いわゆる「佐々木・白井問題」はどのように理解されるべきか

4月24日(日)に行われた千葉ロッテマリーンズ対オリックス・バファローズの第6戦で起きた、マリーンズの佐々木朗希選手と主審の白井一行審判員との間での「ストライクゾーンを審判が厳格に判断することに不服そうな表情を浮かべ、審判から詰め寄られる」という出来事は、様々な観点からの理解や分析が可能です。

ただし、議論の出発点は、「佐々木投手の態度は公認野球規則に違反していたか否か」であり、「問題があった場合は白井審判員の対応は公認野球規則に則っていたか否か」であると言えるでしょう。

すなわち、もし佐々木投手の態度が公認野球規則の何らかの規定に違反していたのなら、白井審判員が規定に従って佐々木投手に何らかの注意や傾向を与えるとしても不思議ではありません。

また、もし佐々木投手の行動が規定の範囲内であるなら、白井審判員は過剰な対応をしたことになります。

このような点から考えれば、元プロ野球審判員の山崎夏生氏による「白井氏は審判としてルールを守ったと言えるが、試合後に説明責任を果たさなかったのは問題」という趣旨の指摘[1]は、問題の所在を明らかにしています。

ここで山崎氏が言及するのは公認野球規則8.02(a)の原注「ボール、ストライクの判定について異議を唱えるためにプレーヤーが守備位置または塁を離れたり、監督またはコーチがベンチまたはコーチスボックスを離れることは許されない。もし、宣告に異議を唱えるために本塁に向かってスタートすれば、警告が発せられる。警告にもかかわらず本塁に近づけば、試合から除かれる。」を念頭に置いたものです。

従って、今回の事例に即せば、佐々木投手は判定について異議を唱えるためにマウンドを離れたのか否かが問題の争点となります。そして、もし異議を唱える意図があったのであれば白井審判員の対応は適切となり、そうでなければ不適切であったということになります。

それとともに、試合終了後の記者団からの質問に回答しなかったことを含め、白井審判員がいかなる判断に基づいたかを公表していないことが今回の一件をより難しい問題としていることは、山崎氏の指摘からも明らかです。

それだけに、今後、この出来事については、上記の点に基づきながら解決されることがより重要になると言えるでしょう。

[1]佐々木朗希を威嚇した白井球審 過去のトラブルと「本当の問題点」. FRIDAY DIGITAL, 2022年4月25日, https://friday.kodansha.co.jp/article/240811 (2022年4月27日閲覧).

<Executive Summary>
What Is an Important Way to Solve the "Sasaki-Shirai Issue"? (Yusuke Suzumura)

A struggle between Mr. Roki Sasaki of the Chiba Lotte Marines and Chief Umpire Kazuyuki Shirai is a kind of simple issue to solve, since there are only two points in the issue, compliance of the rules and the way of applying the rules. Therefore participants of the issue have to pay their attention carefully to these points.

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