ぐっすりと眠るための12個のポイント
眠りたいのに眠れない、夜中に何度も目が覚めてしまう、寝ても疲れが取れないなど、睡眠に関することで悩まれている方は少なくないと思います。
『厚生労働省のe-ヘルスネット』によると、一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状を有しており、もはや国民病ともいうことができるほど、特殊な病気ではなくなりました。
本稿では私の経験談を基に、ぐっすりと眠り、疲れを取るための12個のポイントを紹介致します。
私事でではありますが、仕事の都合で3交代勤務を続けたことが原因で、不眠症に悩まされた時期がありました。
その際、これらの12個のポイントを実践することで私は寝付きが良くなり、夜中に目覚める回数も減り、疲れも取れるので昼寝をすることもなくなりました。
また、本稿の最後にこれらの睡眠改善法の裏付けとして、睡眠研究において非常にオススメな書籍をご紹介致します。本稿をご覧になって睡眠改善に興味をもたれた方はぜひこれらの書籍もご覧になってください。
自己紹介
ここで簡単な自己紹介をさせて頂きます。
私は大学で臨床心理学や精神医学を学びました。大学卒業後、NPO法人で精神疾患や発達障害を抱える不登校の子どもたちの支援事業に従事した後、人材サービス業界で働いていた経験を活かして産業カウンセラーの資格を取得しました。
これらの経験を積むなかで、不眠症のメカニズムや対処法について多少の知識を得ることができたため、自身が不眠症状に陥ってもそれほど重度化する前に対応することができました。
寝酒で不眠をごまかせていた時はそこまで心配していなかったのですが、しばらくして眠れない日が続くようになり、これはどうにかしなければならないと思い直しました。
そこで生活習慣を見直して根本的に睡眠改善をするために不眠に関する書籍やデータを集め直して、そこに少しだけオリジナルの要素を加えた睡眠改善法を実施することにより、不眠症状を改善することができました。
そして今では自身の経験を活かした睡眠セラピストとして、睡眠に関する情報発信や相談業務を行っています。
睡眠を改善するのに重要なことは、これからご紹介する12個のポイントを全て実践することです。2つ、3つ、試しただけでは大した効果を感じることは難しいと思います。
睡眠を改善する12個のポイントは以下の通りです。
睡眠を改善する12個のポイント
(1)目覚めてから一時間以内に散歩をする。
(2)朝食をしっかりととる。
(3)中強度の運動をする。
(4)就寝2時間前までに夕食を終える。
(5)入浴後、1時間半後を目安に就寝する。
(6)寝る前に水分を取り過ぎない。
(7)カフェイン飲料は午後2時までにする。
(8)お酒を飲まない。
(9)寝る前は刺激となることを避ける。
(10)スマホやPCの画面を見ない。
(11)就寝2時間前からはリラックスできることをする。
(12)睡眠日誌を記録する。
これらを全部行わないと寝ることができないのかと大変に思われる方もいるかもしれませんが、大切なのは自分の不眠症状の根本原因を改善しない限り、自然と今までのようにぐっすりと眠るようになることが難しいということです。
不眠症状の根本原因がどれなのかは、実際に改善されるまでは分かりません。
余談1
ちなみに私の場合は、「(5)入浴後、1時間半後を目安に就寝する」が、大きく関わっていました。適温のお風呂に入浴すると、皮膚温度が上昇して放熱を行い、身体内部の脳や臓器などの深部体温を下げます。皮膚温度と深部体温の差が2℃以下に縮まることで、眠気が引き起こされ質の高い睡眠をとることができます。
皮膚温度と深部体温の差が2℃以下というのがポイントで、これは体温調整を適度にするという見方をすることができると思います。
実際、私は就寝後にスッと入眠できるようになったのは、室温、寝間着、タオルケット・毛布・掛け布団などの寝具を適宜調節して、体温調整をするようになってからです。
身体が暖かくなり過ぎたり、冷え過ぎたりで皮膚温度と深部体温のバランスがうまく取れていなかったのでした。
余談2
