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〈実録〉奪還父さんブライアン ―片親疎外・子供拉致と戦う話

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帰宅すると家の中がやけにがらんとしている。妻と子供たちの姿が見当たらない。家財道具が無くなっている。 警察に捜索願を出しに行くと「ご家族は無事ですが、あなたには行方を伝えられませ…
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#毒親

もう駆け引きには乗らない。すべてを白日の下に晒す。私のターンが始まった。

もう駆け引きには乗らない。すべてを白日の下に晒す。私のターンが始まった。

エピローグ

 子供たちと再び引き離された私は、「この断絶はかならず意味のあるものだ」と決めた。
 自分と同じ境遇の人がたくさんいることを知り、多くの当事者と出会った。
 出会いは思考を飛躍させる。
 私は自分の子供を「奪還」するだけでなく、全員の子供を奪還するほうが、もしかしたら早いのかもしれないと考えるようになり、具体的にその方法を探りはじめた。

 まずは自分の体験を、ツィッターに綴ることか

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怒りは「使命」に変えなければ、ただの「怨み」となり自分を不幸にする。

■45
 あなたを幸せから遠ざける声は、今では誰がささやかなくとも、あなたの脳内にアナウンスされている。自分が気に入らないもの、非効率なものを排除する「離婚脳」は、あなたを一歩ずつ不幸にしていく。
 あの両親すら、もはやあなたの敵ではない。年老いて、力がなくなった今では、あなたに遠回しに許しを請いながら、弱者にイライラをぶつける習い性を変えられずに苦しんでいる哀れな存在だ。
 あなたの積年の思いを

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元妻よ、あなたの敵は私ではない。

元妻よ、あなたの敵は私ではない。

■43
 元妻よ、あなたの敵は、私ではないよ。
 あなたの心は怒りと怨み、不安と不信感、劣等感と妬みで塗りつぶされている。
 あなたはいつも言っていた。
「私は子供のころから、いま感じている親への気持ちをずっと忘れないでいようと、心に固く誓ってきた」
 あなたの両親は、あなたを傷つけてきた。
 あなたの両親も傷ついていて、夫婦で傷つけあい、その苛立ちをあなたや弟にぶつけてきた。
 あなたの両親とそ

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「切りつけてやればいい!」母親の怒声に娘は震えている。私は娘を抱いて隣室に逃げた。

「切りつけてやればいい!」母親の怒声に娘は震えている。私は娘を抱いて隣室に逃げた。

■37
  大きく見開かれた娘の目に、みるみる涙がたまり、両の頬をつたって床にこぼれ落ちた。私は娘を抱き上げ、その場を立ち去る。
  今も夢に見る、いつかあったシーンだ。
  
あれは元妻が拉致を敢行する三ヶ月ほど前・・・・・・私たちは、新潟駅南口の間取り2DKのハイツで暮らしていた。
発端は、些細なことだった。
「今日の晩ご飯は、なに?」
 帰宅するなり、そうたずねた私に元妻はぴしゃりと言った。

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「私には貴方を子供と会わせる義務も責任もありません」それが子供の心を踏みにじる正当な理由だ。

「私には貴方を子供と会わせる義務も責任もありません」それが子供の心を踏みにじる正当な理由だ。

■36
 二時間に短縮されてから六回目の面会交流の日、私は早朝に大阪を発ち、新潟駅前のドトールでスタンバイしていた。
いつも通りの前日確認で、元妻に送った「明日、新潟へ行きます」というメッセージに返信がなかったので嫌な予感がしていた。
 待ち合わせ時刻の一時間ほど前に、元妻からのメッセージ。

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司法の土俵から降りても、悪魔の手法は死んでいない。

司法の土俵から降りても、悪魔の手法は死んでいない。

■35
 言葉を選びながら言う。
「大丈夫。彼女は俺の『立場』も『状況』も理解してくれてる。お金を送っていることについても、額面まで伝えてある。おまえへの送金は確保するから安心してくれ。あと彼女がなんと言おうと、俺は子供らには会いに行く。もし彼女が子供との面会に反対したら、別れる覚悟や」
「……わかった。じゃあね」電話は一方的に切られた。

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元妻を虐げてきた毒親。その二人の日常を目の当たりにし、言葉を失った。

元妻を虐げてきた毒親。その二人の日常を目の当たりにし、言葉を失った。

第二部 プロローグ

 二つの気持ちが、私の中にある。
 子供たちと暮らしたい。しかし同時に、元妻とは暮らせない。
 元妻と暮らせば、私は確実に「ダメ」になる。彼女は、自分の両親を怨みながら、反面で自分が育った家庭を再生産しようとする。
そして自分が「そういうこと」をしてしまうと、絶対に認めない。
いまこそ少し態度をやわらげているが、時間がたてば、また彼女は私を抑圧するだろう。それに耐えられるだろ

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〈23〉子供の声は誰にも届かない。それを経験した元妻が、いま子供の声を封鎖している。

〈23〉子供の声は誰にも届かない。それを経験した元妻が、いま子供の声を封鎖している。

■23
 この三ヶ月、子供たちへの道が、一度は大きく開かれた。学校という子供の福祉の体現者に、間に立ってもらえるという希望が芽生えたからだ。
だがその芽は、いとも簡単に摘み取られた。このショックは、いまもなお身体に染みついている。
 約束の七月になった。夏休みに入った頃合いに、私は新潟駅に降り立った。だが、私はまだ会えるまでの道筋が見い出せずにいた。
 やはり、元妻の実家しかないか――
 とてつも

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死んでる場合じゃない。娘の言葉が、私を希死念慮から救ってくれた。

死んでる場合じゃない。娘の言葉が、私を希死念慮から救ってくれた。

■21
 娘が赤ん坊の頃、どうしても二人とも仕事の都合で娘をみられない日があった。元妻に「実家でご両親にみてもらえないか」と相談したところ、「あの人たちはダメ」と一蹴。
「私たちの結婚も出産も、あの人たちは認めていない。だから、この子の面倒なんてみないよ。この子の命が逆に危ない」と言う。私は驚いた。
「でも、まさか殺したりはしないでしょ」
 たちの悪い冗談なのかと思ってそう言ったが、元妻は真顔で答

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