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カスタマイズした製品の第三者への販売
当社は、一般向けに販売している部品を、一部、特定の事業者向けにカスタマイズして(カスタマイズしたものを「本件部品」といいます)ある事業者(供給先事業者)に納入しています。供給先事業者から本件部品が組み込まれた機械を仕入れたという流通業者から、修理用に、本件部品を販売してほしいといわれました。どのように対応すべきでしょうか。
結論
原則として、部品メーカーは、誰に対して何を販売するのかの自由があるから、これを供給先事業者以外の事業者に販売しても(販売しなくても)問題はない。
ただし、本件部品に供給先事業者の知的財産やノウハウが含まれている場合には、供給先事業者の同意なく販売できない。
そのため、本件部品に供給先事業者の知的財産やノウハウとして保護されるべきものが含まれていないか確認する必要がある。
解説
カスタマイズに際して、供給先事業者から部品メーカーに対して「カスタマイズ」のための情報が提供される。
その情報の中に、知的財産やノウハウが含まれている場合には、部品メーカーの本件製品は、供給先事業者の知的財産やノウハウが含まれたものということになる。
取引基本契約など、供給先事業者との間の契約書に、知的財産やノウハウを使用したものや供給先事業者が開示した図面を用いて製造したものについては、供給先事業者の同意がないと販売できないという定めがされるのが通常である。
<条項例> ※甲は買主、乙は売主
乙は、乙独自の技術情報に基づく製品の製造、販売等は除き、甲の図面又は仕様書に基づく製品を自己又は第三者のために製造、販売等をしてはならない。ただし、事前に甲の書面による承諾を得た場合はこの限りではない。
そのため、知的財産やノウハウが含まれている場合には、供給先事業者との間の契約書を根拠に、供給先事業者以外の事業者に販売することを拒否することも考えられる。
もっとも、供給先事業者から提供される情報が保護に値するノウハウなのかを判別するのは容易ではない。
例えば、リバースエンジニアリング(市場に供給されているものを購入し分解したうえでそれを元に製造すること)により製造するのと、提供された図面に基づき製造するのとで差がない場合には、その図面には保護すべき知的財産やノウハウが含まれているといえるのかの判断は困難である。
そういう意味で、供給先事業者との間の契約書を根拠に、供給先事業者以外の事業者に販売することを拒否することが合理的かは疑問が残る。
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