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〈実録〉奪還父さんブライアン ―片親疎外・子供拉致と戦う話

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帰宅すると家の中がやけにがらんとしている。妻と子供たちの姿が見当たらない。家財道具が無くなっている。 警察に捜索願を出しに行くと「ご家族は無事ですが、あなたには行方を伝えられませ…
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#弁護士

もう駆け引きには乗らない。すべてを白日の下に晒す。私のターンが始まった。

もう駆け引きには乗らない。すべてを白日の下に晒す。私のターンが始まった。

エピローグ

 子供たちと再び引き離された私は、「この断絶はかならず意味のあるものだ」と決めた。
 自分と同じ境遇の人がたくさんいることを知り、多くの当事者と出会った。
 出会いは思考を飛躍させる。
 私は自分の子供を「奪還」するだけでなく、全員の子供を奪還するほうが、もしかしたら早いのかもしれないと考えるようになり、具体的にその方法を探りはじめた。

 まずは自分の体験を、ツィッターに綴ることか

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連れ去り児の悲劇、元凶はラチベンだ。拉致で儲ける弁護士を絶対に許さない。

連れ去り児の悲劇、元凶はラチベンだ。拉致で儲ける弁護士を絶対に許さない。

■46
 奪還父さんたちを「ブライアン」と呼ぶ由来は映画「九六時間」にある。主人公のブライアン・ミルズは、CIAの元工作員。
 離婚してから離れて暮らしている最愛の娘を誘拐され、正体不明のマフィアにありとあらゆる手を尽くして肉迫し、奪還を成し遂げる不屈の男だ。
 娘への手がかりを持っていると判断すれば、一瞬のためらいもなく銃をつきつける。「エッフェル塔を爆破することもいとわない」と言い放ち、実行す

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あなたは可哀想だ。もっと幸せになる権利がある。今日もラチベンが、不満妻の手引きをする。

あなたは可哀想だ。もっと幸せになる権利がある。今日もラチベンが、不満妻の手引きをする。

■41
 新しく恋人ができた。彼は夫とちがって、わたしを愛してくれる。子供に暴力をふるうことはあるけれど、しかたがない。だって、この子は前の夫に似ているから。多少荒っぽくても、しっかり教育してくれる方がいい。
 そう、逆に子供のことを思うからこそ、厳しくできるんだ。だいたい前の夫が子供を甘やかしすぎたから、こうなったのだ。
 わたしは前の夫に騙されたんだ。
 あの人は口だけで、わたしを幸せにしてく

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〈25〉娘が見守る中、元妻と対峙。「子供たちじゃなく、おまえに会いに来たんや」

〈25〉娘が見守る中、元妻と対峙。「子供たちじゃなく、おまえに会いに来たんや」

■25
「もしもパパが来たら、すぐママに知らせなさい。パパのせいで運動会にも出られなくなったんだから。パパに連れていかれたら、もうママにも会えなくなるんだよ!」
 後から聞いた話では、娘はそう言いつけられていたそうだ。私の到来を娘は元妻に伝えたのだが、これで娘を責めるわけにはいかない。母親と私に板挟みにされた娘になにができるだろうか。両親の間で分断された子供の胸の内は、想像するだけで心臓が握りつぶ

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果たせなくても、最後まで果たそうとする。約束とは、そういうものだ。

果たせなくても、最後まで果たそうとする。約束とは、そういうものだ。

■22
「パパ、七月に会いに来てよ」
 態度を豹変させた学童から私が追い返されそうになったとき、娘はこう言った。なぜ七月なのか。意味は特になかったのだろう。とっさに、何か言わなくちゃと口をついて出た言葉なのだと思う。
 七月を待たずして六月の運動会に出向いたのだが、前述の通り打ち砕かれた。ようやく見つけた突破口である学校。その道筋も塞がれた私には、もはや為すすべがない。そううなだれていた私にとって

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「この子を叩く家に、なんでこの子を連れて行くんだ」私の問いに、刑事は何も答えなかった。

「この子を叩く家に、なんでこの子を連れて行くんだ」私の問いに、刑事は何も答えなかった。

■14
「この子はね、祖父……元妻のお父さんにたたかれているんです。虐待されているんです。その子を父親から引き離して、そんな環境に連れて行く。そんな仕事をしていて、いいんですか」
「……」
 刑事たちは完全に言葉を失っている。
 モンスターにおののく無力な警察を責めるのは心が痛んだが、私が守るべきは刑事たちではない。この子だ。一歩たりとも引く気はない。私自身がモンスターになったとしてもだ。子供の心

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「パパは優しい。叩かないよ」7歳の娘は、私のために警察と戦った。

「パパは優しい。叩かないよ」7歳の娘は、私のために警察と戦った。

■13
学校としては、警察を呼ばざるをえない。気骨のある校長先生だ。学校の自治を放棄するがごとき判断は、忸怩たる思いだったに違いない。
私もこの校長の(世間の風潮を鑑みて、教員を守るための)判断ならば、尊重したい。もっとも、すっかり警察への免疫がついている私にとって、警察の登場など想定内のことだった。
 警察は、私が出向いたところで相手にしてくれない。実際にはじめの「連れ戻し」の後に、抗議文と菓子

