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死んでる場合じゃない。娘の言葉が、私を希死念慮から救ってくれた。

■21
 娘が赤ん坊の頃、どうしても二人とも仕事の都合で娘をみられない日があった。元妻に「実家でご両親にみてもらえないか」と相談したところ、「あの人たちはダメ」と一蹴。
「私たちの結婚も出産も、あの人たちは認めていない。だから、この子の面倒なんてみないよ。この子の命が逆に危ない」と言う。私は驚いた。
「でも、まさか殺したりはしないでしょ」
 たちの悪い冗談なのかと思ってそう言ったが、元妻は真顔で答えた。
「自分から積極的に殺したりはしないけど、この子がベッドから落ちたり、高熱を出したり、異常に泣いていても、放っておく人たちだよ。それが平気な人たちだよ」
 そんな人間が存在することを、私は知らなかった。自分の親をそんなふうに言う人とも初めて出会った。以来、私は彼女の両親に対して常に懐疑的な目を向けるようになった。
 ところが新婚生活が始まっても、元妻は三日とあけずに実家へ帰る。そして帰れば帰ったで、両親とケンカになり、不機嫌になって戻ってくる。

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