もう一つ余談をさせて頂くと、私には子どもが2人いて、当時3才と7才で育児にてんやわんやでした。消防団にも入団していたため、夕食を摂る時間や入浴、就寝時間も規則正しくするのは難しかったです。
睡眠を改善するまでは消防団の訓練を控えて、家族にも協力してもらうことで生活改善に努めましたが、一旦睡眠が改善されてその状態がある程度定着してからは、ご飯を食べる時間もお風呂に入る時間も寝る時間もあまり気にしなくなりました。
お酒も飲むようになりました。基本的には家にお酒は置かないようにして、晩酌などひとり酒はしないようにしているのですが、週末に自分へのご褒美にと、ついついコンビニでビールやチューハイを何本も買ってしまうことがあり、夜な夜なユーチューブでお笑い番組を観ながらそれを飲み干して夜更ししてしまうので、妻に怒られることも時々あります。
仮眠のとり方
このような時は当然、睡眠の質は良くありません。場合によっては、日中に短時間の仮眠をとって体調を整えます。
仮眠をとる際は、あまり長時間(30分以上)の睡眠をとらないように注意してください。睡眠のサイクルはノンレム睡眠から始まり、90分から120分でレム睡眠に切り替わる周期が繰り返されます。入眠後、30分を超えると深い睡眠状態(ノンレム睡眠)になり、かえって眠気が取れなくなる場合があります。また、睡眠を取り過ぎると睡眠圧が低下して夜になかなか寝付けなくなる可能性があります。
このような訳で、夜の睡眠を妨げないように午後3時までに、5分から20分程度の昼寝に抑えたほうが良いと思います。それでも眠気がとれないのであれば、1時間半周期で水眠をとるという方法もありますが、できればその日は早めに就寝することで睡眠のリズムを保ちたいものです。
それでは一つずつ、詳しくご説明致しましょう。
(1)目覚めてから1時間以内に散歩をする。
朝、目が覚めてから1時間以内に10分程度の散歩をします。不眠症状が重いようであれば、15分〜30分程度散歩することをオススメします。
朝の散歩の目的は、脳内物質のセロトニンを活性化させることです。セロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、精神を安定させてやる気や幸福感をもたらします。
このセロトニンを原料にしてメラトニンという睡眠ホルモンが生成されます。
メラトニンは、眠りに入る時間を早くしたり、途中で目が覚めにくくなる効果があります、朝起きて光が目に入ってから14~16時間後に分泌され始め、分泌量が増えるほど睡眠の質が良くなります。
そのため、1日8時間睡眠だとして逆算をすると、起床してから1時間以内に太陽の光を浴びながら朝散歩をすることで、まずは体内時計(概日リズム)をリセットしてセロトニンを活性化させます。
気をつけなければいけないのは、太陽の光が目の網膜を刺激することでセロトニンが分泌されるため、遮光性の高いサングラスなどで目を覆ってしまうと、太陽の光を遮ってしまうのでセロトニンが分泌があまり期待できなくなります。
また、散歩時の「1,2,3,4」というリズム運動も、セロトニンの分泌を促すため、リズムをとるのが難しい方は好きな音楽を聞きながら歩いてみるのも良いかもしれません。個人的には、マインドフルネスにボーッとしながら歩行瞑想するのが好きです。
そして、脳のパフォーマンスを高め、心身の健康のために7〜8時間以上の睡眠をオススメします。
(2)朝食をしっかりととる。
朝の散歩から帰ってきたら、朝食をしっかりととります。朝食を摂ることで胃や腸などの消化器官が活動し始めて、朝の光と同じように体内時計をリセットしてくれます。
その際、よく噛んで食べるように心掛けてください。咀嚼もリズム運動の1つでセロトニンを活性化します。
また、セロトニンを増やすには原料となる栄養素の摂取が重要になります。セロトニンを作る原料となるのは、必須アミノ酸の1つであるトリプトファンです。
トリプトファン・セロトニンについて
トリプトファンが多く含まれていて、なおかつ手軽に摂りやすいオススメな食べ物として、
①バナナ、アボカド、キウイフルーツなどの果実
②チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
