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分かっているのに変えられないわたしのこと

分かりやすいものが好きです。あ、幸せなんだな。あ、悲しいんだな。あ、そろそろ怒られる。分かりやすい空気が好きです。分かりやすく感じられるものが好きです。分かりやすくなんでも感じてしまうから、感じたものを素直に表現できる人が羨ましいです。感じたものを選ばない人になりたいです。感じたものに対して素直になりたいです。感じてしまった悪いことに気づかないふりをしてしまうのをやめたいです。なんでも幸せになってほしいと願うことと傷つけないことが同意義になってしまうわたしの思考を殺したいです。触れ続けていたいものはたくさんあるのにそのどれも最後まで愛し続けられないことが悔しいです。無力な自分を恨みたいです。本気で泣けるほど自分のことを考えられなくなってしまったことが悲しいです。自己防衛が上手になってしまったわたしのことを愛してほしいです。

わたしに対して真剣になってくれるのはどうしてでしょうか。わたしの一言を真正面から受け止めようとしてくれるのはどうしてでしょうか。おせっかいという一言で片づけてしまえるものがとても心地いいのはどうしてでしょうか。ここまでしてもらっても泣けないわたしの心は本当に殺されてしまったのでしょうか。

最近は、なんとなく似たメロディー、なんとなくいい曲名、なんとなく分からない歌詞の音楽が好きです。もう、違いは分からない。なんとなくを信じています。二回目でなんとなく違ったらさようならをする。なんとなくの取捨選択が怖くなくなってきました。

不確かなものにおびえることがなくなりました。その代わり、答えのあるものがこわくなりました。決まった道のりを歩くことが気持ち悪くなりました。与えられるものを信じられなくなりました。キラキラしている、よくわからないものを追いかけすぎて、いまここに、わたしはいませんでした。

言葉にできないような感情を残すことが好きでした。でも、そんな感情は言葉にできないままだからよかったのかもしれない、とも思います。言葉で表せてしまうような、ほかの誰かに共有できてしまうわたしの感情は、それほど特別なものではないということを証明されてしまいました。意味の分からないことをひたすらつらつらと並べていますが、こういう行為をなんとなく続ける日々がわたしは好きでした。

だれかの一番にはなれない人間なのよ、わたし。みんなに好かれていて羨ましいと言ってくれた友人への返答は皮肉に聞こえたでしょうか。たったひとりの存在にはなれないのです。だって、わたしの中にたったひとりの誰かもいないから。みんなが大好きです、でも、だれのこともわたしは一番にできない。一番と引き換えに手に入れた、大多数にも満足できません。だからわたしはずっと、ひとりぼっち。

泣いていた日々、どうしてわたしはあんなにも泣けたのでしょうか。どうして今、泣くことを意識しても泣けないのでしょうか。しばらく人の前で泣いていません。毎日泣いていた、あの日々は幻想でしょうか。人前で泣けなくなってしまったのは、わたしが変わってしまったせいでしょうか。これは正しい変化でしたか。いつのわたしに問いかけていいのかもわからない。わたしはなにを、だれを、わたしのどこを信じて生きてきたのでしょうか。わたしの生きがいは、どこにあったのでしょうか。

自分のことを考えすぎて潰れていた日々が恋しくなりつつあります。あの苦しかった日々に帰れば、わたしはまた、今のわたしに必要な答えが見つかるでしょうか。でも、本で読みました。過去はない。未来もない。あるのは、今だけ。今しか消費できない、今しか生きられない。過去も、未来も、今の連続。

頼れない、というと、頼ることをしなくなった時点でその人は期待されなくなる、という言葉が返ってきました。頼り方を知りたい、というと、一人じゃどうしようもなくなったら誰かに頼れ、でないと実は誰もお前にも頼れないんだ、という言葉が返ってきました。分かるのに、分からなかった。飲み込もうとして、つっかえてしまう。この言葉を受け入れるには早すぎた。わたしは、まだまだ自分に向き合う時間が足りないみたいです。

人の言葉のすべてを鵜吞みにしようとすると矛盾が生じることを知りました。世の中は矛盾だらけです。その中で、上手に自分の大切を選択して生きているのが普通の人間です。そんな簡単なことができない自分が悔しいです。わたしのいう普通の人間は、真面目だとか、ちゃんとしているとか、そういうことじゃないです。普通に、生きていられる人間です。生きることを疑わず、自分を殺さず、明日が当たり前にくる人間です。わたしは日々も、自分も、他人も、信じていない。すべてを受け入れるから、すべてに興味がない。すべてを一緒にしてしまうから、正しさの基準がない。自分と他人とのずれを直そうと思っても、その直し方が分からない。分かると思って放置していたら、一生直らなくなった。そういうもの。

だれかに必要とされたいならこんな言葉は残さなかった。だれかに認められたいならこんな感情は言葉にしなかった。だれかに愛されたいのに、こうやって自分を表現することしか、わたしは知らない。



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