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かわせみ💎読書論考 継続中

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もっとも苦手だった読書。ひたすら読み、修行のごとく解読した。読んだことを忘れ、いまだ振り返り読書をしています。ただ、その読書は二度と忘れない「ボクだけの図書」として、生涯のアーカ…
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#人生を変えた一冊

吉村文学💎破獄

吉村文学💎破獄

佐久間、吉村先生一流の詳細な下調べと明快な時代背景を描きつつ語られた、前代未聞の脱獄囚の主人公。しかも、犯罪の重さをかき消すが如くの凶悪な脱獄囚である。
佐久間がそうなった訳を、著者は生い立ちと風貌のからなる後天的な人間形成過程と先天的な鋭い動物的な勘に求める。

佐久間の転機は、鈴江刑務所長との出会いにある。いや、鈴江が佐久間の飢えていることに気がついた。「愛情」である。鈴江は、反抗の盾に「愛情

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三浦しをんに癒されて📕

三浦しをんに癒されて📕

若者と”しをん先生”の未来に期待

 一見、田舎駅前のラーメン屋の看板みたいな題名の直木賞作品です。その感想は、「世の中、そう捨てたものではない」といった感じ…。

 孤独で内向的な現代人の情は、貧困時のそれよりも荒れてはいないようだ。ちょっと安心しました。

劇画タッチであり少々…であるが、最後の一幕に感動しました。

若者と”しをん先生”の未来に期待します。

かわせみ💎

後に出版した「舟

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関西弁に癒されて👘

関西弁に癒されて👘

繊細に響く関西弁が、…

 ストーリーは、同性愛を導入口とし、晩年に孤独となってしまった悲しい女性の語りである。

 良家の生まれ・インテリジェンス・恵まれた家族環境にありがら、悪女:光子の虜となってしまう。

 その果て、光子の影にいる怪しい男と亭主との、まさに雁字搦めの卍となる。自身が開放された時には、亭主も光子も失っていた。

 その後ずっと女一人で、園子は生きて来たのでしょう。物悲しくとも

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男の友情の姿を確認した📘

男の友情の姿を確認した📘

達者でな!と…

 主人公ジャックは、すでに居ない。彼は、飲み仲間のど真ん中の骨壷に灰となって登場する。彼の遺言は、「おれが死んだら、マーゲイトからまいてくれ」だった。

 運転手は、義理の息子:ヴァンス、自動車屋を営む彼はベンツを用意した。同行する三人は、保険屋のレイ・八百屋のレイニー、そして葬儀屋のヴィックだ。4人はそれぞれの思いで、マーゲイトに向かう。

 車中それぞれに彼への思いに耽る。ま

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「若い詩人の肖像」について

「若い詩人の肖像」について

 本著作は、戦後の正統派文芸活動を全うした伊藤整の告白的自叙伝である。

 少年が青年となり成人となる道程とその心理的移ろいが、明確な散文体で描かれている。また、青年詩人から大人の作家への転進ぶりも読み取れます。

 伊藤整らの文学的功績は、藤村・朔太郎の時代と昭和から平成に生きる我等に橋渡しをしてるとさえも感じました。(伊藤と藤村とのエピソードも、ある意味その裏づけを感じました。)

伊藤整の場

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魯迅からの学び 覚書

魯迅からの学び 覚書

 サムネイルから、魯迅(敬称略)が1881年生まれと知った。魯迅は、医師から始まりいろいろな活躍をした。

 中でも、一番色あせていないのは思想だと思う。「地上の道」は、人類史に永遠に残る言葉と信じる。

 ここでは覚書として、手元に資料をそろえず、ただ魯迅への想いを書きすることにした。

 ボクが初めて魯迅の名を知ったのは、中学の国語に教科書です。その後、世界史にも現れたと記憶しています。ただ、

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