③豆腐や豆乳、納豆、きな粉などの大豆製品
④鶏卵、肉類、魚類
⑤米や小麦などの穀類
が挙げられます。
また、トリプトファンからセロトニンを作る過程では、ビタミンB6が重要な役割を果たします。上記の食べ物のなかにもビタミンB6が含まれているものはありますが、重要なのは健康に良いからと何か1つの食べ物を摂り過ぎるのではなく、バランスの良い食事を心掛けたうえで、上記の食べ物を参考にしてトリプトファンやビタミンB6などの栄養素を摂るということです。
実はセロトニンの多くは腸内で作られているという研究報告もあり、栄養バランスの良い食事を摂ることを心掛けて腸内環境を整えることもセロトニンを活性化させるためには重要なのです。
ヤクルト1000・ピルクルについて
少し話しがそれますが、腸内環境を整え、睡眠を改善させる機能性表示食品として、昨今、ヤクルト1000が話題になりました。睡眠に精通した著名な精神科医のなかにもこのヤクルト1000を愛用している方がいるようです。
ただし、宅配専用のヤクルト1000が1本130円、店頭販売用のY1000が1本150円(どちらも税別、メーカー希望小売価格)と、一般庶民にはちょっと値がはるため、なかなか手を出しづらいのではないでしょうか。
そこでオススメなのがピルクル400で、こちらは1ケース10パック入りで、150円(税別、メーカー希望小売価格)で、1本あたり15円と大変リーズナブルで試しやすい価格となっております。
ヤクルト1000には100ml中YIT9029乳酸菌が1,000億個、ピルクル400には65ml中NY1301株が400億個入っており、乳酸菌の数で比較するとヤクルト1000が10億個/mlになるのにたいして、ピルクル400が約6.15億個/mlとなるので、私からすると大差は感じられず、それどころか価格の面から考えるとはるかにピルクル400の方が優れていると思います。
ヨーグルトについて
その他、ピルクルに加えてヨーグルトを適度に摂取することもオススメします。私は普段明治ブルガリアヨーグルトヨーグルトを食べることが多いのですが、ヨーグルトのなかでも、乳酸菌だけではなくビフィズス菌入りのものが、セロトニンを活性化させるためには良いですようです。
ちなみに「生きて腸に届く生きて腸に届く乳酸菌」と「殺菌乳酸菌」との違いですが、生きている菌は腸内環境を整え、死んでいる菌は腸内の善玉菌のエサとなり、免疫を高める効果があります。したがって、求める効果によっては殺菌された乳酸菌も健康の役に立ちますが、セロトニンを高めるために腸内環境を整えるのであれば、生きて腸に届く乳酸菌の入った食品をオススメします。
体内のセロトニン9割が大腸で作られており、その生成には腸内フローラが関わっています。腸のセロトニンが直接脳に使われることはありませんが、脳腸相関といい、腸内環境がよくなれば脳内環境にも良い影響を及ぼします。
また、腸内細菌は肉や魚、乳製品、大豆製品などに含まれるタンパク質を分解・合成し、セロトニンな原料となるトリプトファンをつくるため、腸内フローラを整えるために、大腸に生息する善玉菌であるビフィズス菌を摂るのが効果的です。
このような理由から、大腸で活動するビフィズス菌を摂取することができるビフィズス菌入りヨーグルトをうまく食事に取り入れるのが良いと思われます。
ビフィズス菌入りのヨーグルトには、森永乳業のビヒダスプレーンヨーグルトや小岩井生乳100%ヨーグルト(小岩井乳業)があるので、ぜひ試してみてください。
(3)中強度の運動をする。
週2~3回、45分以上の中強度の運動を行います。有酸素運動と無酸素運動をどちらか一方に偏るのではなく、バランス良く組み合わせるのが効果的です。中強度の運動とは、少し汗ばむくらいの運動量です。身体が適度に疲労することにより、質の高い睡眠をとることができます。
ただし、就寝前の3時間に激しい運動をしてしまうと、交感神経が過度に高まってしまい、なかなか副交感神経優位の睡眠モードに切り替えることができなくなってしまうため、運動する時間帯と運動の内容には注意が必要です。
