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取締役⑤ー欠員の場合

会社法のまとめノートを作成します。

権利義務取締役

取締役会では、取締役が3人以上必要です(会社法331条4項)。

では、A、B、Cと3名いる取締役のうち
Aが辞任した場合には、どうなるでしょうか?

このように取締役が欠けた場合(欠員)には、
「辞任」または「任期満了」の取締役は、後任者が選任されるまでは、
引き続き取締役として権利義務を有します(会社法346条1項)。

なぜなら、欠員が生じた場合、
株主総会で後任者を選任すればいいのですが、
すぐに株主総会を開催できないため、
後任者が選任されるまでのタイムラグが生じてしまうからです。

つまり、先ほどの例では、後任者が就任するまで、
Aは取締役としての権利義務を有するとされています。

なお、法律が決めたことであるので、
権利義務取締役による辞任や会社による解任ができません。

一時取締役(仮取締役)

権利義務取締役として、引き続き取締役の権利義務を有するのは、
あくまでも「辞任」や「任期満了」の場合だけです。

「解任」や「欠格事由への該当による退任(例:死亡)」には、
権利義務取締役にはなれません。

なぜなら、解任した場合ということは、悪いことをして
取締役として職務を行うのに不適切とされた場合であるため、
権利義務取締役として、引き続き取締役としての権限を持つのは
適切ではないからです。

そこで、「解任」などの場合には、
利害関係者が申立てることにより、裁判所が、一時的に、
取締役となる者を選任することができます(会社法346条2項、3項)。

この取締役を一時取締役(仮取締役)といいます。

そして、この一時取締役(仮取締役)の権限は、
本来の取締役と同じです。

補欠取締役

取締役の欠員に備えて、
選任の時に、補欠の取締役を決めることができます(会社法329条3項)。

補欠取締役の選任の効力は、
原則として、当該決議後最初に開催される定時株主総会までです。

職務執行停止と職務代行者

例えば、
ある取締役に解任の訴えが提起されても、
認容判決までは、職務を行うことができるため、
訴訟継続中も取締役として職務を行うことになります。

しかし、取締役に解任の訴えを提起されるということは、
何か悪いことをした場合が多く、その取締役が職務執行するのは
適切ではない場合もあるといえます。

その場合、取締役の「職務執行停止」と「職務代行者の選任」を
裁判所に申し立てることができます。

職務代行者には、弁護士が選任されることが多いようです。

職務代行者の権限は、会社の常務に限定され、
常務ではない行為の場合、裁判所の許可が必要です。

例えば、定時株主総会は常務ですが、
臨時株主総会は常務ではないとされています。

参考文献

高橋美加ほか『会社法〔第3版〕』p176-177

伊藤靖史ほか『会社法〔第5版〕』

根本正次『リアル実況中継 司法書士 合格ゾーンテキスト 6 会社法・商法〔第3版〕p229-232


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