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2022年9月の記事一覧

アーロン・ジャッジ選手の年間61本塁打を讃える

現地時間の9月28日(水)にロジャース・センターで行われたニューヨーク・ヤンキース対トロント・ブルージェイズ戦において、ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が今季第61号本塁打を放ち、1961年にヤンキースのロジャー・マリスが達成したアメリカン・リーグの年間最多本塁打記録に並びました。

マリスが61本目の本塁打を放った際には、ベーブ・ルースが1927年に記録した大リーグ記録である60本塁打が更新さ

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「安倍元首相の国葬終了後」に岸田文雄首相に求められるのは何か

昨日行われた安倍晋三元首相の国葬儀について、実施を決定した岸田文雄内閣が十分な説明を行ってこなかったことが賛否の対立を深めた一員であるという点を本欄で指摘しました[1]。

しかし、当事者にとってこうした見方は、たとえその通りであると了解されていても認めることが難しいのは明らかです、何故なら、ひとたび説明の不十分さを認めれば、国葬の正当性そのものが失われかねないからです。

それだけに、昨日自民党

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安倍晋三元首相の国葬を巡る重要な問題点は何か

本日、日本武道館において安倍晋三元首相の国葬儀が執り行われました。

安倍氏については、首相在任中、とりわけ2012年12月に第2次内閣が発足して以来の政権運営の方法や各種の政策に是非の意見があるのは周知の通りです。

そのため、首相としての安倍氏の手腕や事績については、当時だけでなく現在、そして今後も不断に批判され、検証されることが必要となります。

一方、今回の国葬を巡っては、安倍氏の政治手法

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アルバート・プホルス選手の「大リーグ通算700本塁打」を讃える

現地時間の9月23日(金)に行われたセントルイス・カーディナルス対ロサンゼルス・ドジャース戦でカーディナルスのアルバート・プホルス選手が2本の本塁打を放ち、今季21号、通算700号を記録しました。

大リーグでの通算本塁打が700本に達したのは、バリー・ボンズ、ハンク・アーロン、ベーブ・ルースに続き、史上4人目の快挙となります。

ところで、プホルス選手については、私が2003年6月10日に大リー

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「ジャッジと大谷のMVP争い」はいかなる意味を持つか

2022年の大リーグのレギュラーシーズンは、10月5日(水)の終了日まで残すところ2週間弱となりました。

現在、アメリカン、ナショナルの両リーグでは各地区の優勝球団が決まりつつあります。

また、アメリカン・リーグでは現地時間の9月22日(木)の時点でニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が大リーグ史上通算6人目の60本塁打を記録し、打率と打点の2部門でも首位となり、2012年のミゲル

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支持率低下に直面する岸田文雄首相に勧める「菅流」からの脱却

各種世論調査での支持率の低下に直面する岸田文雄内閣がどのような方法で苦境を脱すべきかという点については、一昨日の本欄で指摘した通りです[1]。

すなわち、海部俊樹内閣のように政治改革を標榜し、そのためにあらゆる努力を惜しまない方法が岸田文雄首相にとって重要な方策となります。

ところで、岸田内閣に対する世論の批判の背景となる事柄の一つとして挙げられるのが、安倍晋三元首相の国葬の問題です。

安倍

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支持率低下に直面する岸田文雄首相に勧める「海部流」の政権運営

各種世論調査で岸田文雄内閣への支持率が低下しています。

本日公表された日本経済新聞とテレビ東京による世論調査でも、昨年10月の政権発足以来初めて不支持が支持を上回るなど[1]、これまで堅調に維持してきた支持率の低下が進んでいます。

岸田内閣への支持が低下している主な理由は、今年7月8日の安倍晋三元首相の急逝後に明らかになった政界における世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係の深さにまつわる

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2022年のロベルト・クレメンテ・デーが示す「大リーグにおける多様化の推進」の一側面

現地時間の9月15日(木)、大リーグではロベルト・クレメンテ・デーが催されました。

これは、1955年から1972年までピッツバーグ・パイレーツに所属し、通算3000本安打を記録したものの、1972年12月31日にニカラグア地震の被災者に救援物資を届けようとした際に起きた航空機事故により落命したロベルト・クレメンテ選手を讃え、没後30年となる2002年に始まった催事です。

クレメンテ選手の没後

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村上宗隆選手の「55号本塁打」の持つ意味は何か

昨日、明治神宮球場で行われた読売ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズの24回戦で、スワローズの村上宗隆選手が今季第55号本塁打を記録し、1964年の王貞治、2001年のタフィ・ローズ、2002年のアレックス・カブレラの3選手と並び、年間本塁打数で歴代2位となりました。

今季の村上選手はこれまで延べ14人が達成した年間50本塁打以上の記録に歴代最年少の22歳で到達しており、残り15試合で日本プロ野

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ジャイアンツのキャプラー監督が銃規制問題に抗議して国歌斉唱に参加しなかった背景

去る6月27日(月)、日刊ゲンダイの2022年6月28日号26面に連載「メジャーリーグ通信」の第118回「ジャイアンツのキャプラー監督が銃規制問題に抗議して国歌斉唱に参加しなかった背景」が掲載されました[1]。

今回はサンフランシスコ・ジャイアンツのゲーブ・キャプラー監督が当局による銃規制問題への対応を批判して国歌斉唱に参加しなかった事例を手掛かりとして、大リーグにおける選手や監督と政治・社会問

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「安倍元首相の国葬を巡る閉会中審査」はいかなる意味を持つか

昨日、衆参両院の議院運営委員会で閉会中審査が開かれ、安倍晋三元首相の国葬を巡る審議が行われました[1]。

衆議院議院運営委員会の冒頭で岸田文雄首相は安倍元首相の国葬について、以下の5点から適切な判断であるとしました[2]。

行政府の判断において安倍元首相の国葬を決定することは、例えば「行政権は、内閣に属する」という日本国憲法第65条の規定を根拠とすると考えれば、一定の合理性が存すると言えるでし

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「いばらの道」への第一歩を踏み出したリズ・トラス英国首相

昨日、保守党党首選挙に勝利したエリザベス・トラス氏が英国の首相に就任しました[1]。

新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した際の行動規制が問題視され、首相の辞任に繋がったボリス・ジョンソン氏が掲げた欧州連合(EU)からの離脱や対中露政策での強硬な姿勢を一貫して支持したのがトラス氏です。

こうした「親ジョンソン」の姿勢が、辞意を表明した後も保守党内で強い基盤を持つジョンソン氏を支持する党員の支

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舞台俳優としての矜持を示した山﨑努さんの「私の履歴書」

去る8月31日(水)、俳優の山﨑努さんが担当した日本経済新聞の連載「私の履歴書」が終了しました。

11歳で父を亡くし、苦しい家計を助けるために新聞配達、牛乳配達、納豆売りとよりよい収入を求めてアルバイトを変えていた少年が東京都立上野高等学校や幹部に在籍中に映画鑑賞を始めるとともに、友人の影響で新劇を鑑賞して俳優を目指す様子や、俳優座附属俳優養成所を振り出しに文学座と劇団雲を経て独立し、舞台、映画

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99年前の関東大震災からわれわれは何を学べるか

今日、1923(大正12)年9月1日の午前11時58分に関東大震災が発生してから99年目を迎えました。

震災を実際に経験した人の数も年を追うごとに減少し、被災者の話を直接耳にした人も少なくっているという現状を考えれば、関東大震災が今や教科書に掲載される歴史の中の出来事の一つとして定着しています。

また、1923年当時と現在とでは建築技術の向上や建築物の耐震や防火の基準の厳格化が進み、いわゆるハ

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