それに加えて気をつけなければいけないことは、さきほど皮膚温度と深部体温の差が2℃以下に縮まることで眠気が引き起こされるとお伝えしましたが、この深部体温は運動をすることで大幅に上昇してしまいます。再び深部体温が下がるまでに4〜6時間かかってしまうため、ジョギング、ウェイトトレーニングやスポーツなどの中強度以上の運動をするのであれば、自然の眠気を引き起こすために夕方あたりまでに行うのが良いでしょう。
もしも夜に運動するのであれば、ヨガやストレッチがオススメです。ストレスの緩和にも効果がありますし、副交感神経を優位な状態に切り替えることができます。
また、これらの運動を行いながら、自分の呼吸・体・心に意識を向けて自身の状態に集中することで、『マインドフルネス』を行うことができます。
マインドフルネスの効果としては、ストレス耐性が高まることで心が安定して穏やかで充実した気持ちに満たされることや、集中力が高まることで仕事や家事などの生産性が上がることなどが挙げられます。
夜間にウォーキングされている方を時々見かけますが、太陽の光を浴びてセロトニンを活性化させるという面からみても、個人的には普段より少し早く起きて運動することをオススメします。
『早起きは三文の徳』ということわざがある通り、夜型よりも朝型の生活習慣の方が、頭が冴えて創作的な活動がはかどるし、朝の外の空気が美味しいし、ご飯もよりいっそう美味しく感じることができ、セロトニンもたくさん分泌されるので良いことだらけです。
それに夜更しをしてたら家族に良い顔をされないこともあるかと思いますが、朝早く起きて趣味に時間を費やす分には、母親や妻に何も臆することなく堂々と遊ぶことができます。
(4)就寝2時間前までに夕食を終える。
就寝の2~3時間前までに夕食を取り終えましょう。消化に悪いものを避けることも大切です。
就寝間近に食事を摂ってしまうと、体内の温度が下がりにくくなり寝付きが悪くなります。また、眠っている間も消化器系が活発に働き続けるため、睡眠の質も下がります。 特にタンパク質や脂肪を多く含む食物は消化が遅く、胃腸にも負担がかかります。
しかしながら、仕事や私生活の都合でどうしても夜遅くに食事を摂らなければならないこともあると思います。そのような時は、胃の負担にならない低カロリーで消化の良いものを摂るように心掛けましょう。高カロリーな食べ物は消化に時間がかかって胃に負担をかけてしまいます。
また温かいものを食べるように心掛けましょう。冷たいものは胃に負担がかかり、体温も下げてしまうので注意してください。
適度に温かい食べ物であれば、気分もリラックスして副交感神経が優位に働きます。満腹中枢が刺激されて満足感を得られるまでに15〜20分かかるため、早食いは避けてよく咀嚼して食べることが大切です。
食事の例としては、湯豆腐、温かいかけうどんやカフェインゼロの麦茶漬けなどが良いでしょう。これらは適度な温かさと食べごたえがあります。
熱すぎる食事は体温が上昇し過ぎて交感神経が優位になってしまうので気を付けてください。
また、カフェインやアルコールは睡眠を妨げるため摂らないように注意してください。
(5)入浴後、1時間半後を目安に就寝する。
冒頭の方でも少し触れていますが、ぬるめの湯にゆっくりとつかることで、寝る前に体の深部体温がぐっと下がり、眠気が引き起こされます。ぬるめの温度とは39~40℃で、10~15分くらいかけてゆっくりと入浴します。
適温のお風呂に入浴すると、皮膚温度が上昇して放熱を行い、身体内部の脳や臓器などの深部体温を下げます。そして皮膚温度と深部体温の差が2℃以下に縮まることで、眠気が引き起こされ質の高い睡眠をとることができるのです。
ちなみに私の場合、水温が下がってしまったら100円ショップで購入した水温計を使用して温度調整をしています。
子どもと入るときはお風呂の温度をぬるめにせざるをえないので、子どもたちを先にあがらせてから追い焚きをします。必要があれば冷水シャワーを浴びたり、冷水を飲んでのぼせないように注意します。深部体温を上げることも重要ですが、交感神経から副交感神経を優位に切り替えた状態を維持するために、リラックスした気持ちが良い状態で入浴を済ますことが大切です。
