事一覧

秘密保持契約書の審査マニュアル④(前文①:契約当事者)

BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、自分のために又は企業法務に配属されたばかりの方向けに秘密保持契約書の審…

秘密保持契約書の審査マニュアル③(表題)

BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、自分のために又は企業法務に配属されたばかりの方向けに秘密保持契約書の審…

秘密保持契約書の審査マニュアル②(前提知識②)

BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、自分のために又は企業法務に配属されたばかりの方向けに秘密保持契約書の審…

秘密保持契約書の審査マニュアル①(前提知識①)

BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、自分のために又は企業法務に配属されたばかりの方向けに秘密保持契約書の審…

「トラブル事例でわかるアライアンス契約を読んで

「トラブル事例でわかるアライアンス契約」を読んで、自分が理解した部分を簡単にまとめます(自分のフィルターを通して記載するので、正確性は保証しません。正確な情報を…

今さら聞けない『契約の基礎①』「覚書は、契約書ではない?」

あなたは、後輩に『「覚書」は、契約書じゃないのでしょうか?』と聞かれたとき、きちんと答えられるだろうか。 はじめに 法律上、契約書の表題(タイトル)についてルー…

顧客紹介契約の注意点(委託者側)

企業の法務担当者として働く中で、 ビジネスで用いられる非典型契約の審査をすることがある。 契約書の作成・審査にかかわる企業の法務担当者に向けて、 非典型契約の注意…

M&A契約(吸収合併契約)の審査(1)

はじめに法務初心者向けに、「(取締役会設置会社である)株式会社と株式会社」の「吸収合併」を念頭に、吸収合併契約書の審査の審査ポイントをまとめる。 吸収合併契約と…

カスタマイズした製品の第三者への販売

結論原則として、部品メーカーは、誰に対して何を販売するのかの自由があるから、これを供給先事業者以外の事業者に販売しても(販売しなくても)問題はない。 ただし、本…

生産中止と供給責任の有無

結論取引基本契約に「供給義務」を定めていない限り、「供給義務」は生じず、仮に製造を止めたとしても、あくまでも製造業者としてのレピュテーションリスクの問題にとどま…

請書を発行しない場合の契約成立の有無

結論上記に該当する場合には、契約が成立していると考えられます。 ただし、以下の場合には発注が失効する可能性があります。 解説契約成立の一般論 契約は、申込みの意…

取締役⑥ー競業避止義務(1)

取締役は、株式会社に対して善管注意義務(会社法330条、民法644条)・忠実義務(会社法355条)を負っています。 そのため、取締役は、会社の利益を犠牲にして、自己(第…

取締役⑤ー欠員の場合

会社法のまとめノートを作成します。 権利義務取締役取締役会では、取締役が3人以上必要です(会社法331条4項)。 このように取締役が欠けた場合(欠員)には、 「辞任」…

取締役④ー終任

会社法のまとめノートを作成します。 終任 取締役がその地位を失うことを終任といい、 任期の満了・解任・死亡などがあります。 取締役と会社との関係は委任関係であるた…

取締役③ー員数・任期

会社法のまとめノートを作成します。 員数株式会社は、1人以上の取締役を置かなければなりません(会社法326条1項)。 一方、取締役会設置会社では、会議体を構成するた…

取締役②ー選任

会社法で学んだことをまとめます。 選任手続 取締役は、原則として、株主総会で選任します(会社法329条)。 (例外として、取締役・監査役の選解任についての種類株式(…

秘密保持契約書の審査マニュアル④(前文①:契約当事者)

秘密保持契約書の審査マニュアル④(前文①:契約当事者)

BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、自分のために又は企業法務に配属されたばかりの方向けに秘密保持契約書の審査マニュアルを作成する。

今回は、第4弾として、「前文①:契約当事者」について、考えてみる。

1.前文の内容
前文とは、表題(タイトル)と第1条の間に記載されている部分をいいます。

秘密保持契約の前文では、契約当事者が秘密保持に

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秘密保持契約書の審査マニュアル③(表題)

