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評論

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2022年4月の記事一覧

「史上2回目のバハマ出身大リーグ選手の対戦」はいかなる意味を持つか

現地時間の4月27日(水)、ナショナルズ・パークにおいてマイアミ・マーリンズとワシントン・ナショナルズが対戦しました。

この試合では、マーリンズのジャズ・チザム・ジュニア選手とナショナルズのルシウス・フォックス選手がナショナルズ・パーク戦に出場しました。そのため、1961年4月22日にシカゴ・カブスのアンドレ・ロジャース選手とフィラデルフィア・フィリーズのトニー・カリー選手が対戦して以来、初めて

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「知床半島沖海難事故」からわれわれは何を学ぶべきか

去る4月23日(土)に北海道知床半島沖で起きた観光船KIZUNA Iの遭難事故について、昨日運航会社である知床遊覧船の桂田精一社長が記者会見を行いました。

会見では、同社の定める運行基準を超える中で出港を強行したことや機器や備品の不十分さなど、桂田氏自身と会社としての安全管理の不徹底や危機管理意識の不十分さが示されました[1]。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前には年間6000万円

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いわゆる「佐々木・白井問題」はどのように理解されるべきか

4月24日(日)に行われた千葉ロッテマリーンズ対オリックス・バファローズの第6戦で起きた、マリーンズの佐々木朗希選手と主審の白井一行審判員との間での「ストライクゾーンを審判が厳格に判断することに不服そうな表情を浮かべ、審判から詰め寄られる」という出来事は、様々な観点からの理解や分析が可能です。

ただし、議論の出発点は、「佐々木投手の態度は公認野球規則に違反していたか否か」であり、「問題があった場

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再選を果たしたマクロン氏を待ち受ける課題は何か

4月24日(日)にフランスで大統領選挙の決選投票が行われ、現職のエマニュエル・マクロン候補が国民連合のマリヌ・ルペン候補を破り、再選されました。得票率はマクロン候補が58.5%、ルペン候補が41.5%でした[1]。

EUやNATOを基軸とする国際協調を重視するマクロン候補が当選したことで、現在の国際社会の最大の懸案事項であるロシアによるウクライナへの侵攻の問題については、各国の結束が維持されるこ

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「分かりやすい構図」がもたらす「大谷ルール」への支持

去る3月28日(月)、日刊ゲンダイの2022年3月29日号25面に連載「メジャーリーグ通信」の第112回「「分かりやすい構図」がもたらす「大谷ルール」への支持」が掲載されました[1]。

今回は2022年のシーズンから導入された、投手を指名打者として起用した場合に限って降板後も打者として継続して試合に出られるという規則、通称「大谷ルール」について、大きな反対が起きない理由を「分かりやすさ」という側

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「維新と国民の相互推薦合意」はいかなる意味を持つか

昨日、日本維新の会の馬場伸幸共同代表と国民民主党の前原誠司代表代行が会談し、今夏に行われる参議院議員選挙について、静岡県と京都府の選挙区でそれぞれが支援する候補者を互いに推薦することで合意しました[1]。

両党が相互推薦の合意文書を取り交わすのは初めてとなります。

国民民主党に対しては、党の淵源とともに労働組合を主たる支持母体とすることでも共通項の多い野党第1党の立憲民主党が選挙協力を働き掛け

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「山本太郎氏の議員辞職」の持つ意味は何か

昨日、衆議院本会議において、れいわ新選組の山本太郎代表の衆議院議員の辞職を許可しました[1]。

山本氏は今夏に行われる参議院議員選挙に選挙区から出馬する予定で、自らの高い知名度を活かした議院の鞍替えによってれいわ新選組への注目を集める戦略であると考えられます[2]。

所属議員が衆参合わせて5人という小政党であり、代表の山本氏の知名度はあっても国会の議論の中で政党そのものの存在感に欠けることは否

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発表された「万博の主要8パビリオン」の問題は何か

昨日、2025年国際博覧会、いわゆる大阪・関西万博の運営主体である2025年日本国際博覧会協会が中核となる8つのパビリオンの基本計画を発表しました[1]。

計画では新型コロナウイルス感染症の感染拡大後の社会のあり方を提示する企画が紹介されました。

大阪・関西万博は2021年10月から2022年3月まで開催されたドバイ万博のような国威発揚型ではなく、日本が抱える高齢化などの問題の解決方法を模索す

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佐々木朗希投手の快投が蘇らせる「1938年のジョニー・ヴァンダー・ミーア」

昨日、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が北海道日本ハムファイターズ戦に登板し、8回を投げて一人の打者にも出塁を許さない完全試合の状態を達成し、降板しました。

佐々木投手は4月10日(日)のオリックスバファローズ戦でも9回を投げて完全試合を達成しています。そのため、17回にわたり一人の走者も出さないという球史に残る快挙を成し遂げたことになります。

ところで、実質的に「2試合連続での完全試合」

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75年目に改めて考えるジャッキー・ロビンソンが「人種の壁」を乗り越えた意味

本日、1947年4月15日にジャッキー・ロビンソン選手がブルックリン・ドジャースに昇格し、本拠地エベッツ・フィールドで行われたフィラデルフィア・フィリーズ戦に出場してから75年が経ちました。

これにより、ロビンソン選手は、1884年に当時の大リーグの1つであったアメリカン・アソシエーションのトレド・ブルーストッキングスに所属したモーゼス・フリート・ウォーカー選手以来63年ぶり、近代の大リーグとし

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「佐々木朗希投手の完全試合達成」が持つ意味は何か

昨日、ZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテマリーンズ対オリックスバファローズの3回戦において、マリーンズの佐々木朗希投手が完全試合を達成し、マリーンズが6対0で勝利しました。

日本プロ野球で完全試合が記録されるのは、1994年以来28年ぶりとなります。また、佐々木投手は20歳5か月であるため、1960年に島田源太郎投手が20歳11か月で達成した従来の記録を更新し、史上最年少で完全投手を実

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