不眠症状が改善した今では、入浴時間が遅くなってしまった場合、深部体温を上げるプロセスを省略して、心地が良いくらいのぬるま湯やシャワーにしています。一度体温を上げてしまうと下がるまでに時間がかかってしまうので、入浴は副交感神経神経を優位に切り替えるだけに留めて、室温・寝間着・掛け布団などで体温調整をすることで比較的に早く寝付くことができます。
(6)寝る前に水分を取り過ぎない。
寝る前に水分を取り過ぎると、夜中に尿意をもよおし、目が冷めてしまいます。とはいえ、睡眠中の水分不足を避けなければなりません。そのため、夕食時に水分を十分にとり、寝る直前は水分摂取を必要最小限にとどめましょう。
(7)カフェイン飲料は午後2時までにする。
カフェインの半減期は、5〜8時間です。6時間たっても、体内では半分にしか減っていません。
半減期とは、体内に入った薬などの物質が、代謝や排泄などによって半分に減るまでに要する時間のことです。
そのため、午後10時に就寝するとしたら、逆算して午後2時以降は、コーヒー・緑茶・紅茶・ウーロン茶などのカフェイン飲料を摂ることを避けましょう。
不眠の症状が重いのであれば、摂取後8時間以降もカフェイン成分が体内に半分残っていることを考えると、カフェインは摂らないほうが良いです。
(8)お酒を飲まない。
アルコールは、中途覚醒(夜中に目覚めて再び寝付くのに時間がかかってしまうこと)を増加させます。
また、寝付きを良くするために飲酒する場合、連日アルコールを摂取するとわずか数日で耐性がつき、その効果は消失してしまいます。
身体依存や精神依存がおきるため、アルコールの摂取量が増えていき、悪循環に陥ってしまいます。
睡眠の質を良くしたいのであれば、お酒を飲むのを止めましょう。
(9)寝る前は刺激となることを避ける。
寝る前の2時間は、興奮系の刺激を避けましょう。テレビを観たり、ゲームをしないことはもちろんのこと、読書もジャンルの選択に気をつけなければなりません。例えば、ミステリー小説はストーリー性があり、面白くて脳が活性化してしまうかもしれません。読むのであれば啓蒙書や哲学書などを中心に、自分にとって興味がある内容や軽い筋書のものを選択したほうが良いです。
(10)スマホやPCの画面を見ない。
夜間、少なくとも就寝2時間前からスマホ・PC・テレビなどのブルーライトは見ないようにしましょう。
ブルーライトとは、人の目に見える光である可視光線に含まれている青色光のことです。
太陽光の他、パソコン・スマートフォン・テレビなど、バックライトにLEDが使われている液晶画面からブルーライトが発せられています。
夜にブルーライトを浴びてしまうと体内時計の調節が乱れ、睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまうので、スマホやPCなどの画面を見るのはやめましょう。
(11)就寝2時間前からはリラックスできることをする。
ストレッチをしたり、ゆったりとした音楽を聞いて、副交感神経を優位にしましょう。副交感神経が優位になるとリラックス状態となり眠気が生じ休息モードになります。
また、家族やペットと過ごして、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌を増やしましょう。オキシトシンは、ストレスを緩和させ、質の良い眠りをもたらしてくれます。
(12)睡眠日誌を記録する。
睡眠の記録をとることは、自己の睡眠生活を客観視することができ、健康管理に役立つのでオススメします。
睡眠日誌はウェブ上でもフォーマットを手に入れることができますが、既存の睡眠日誌は、就寝・入眠・覚醒・起床時間をグラフ化させるもので、いちいち眠りに入った時間や中途覚醒した時間を記録しなければならず、そのために時計で時間をチェックするようであればかえって目が冴えてしまう恐れがありますし、毎日の記録としては単調で振り返るにはあまり効果的だとは思いません。
そこで私は以下のような記録をとることにしています。
記録の仕方
(起床後)
①起床時間
②体調%(100を上限に数値化したもの)
③就寝時に覚醒した回数
④眠気について
⑤心身の健康状態について
(就寝前)
スリー・グッド・シングス
就寝時間
