佐々木朗希投手の快投が蘇らせる「1938年のジョニー・ヴァンダー・ミーア」

昨日、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が北海道日本ハムファイターズ戦に登板し、8回を投げて一人の打者にも出塁を許さない完全試合の状態を達成し、降板しました。

佐々木投手は4月10日(日)のオリックスバファローズ戦でも9回を投げて完全試合を達成しています。そのため、17回にわたり一人の走者も出さないという球史に残る快挙を成し遂げたことになります。

ところで、実質的に「2試合連続での完全試合」を行った佐々木投手の事績に比肩しうる事例として思い浮かぶのは、1938年6月11日と6月15日におけるジョニー・ヴァンダー・ミーア投手です。

シンシナティ・レッズに所属していたヴァンダー・ミーア投手は、6月11日にボストン・ビーズ、15日にブルックリン・ドジャースとの試合に登板し、前者で打者28人に3四球のみ、後者で35人の打者に8個の四球を与えつつ、1本の安打も1点も許さずに試合を終えました。

大リーグ史上、現在も唯一の「2試合連続無安打無得点試合」を実現したヴァンダー・ミーア投手は、ドジャース戦の9回裏に3者連続で四球を与え、さすがに重圧の強さに襲われたかのようでした。しかし、レッズの監督ビル・マケシュニーが「投げ急がず、いつもの調子で投げるように」と助言したことが奏功し、続く2人の打者を打ち取り、偉業を達成します。

投球の内容も状況も異なるとはいえ、昨日の佐々木投手も、ヴァンダー・ミーア投手と同じような心境であったかもしれません。

それでも、結果として登板した17回で一切の走者を許さなかったのですから、佐々木投手が想像を絶する重圧を乗り越えたことは想像に難くありません。

1951年に現役を引退したヴァンダー・ミーア投手は、後に「いつかは誰かに並ばれるかもしれないが、2試合連続無安打無得点試合の記録が破られるとは思わない」と述懐しています。

これは、佐々木投手の心境を知るには格好の一言であるとともに、すでに佐々木投手が球史に残る存在を参照しなければならないことを告げています。

その意味でも、今後の佐々木投手の投球への期待がますます高まると言えるでしょう。

<Executive Summary>
What Is a Meaning of Mr. Roki Sasaki and His Historical Achievement? (Yusuke Suzumura)

Mr. Roki Sasaki of the Chiba Lotte Marines pitched for eight innings against the Hokkaido Nipponham Fighters and they did not hit or score a run on 17th April 2022. In this occasion we examine a meaning of this historical event for the Japanese Professional Baseball compared with the history of American baseball.

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