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娘の通う学校を推察。元妻の性格から、3つの地域にしぼりこむ。さながら奪還探偵だ。

娘の通う学校を推察。元妻の性格から、3つの地域にしぼりこむ。さながら奪還探偵だ。

■10
 子供たちが通う学校は、どこにあるのだろう。
 元妻は気が強い反面、臆病な面もある。自分が虐げる対象と、媚びて機嫌を伺う対象の間で生きるのが彼女のライフスタイル。誰かしら頼れる人物が近くにいる場所で生活をしている可能性が高い。私が知る彼女の交友関係から、娘の学校区をしぼりこんでいく。
元妻の実家、女権団体運営のシェルター、元妻の親友が住む地域の三つが濃厚だ。それぞれ、ひとつずつ小学校がある

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「あなたは自由に生きていいのよ」そう言って女権業者は、家庭を破壊し夫を奴隷化する方法を教えている。

■9
「法」にのっとって解決しようともがいていると、法によって仕切られた枠の中でしか物事を考えられなくなってしまう。ましてや、こんにちの司法の役割は、少なくとも家庭裁判所においては、なかんずく子供連れ去り問題に関しては、崩壊している。
連れ去り妻―女権団体―ラチベンのトライアングルによって、家事法はいいように蹂躙されているのが現実だ。
 多くの拉致被害父親たちと同様、私も「法」の前に屈従を強いられ

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DVを受けていたのは、私。元妻を洗脳した女権団体を、私は許さない。

DVを受けていたのは、私。元妻を洗脳した女権団体を、私は許さない。

■8
 どんな人間でも話せばわかりあえる、誠意は通じる。当時の私はそう信じて、元妻に働きかけ、子供との交流実現に向けて四苦八苦した。
 先に述べたとおり、元妻の対応はじつにそっけないものであり、私はそのたびに深い悲しみと虚しさに打ちひしがれた。だが同時に、それを自然に受け入れてもいた。彼女がそういう人だと知っていたからだ。思い起こせば、結婚している時から、ひとたび揉めればヒステリーを起こす。子供に

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事実、弁護士はカネ、裁判官は出世に腐心。子供のことを考える人は司法の現場にいない。

事実、弁護士はカネ、裁判官は出世に腐心。子供のことを考える人は司法の現場にいない。

■7
当方の弁護士も、元妻側の出方に対して、「例を見ない悪どさ」と呆れている。もはやここまでだ。私は調停を打ち切るほかなかった。
 その後わかったことは、家庭裁判所は異常なくらい多忙だということだ。ここでは、「子供の福祉」に沿った裁きをすることよりも、より多くの案件を処理することが評価される。
さらに裁判官にとって家庭裁判所で働くということは、誇りを持てる状態ではない(※子供の連れ去り問題 日本の

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家庭裁判所では、調停を早く多く終わらせた人間が出世する。子供の気持ちなど、邪魔なだけだ。

家庭裁判所では、調停を早く多く終わらせた人間が出世する。子供の気持ちなど、邪魔なだけだ。

■6
私の訴えは、以下の通りだ。
① 娘は私に会いたがっている(子供から届いた手紙を用意していた。四歳の娘の、ミミズの這うような字で「あいたい」と書いてある)。
② 私も娘に会いたい。(私と娘の間には「会う」という合意がある)
③ 娘は祖父(元妻の父親)を「叩かれるから嫌い」と言っている。
④ 元妻自身も子供時分には、父親(と母親)から虐待を受けていたと言っていた。心配である。
⑤ 私が「連れ去る

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「親権や戸籍は、何の意味があるんですか」
「あまり意味はないです」調停前から、弁護士は敗北を宣言した。

「親権や戸籍は、何の意味があるんですか」 「あまり意味はないです」調停前から、弁護士は敗北を宣言した。

■5
 この日から、子供たちと完全に引き裂かれ、私は絶望の淵に立たされた。茫然自失。すっかり精気を失い、寝床から起き上がることすらできなくなった。子供を奪われたときの絶望と身体の異変は、当事者にしかわからない。
 だが、世の人々はそんな私に容赦なかった。たとえ善意から出た言葉であっても、それはセカンドレイプにしかならない。何度も絶望を思い出さされ、残された僅かなエネルギーも奪い取られた。そして人々

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母親の顔を見た瞬間、泣き叫ぶ少女。取り返しのつかない過ちに、刑事たちはようやく気付いた。

母親の顔を見た瞬間、泣き叫ぶ少女。取り返しのつかない過ちに、刑事たちはようやく気付いた。

■4
 新潟北警察署に到着したのは午後三時近かった。子供たちがワンボックスから降りて元妻に引き渡されるまでの間、車内で待機させられた。
 現地には、会社員時代の先輩・Sさんがいた。弁護士と連絡がとれないのを見かねたM刑事が、「誰か信頼できる人に来てもらったらどうか」とアドバイスしてくれたのだ。刑事はふつう、こんな提案はしないものらしい。事件の解決を長引かせるだけだからだ。
 私からの連絡を受けて、

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