その他、夜にアルコールやカフェインを取ったのであれば、その量と時間も記録する。
スリー・グッド・シングスとは、心理学者セリグマン博士が提唱したストレス解消方法で、寝る前にその日に起きた良いことを3つ書き出すというものです。
私の場合は書き出しやすいように、「良いこと」「感謝したこと」「幸運だったこと」の他、「ネガティブに感じたこと」も書くようにしていています。その方があれこれ思いつきやすいからということもあり、数も3つにこだわらず、書きたければいくつでも書き出しています。
注意点として、ネガティブなことを書くときは、嫌だったことを書き出した後に「それでよい、仕方がない。」と思考を切り替えて、ポジティブな文言で締めくくるにようにしています。そうすることで心のなかが整理され、ストレスを受け流すことができるしなやかな思考法を身に付けることができるようになります。
これらの情報を一つのノートにまとめることで、定期的にフィードバックする(振り返る)ことができ、生活改善や新たな気付きつなげることができます。
具体的に書いてみるとこんな感じのなります。
睡眠記録の具体例
○年○月○日
6:00起床
70%(健康状態)
中途覚醒数回(あんまりはっきりとは覚えてないことが多いので大体いつもこんな感じに書いています。熟睡して夜中に目が冷めなかったときは「中途覚醒なし」)
眠気はあまりなし(眠気があるならそのように書く)
心身ともにOK(総括として自分の状態を評価する)
・〇〇が良かった。
・〇〇が楽しかった。
・〇〇なことが幸せだった。
・〇〇ができてラッキーだった。
・〇〇なこと(嫌なこと)があったが、仕方がない。そのことにたいして、〇〇のように(ポジティブな)思えるようになることができて良かった。
※無理がない程度に書きたければ書きたいだけ書き出す。
22:00就寝
このような感じです。健康状態の数値化もぜひ行ってみてください。人は自分が無理をしていても、なかなかそれに気が付きにくようです。そのため、自分の健康状態を客観的に数値化することで、疲労がたまってきたら早めに気付くことができ、手遅れになる前に対処することができます。
あくまで上記は参考例ですので、他に書きやすくなるのであれば独自に工夫してみてください。
以上、これらの12のポイントを全て行うことで、劇的に睡眠の質が良くなっていくはずです。
細かいこと挙げようとすれば他にもまだまだあるのですが、重要なことは全て紹介したと思いますので、必要に応じて睡眠改善に関する他の方々の著書をご参照してください。
みなさまの睡眠がさらに良くなることを願い、本稿を締めさせて頂きたいと思います。
※睡眠に関するオススメの本を以下に紹介しますので、興味をもたれた方はぜひご一読ください。
オススメな書籍
1『スタンフォード式 最高の睡眠』
西野精治(著)、サンマーク出版
スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長で、睡眠医学の権威として有名な方です。
本書では睡眠の質を高めるためのポイントを、科学的根拠を基に分かりやすく説明されているので、とても読みやすく実践しやすいです。
この本に書かれている『体温スイッチ』の知識を得たことで、私の睡眠を劇的に変えることができました。
睡眠に関する書籍はたくさん出ていますが、誤った理解をしないための基礎として、この本を読まれることをオススメします。
2『SLEEP 最高の脳と身体を作る睡眠の技術』
ショーン・スティーブンソン(著)、ダイヤモンド社
次にオススメするのがこの本です。
残念ながら2019年に亡くなられたショーン・スティーブンソンは、健康に関するメディアのクリエイター、個人・企業向けの健康アドバイザーとして有名です。
睡眠ホルモン・深部体温・腸内環境などの睡眠に関する基礎知識や、運動の効果や飲酒・電子機器・カフェインの睡眠における弊害、その他、マインドフルネス、サプリメントの効果など、睡眠に関する独自に習得された知見に基づいて詳しく紹介してくれています。
以上の2冊を読んだら睡眠における知識は十分です。この2冊のメソッドを基に、必要に応じて個々の状況に合う睡眠の改善法を、その他の書籍やウェブで収集されたら良いと思います。