秘密保持契約書の審査マニュアル③(表題)

BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、自分のために又は企業法務に配属されたばかりの方向けに秘密保持契約書の審査マニュアルを作成する。

今回は、第3弾として、「表題(タイトル)」について、考えてみる。

1.表題(タイトル)(1)一般論

 契約書の表題(タイトル)の決め方については、法律上決まりはありません。そのため、どのような表題(タイ

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秘密保持契約書の審査マニュアル②(前提知識②)

秘密保持契約書の審査マニュアル②(前提知識②)

BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、自分のために又は企業法務に配属されたばかりの方向けに秘密保持契約書の審査マニュアルを作成する。

今回は、第2弾として、「前提知識②」として不正競争防止法・特許法と秘密保持契約の関係について、考えてみる。

1.不正競争防止法の営業秘密不正競争防止法は、以下の情報を「営業秘密」として定義している。

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秘密保持契約書の審査マニュアル①(前提知識①)

秘密保持契約書の審査マニュアル①(前提知識①)

BtoBの製造業の上場会社において、法務として働いている筆者が、企業法務10年の経験を踏まえて、自分のために又は企業法務に配属されたばかりの方向けに秘密保持契約書の審査マニュアルを作成する。

今回は、第1弾として、「前提知識①」について、考えてみる。

1.そもそも「秘密保持契約」とは秘密保持契約は、自ら保有する秘密情報を他者に開示したり、または、他者から秘密情報を受領する場合に締結する。

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「トラブル事例でわかるアライアンス契約を読んで

「トラブル事例でわかるアライアンス契約を読んで

「トラブル事例でわかるアライアンス契約」を読んで、自分が理解した部分を簡単にまとめます(自分のフィルターを通して記載するので、正確性は保証しません。正確な情報を知りたい方は、以下の本をお読みください)。

アライアンス契約とはここでいうアライアンス契約とは、「企業提携」のことをいいます。
この「企業提携」とは、以下の①~③を満たす関係をいいます。

①複数の企業が
②資金・技術・人材等の経営資源を

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今さら聞けない『契約の基礎①』「覚書は、契約書ではない?」

今さら聞けない『契約の基礎①』「覚書は、契約書ではない?」

あなたは、後輩に『「覚書」は、契約書じゃないのでしょうか?』と聞かれたとき、きちんと答えられるだろうか。

はじめに
法律上、契約書の表題(タイトル)についてルールはありません。

どのような表題(タイトル)とするかは、当事者間で自由に決めることができます。

(1)「契約書」とは

そもそも、「契約書」とは「契約の内容を書面化したもの」をいいます。

(2)「契約」とは

そして、「契約」とは、

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顧客紹介契約の注意点(委託者側)

顧客紹介契約の注意点(委託者側)

企業の法務担当者として働く中で、
ビジネスで用いられる非典型契約の審査をすることがある。

契約書の作成・審査にかかわる企業の法務担当者に向けて、
非典型契約の注意すべき点を記載する。

今回は、「顧客紹介契約」を取り上げる。

顧客紹介契約とは企業が売上げを増加させるには、新規顧客を開拓する必要がある。

自社で新規顧客を開拓するよりも、
見込顧客と既に接点のある他社に
見込顧客に関する情報の提

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M&A契約(吸収合併契約)の審査(1)

M&A契約(吸収合併契約)の審査(1)

はじめに法務初心者向けに、「(取締役会設置会社である)株式会社と株式会社」の「吸収合併」を念頭に、吸収合併契約書の審査の審査ポイントをまとめる。

吸収合併契約とは吸収合併契約とは、合併により消滅する会社(消滅会社)の権利義務の全部を合併後存続する会社(存続会社)に承継させる吸収合併(会社法2条27号)を行うために、当事者間で締結される契約のことである。

