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Ⅱ 低学年で覚えて欲しい対人スキル 29 「嬉しいときの表現」や「褒めること」ができる その2

2️⃣ 良いことをしている人を見つけたときの、褒める台詞と
  表情を覚える  【解説】

 凸凹タイプの子どもは、自分自身が褒められてもあまりいい気がしないので、他の人が良いことをしているのを発見てもあまり感心しません。何も感じない子もいます。「へー、そうなんだ」くらいの感情の動きです。

 だから、対人面でトラブルが発生します。相談された中に、次のようなものがありました。
  ・「無視しないでよ」「知らんふりしている」「白けている」
   「心がない」etcと言われる。結果として、友達ができない。
  ・先生がある子を「すごいね」と褒めたのに「たいしたことない」と
   発言し て、クラスの雰囲気が悪くなる。
  ・遠足に行って、皆んな感動して景色を見ているのに、一人だけ離れて
   つまらなそうにしている。  

 だから、喜び方や悔しがり方を教えたように「褒め方」もルール化して覚えてもらいます。
 実際は、場面場面で「上手だね」「すごいね」「がんばったね」「面白いね」「いい考えだね」などの【セリフ】を言いなさいと、とっさに判断して教えることになります。
 褒め言葉の【セリフ】を覚えていくと、本当はあまり感動していませんが、表面上の対人面のトラブルは減っていきます。
 これをやり続けていると、大人になるにつれてそれに心が伴ってきて、本当に気持ちを込めて「褒められる」人に育っていきます。

体育の授業でペアで練習

 体育で「ペアで二重跳びの練習をしている」ときの例を書きます。
 【セリフ】先生と子どもたちの「やりとり」を使っています。

 A「23回飛べました。」
 B「やった。初めて。嬉しい。やった、やった。」
 A「何やってるの。次は、僕の番だよ。数えて。」
 B「なんだよ。23回飛べたんだぞ。褒めてくれよ。」
 A「意味、わかんないし。やるよ。」
 B「えー。嫌なやつだな。ちょとくらいなんか言えよ、ばーか。」
 A「ばかとはなんだ。」
先生「どうした。なんか、あったか。」
 B「俺、二重跳び23回も跳べたんだ。」
先生「それは、すごいな。先生でも14回が最高だもんな。頑張ったな。」
 B「うん。家で、パパと練習したよ。」
先生「そうか。それは、いいパパだね。で、何をもめているんですか?」
 B「俺、23回も跳んで喜んでるのに、こいつ何も言ってくれないんです。
   それより、早く数えろ、俺の番だ、なんていうんですよ。」
 A「それって、普通でしょう。順番だから。」
先生「それは違うよ。頑張っている人をみたら、すぐ褒め言葉を言うのが
   普通だし、それがうちのクラスのルールだよ。」
 A「頑張っていたら、褒めないとだめなの?」
先生「そう。取り敢えず『頑張ったね』とか『すごいね』とか言わないとい
   けないんだよ。自分がどう思っているかはは関係ないよ。取り敢え
   ず言うの。」
 A「そういう、ルールなんだね。分かった。」
先生「じゃ、練習してみるよ。B君、協力してね。悪いけど『23回も
   跳べた』と言ってみて。」
 B「やった。23回も跳べたぞ。」
 A「へー、すごいじゃん。頑張ったね。」
先生「B君どう?」
 B「結構うれしい。もちょっと、感情込めて欲しいけどね。」
先生「まぁ、練習しているうちに、感情もこもってくるでしょう。
   A君、これからも、頑張っている人がいたらすぐ褒めて
   あげてね。」
 A「分かりました。」
先生「じゃ、B君。A君の2重跳びを数えてあげください。」
 B「はい。」

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