安倍晋三元首相の国葬を巡る重要な問題点は何か

本日、日本武道館において安倍晋三元首相の国葬儀が執り行われました。

安倍氏については、首相在任中、とりわけ2012年12月に第2次内閣が発足して以来の政権運営の方法や各種の政策に是非の意見があるのは周知の通りです。

そのため、首相としての安倍氏の手腕や事績については、当時だけでなく現在、そして今後も不断に批判され、検証されることが必要となります。

一方、今回の国葬を巡っては、安倍氏の政治手法への否定的な見方や、いわゆる旧統一教会との関係の深さなどから、反対の声があるのも事実です。

もとより各人があらゆる事柄に対して賛否を示すことは、健全な社会の維持と発展のためにも不可欠です。

従って、安倍氏の国葬に対する賛成ないし反対の意見が示されるのは、重要なことです。

ただ、国葬そのものは、当然ながら安倍氏の生前には何も決まっていないことでしたから、安倍氏自身の遺志や判断の及ばないところで進められた出来事に他なりません。

もし国葬への批判が起きたなら、第一義的に対応すべきは国葬の実施を閣議決定した岸田文雄内閣であることは、明白です。

それにもかかわらず、岸田文雄首相は安倍氏の国葬がなぜ必要であるかという点については国会での明確な議論を行わず、国民に対しても不十分な説明を繰り返すばかりでした。

結果として、安倍氏は自らの力の及ばない出来事によって死後により多くの批判を受けることになったのですから、岸田内閣は初期の対応を間違え、その後も適切に対応できないまま今日を迎えたと言えるでしょう。

日本国憲法下で2例目となった国葬が、時の政権の周到さを欠く対応によって多くの批判を受ける催事となったことは、本欄の大いに遺憾とするところです。

<Executive Summary>
What Is a Remarkable Viewpoint for the State Funeral of Former Prime Minister Shinzo Abe? (Yusuke Suzumura)

Today the State Funeral of Former Shinzo Abe is conducted at the Nippon Budokan. On this occasion we examine an important problem of the national event.

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