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社会

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2021年4月の記事一覧

情報はものがたりのすがたでやってくる

情報はものがたりのすがたでやってくる

『言海』というのは、明治時代に編まれた日本初の国語辞典である。日本が近代国家の仲間入りをするためには国語の辞書というものが必要で、当時文部省に勤めていた大槻文彦氏がその編纂を命じられ、独力でとりくんだ。そして紆余曲折をへて、16年かけて自費出版にこぎつけることになる。

『言海』は、そういう明治維新のたましいみたいな本であり、かつては古書でずいぶん値段が張ったそうだけど、いまではちくま文庫に入って

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性愛は流動的でたえずかたちをかえていく

性愛は流動的でたえずかたちをかえていく

さいきんは、LGBT、LGBTとよくいわれる・・・とおもっているうちにLGBT「Q」になってしまった。さいごにくっついた「Q」は「クエスチョニング」という意味なのだそうだ。つまり、じぶんをどの型にもあてはめない人である。

よく一括りにゲイとかレズビアンとか言ってしまうけど、よく見ればいろんな人がいるじゃないですか?ゲイでもレズビアンでも性愛の形は一人ひとりちがう。

女性が女性を好きになるばあい

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ぼくは儀礼が苦手

ぼくは儀礼が苦手

かつてある先輩教師が「始業式、終業式っていいもんだね~。気分がピリッとする」とうれしそうに言っていたが、ぼくにはまったく理解できない。授業が始まれば学校は始まるわけだし、授業が終われば学校は終わるのだ。それだけなのに、なぜみなで集まって頭を下げたり、あいさつをしたりしなければならないのかわからない。

じっさいのところ、始業式や終業式などが行われるのは高校までで、大学にはなにもない。大学には「起立

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歴史はポイントが設置されているレールのようなもの

歴史はポイントが設置されているレールのようなもの

「わたしが世の中を操縦しています」などという人はどこにもいない。影響力の大きい小さいはあるにせよ、大小のいろんな力があわさって動くのが世の中というものであり、最終的にはみな流されていくしかない。

たとえば、西南戦争を西郷隆盛がしかけたと考えるひとはいないだろう。いろんな力や偶然がかさなって、起こらざるを得ないことになり、西郷はその動きに乗った。いったん乗ってしまえば、あとはレールの上を「自害」と

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こういうひとが報われない社会は終わっている

こういうひとが報われない社会は終わっている

ERとICUは似たようなもんだと思い込んでいたけど、かなりちがうみたいだ。簡単にいえば、ERは外来のきわどい人に、ICUは入院中のきわどい人に対応するのだとヤフー知恵袋に書いてあった。まあ、きわどい点は同じだけど。

昨晩NHKスペシャルで「看護師たちの限界線〜密着 新型コロナ集中治療室〜」というのを見た。新型コロナ病棟のICUを担当している看護師の方々が心身ともに限界にきているという内容で、5か

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大事な情報はオーダーメイドでしかやってこない

大事な情報はオーダーメイドでしかやってこない

衣服には既製品(レディメイド)とオーダーメイド(カスタムメイド)というものがある・・・などと知ったかぶりしているが、ぼくはオーダーメイドのスーツなど作ったことがないのでなんとなくイメージしているだけである。

なので想像で語るけど、オーダーメイドの服というのは、僕の体に合わせて、そして、ぼくの用途や、そのときの状況や、気分や好みに合わせて作ってくれるものだろう。散髪みたいなものであり、仕立て屋さん

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スマホを見るたびに思うこと

スマホを見るたびに思うこと

世間に出ている工業製品は、色とりどりだ。その色にぼくらは消費意欲をそそられるし、わくわくさせられる。

とはいえ、ぼくがこうしたカラーリングを見てまず感じるのは、ワクワク感よりもシンナーの匂いである。条件反射的に思い出してしまう。

かつて、ぼくは警備員のパートをしていたことがある。深夜に数か所の工場を巡回していたのだが、その一つに塗料工場があった。

そこは、携帯電話の塗料についての特許を持って

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恋愛はDIYにかぎる

恋愛はDIYにかぎる

自分の力だけで生きている人はいない。むしろ、ほとんどの人は、大半のものごとを「外注」して生きている。

水一杯のむにしても上水道というシステムにたよっている。「北の国から」のように小川からくんだりしていない。コメも自分で作らず店で買う。その他もろもろを外注している。

これは、作物栽培のプロにたより、水道のプロにたより、さまざまな人の専門技術に頼っているということだ。

しかし、外注には「専門家に

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戦わずして勝つ

戦わずして勝つ

「子供叱るな来た道だ。年寄り笑うな行く道だ。」という言葉がある。

高齢者がサギのターゲットにされやすいのは今も昔もおなじだろうが、ネット時代に入ってその傾向は加速した。パンデミックでリモート化が進むにつれて、さらに拍車がかかっている状況だ。

テクノロジーとのかかわり方は、年齢によってかなり異なる。テレビは、高齢の視聴者多く、YouTubeやTikTokには若い人が多い。

通信手段もしかりで、

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長く会っていない友人へ

長く会っていない友人へ

学生時代にいちばん親しかった友だちとは、もう20年近く連絡していない。ただし、ぼくから疎遠にしているつもりはない。

連絡しないのは、したくてもできないのである。引っ越しをくりかえす間に、アドレス帳や過去の年賀状をごっそり紛失してしまった。

いくら探しても出てこないので、捨ててしまったのかもしれない。数日前の記事に書いたが、15年ほど前に本を完全断捨離したことがあり、あのとき資源ごみに出してしま

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低欲望が地球を救う

低欲望が地球を救う

これまでなんども書いてきたことだが、 ぼくはコロナ禍の行動規制になんのストレスも感じていない。世界で280万人の死亡者を出している大災害に対してこういうことを書くのは申し訳なく思うけれども、事実は事実である。

ストレスを感じない理由のひとつは、もともと家の中にいて平気なタイプだからである。一日一回公園を散歩できれば十分だ。

もうひとつの理由は、欲望が小さいからだろう。食事にも衣服にもこだわらな

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