合併をする会社は、合併契約を締結しなけれ

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カスタマイズした製品の第三者への販売

カスタマイズした製品の第三者への販売

結論原則として、部品メーカーは、誰に対して何を販売するのかの自由があるから、これを供給先事業者以外の事業者に販売しても(販売しなくても)問題はない。

ただし、本件部品に供給先事業者の知的財産やノウハウが含まれている場合には、供給先事業者の同意なく販売できない。

そのため、本件部品に供給先事業者の知的財産やノウハウとして保護されるべきものが含まれていないか確認する必要がある。

解説カスタマイズ

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生産中止と供給責任の有無

生産中止と供給責任の有無

結論取引基本契約に「供給義務」を定めていない限り、「供給義務」は生じず、仮に製造を止めたとしても、あくまでも製造業者としてのレピュテーションリスクの問題にとどまる。

ただし、特段の経過措置も設けずに製造を止めた場合には、信義則上の義務に反したとして損害賠償義務を負うこともありえる。

解説①供給責任について

取引基本契約において、メーカーの供給義務として、一定期間に一定の数量を供給することが定

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請書を発行しない場合の契約成立の有無

請書を発行しない場合の契約成立の有無

結論上記に該当する場合には、契約が成立していると考えられます。

ただし、以下の場合には発注が失効する可能性があります。

解説契約成立の一般論

契約は、申込みの意思表示と承諾の意思表示が合致することで成立します。

発注書が発行される取引の場合、通常は、発注書の交付は契約の申込みに該当し、これを相手方が承諾することで申込みと承諾が合致し、契約が成立します。

発注書の前に、見積書が発行されるこ

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取締役⑥ー競業避止義務(1)

取締役⑥ー競業避止義務(1)

取締役は、株式会社に対して善管注意義務(会社法330条、民法644条)・忠実義務(会社法355条)を負っています。

そのため、取締役は、会社の利益を犠牲にして、自己(第三者を含む)の利益を得てはならない義務を負います。

そこで、会社法では、会社と取締役の利害が対立する「競業取引」「利益相反取引」「報酬」について、会社の利益を保護するため、特別の規制を置いています。

意義・趣旨(1)意義

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取締役⑤ー欠員の場合

取締役⑤ー欠員の場合

会社法のまとめノートを作成します。

権利義務取締役取締役会では、取締役が3人以上必要です(会社法331条4項)。

このように取締役が欠けた場合(欠員)には、
「辞任」または「任期満了」の取締役は、後任者が選任されるまでは、
引き続き取締役として権利義務を有します(会社法346条1項)。

なぜなら、欠員が生じた場合、
株主総会で後任者を選任すればいいのですが、
すぐに株主総会を開催できないため

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取締役④ー終任

取締役④ー終任

会社法のまとめノートを作成します。

終任
取締役がその地位を失うことを終任といい、
任期の満了・解任・死亡などがあります。

取締役と会社との関係は委任関係であるため(会社法330条)、
取締役は、いつでも自分の意思で辞めることができます。

また、取締役が死亡しても、相続人が取締役になるわけではありません。
あくまでも、株主は、取締役個人の経営能力を信じて任せたのであり、相続人の経営能力につい

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取締役③ー員数・任期

取締役③ー員数・任期

会社法のまとめノートを作成します。

員数株式会社は、1人以上の取締役を置かなければなりません(会社法326条1項)。

一方、取締役会設置会社では、会議体を構成するために、3人以上必要です(会社法331条5項)。

任期取締役の任期は、原則として2年です(会社法322条1項)。
(正確には、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで)

長い期間とすると、

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取締役②ー選任

取締役②ー選任

会社法で学んだことをまとめます。

選任手続
取締役は、原則として、株主総会で選任します(会社法329条)。
(例外として、取締役・監査役の選解任についての種類株式(いわゆる「選解任種類株式」)を発行している会社では、取締役の選任・解任は、種類株主総会で選任することになります。)

そして、株主総会の決議は、普通決議となります(会社法309条1項)。

これは、例えば選任決議を特別決議(会社法30

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