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取締役④ー終任
会社法のまとめノートを作成します。
終任
取締役がその地位を失うことを終任といい、
任期の満了・解任・死亡などがあります。
取締役と会社との関係は委任関係であるため(会社法330条)、
取締役は、いつでも自分の意思で辞めることができます。
また、取締役が死亡しても、相続人が取締役になるわけではありません。
あくまでも、株主は、取締役個人の経営能力を信じて任せたのであり、相続人の経営能力については判断していないからです。
解任
株主総会の普通決議で、いつでも、理由なしに取締役を解任できます(会社法339条1項)。
取締役の選任が普通決議だったため、解任するときも普通決議となります。
ただし、累積投票制度で選ばれた取締役については、解任するには特別決議ではなければならないとされています。
なぜなら、少数派株主の意思を反映させるために累積投票制度を導入したのに、普通決議で解任できるとすると、累積投票制度により選任した後、すぐに多数派が解任することができてしまうからです。
解任された取締役に損害賠償は必要か?
理由なしに取締役を解任できますが、
正当な理由なしに取締役を解任する場合には、会社は取締役に損害を賠償しなければなりません(会社法339条2項)。
ここでいう損害とは、任期満了まで取締役でいられると期待しているので、任期満了日までの報酬をいいます。
「正当な理由」には、取締役の法令違反などの不正行為の存在や、
以下の最高裁判例にあるように病気で職務を続けられないことなどがあたります。
最高裁は、病気の療養に専念するとして代表取締役を辞任した取締役につき、会社が株主総会決議で取締役を解任した事例で、正当な理由を認めました(最判昭和57年1月21日)。
訴えにより取締役を解任できるか?
①取締役が不正な行為(会社財産を私的に使うなど、故意に会社に害を与えること)や法令・定款違反をするなどの重大な事実があったが、
②その取締役の解任議案が、株主総会において否決された場合
株主は、裁判所に、その取締役の解任を求める訴えを提起できます(会社法854条)。
つまり、株主が、裁判所に取締役の解任について訴えを提起するには、1回株主総会で否決される必要であるのです。
ちなみに、訴えを提起できる株主は、
①6か月前から引き続き(非公開会社の場合は不要)
②総株主の議決権の100分の3又は発行済株式の100分の3
を保有する株主です。
また、訴えを提起する場合の被告は、会社と取締役の両方です。
会社が破産した場合、取締役の地位はなくなるか?
破産手続開始決定により会社が破産した場合、会社と取締役は委任の関係なので、委任者である会社の破産は、委任の終了事由とされていることから、
取締役の地位を失うことになります(民法653条2号)。
しかし、破産管財人の権限に属しない事務(取締役の選任決議の瑕疵を争う訴えに対する応訴など)が存在するため、取締役は当然に地位を失うわけではないとされています(最判平成16年6月10日)。
参考文献
・江頭憲治郎『株式会社法〔第8版〕』P410-415
・田中亘『会社法〔第3版〕』P221-222
・高橋美加ほか『会社法〔第3版〕』p174-176
・伊藤靖史ほか『会社法〔第5版〕』
・根本正次『リアル実況中継 司法書士 合格ゾーンテキスト 6 会社法・商法〔第3版〕p222-224
・松本雅典『司法書士試験 リアリスティック6 会社法・商法・商業登記法I〔第2版〕』p345-348
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