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恋愛はDIYにかぎる

自分の力だけで生きている人はいない。むしろ、ほとんどの人は、大半のものごとを「外注」して生きている。

水一杯のむにしても上水道というシステムにたよっている。「北の国から」のように小川からくんだりしていない。コメも自分で作らず店で買う。その他もろもろを外注している。

これは、作物栽培のプロにたより、水道のプロにたより、さまざまな人の専門技術に頼っているということだ。

しかし、外注には「専門家にたよる」以外にもうひとつの側面があり、それは「代理を立てる」ことだとおもう。人間関係のストレスを避けるために代理を立てるのである。

森の中の一軒家に住むのとちがって、共同体で暮らせば他人とのトラブルに巻き込まれやすい。もめごとが起こったばあい、自分で対処するより、あいだに人を立てたほうがスムーズに解決しやすい。

たとえば、自動車事故の交渉は、保険業者があいだに入った方がスムーズにいく。業者にはもちろん技術もあるわけだが、それ以上に、利害関係のない第三者が仲介することでハナシがスムーズに進むというメリットが大きい。

専門家になるにはトレーニングが必要だが、代理人にはだれでもなれる。シロウトがコメを栽培するのはムリだが、恋のキューピッドにはだれでもなれる。これがおもしろいところだ。だいじなのは、キューピッドの専門知識ではなくて、当事者でないという立ち位置である。

お見合いもおなじで、業者に頼むこともできるけど、シロウトがあいだに立っても十分に成り立つ。大事なのは当事者じゃないということだ。

「私はあなたのことがスキです」と言うのは勇気がいるが、「山田くんがあなたのことスキなんだって」と伝言するのはカンタンである。

ただし、あいだに人を立てると「自分でやる」DIYの楽しみは失われる。

自分の好きなあいてに自分でデートを申し込めば、ふられることもあるし傷つくこともあるが、一方、自分の気持ちを直接伝えるスリルと快感がある。崖から飛び降りるようなものだ。

ぼくは、こういうところはDIYでいきたい。ともだちからともだち以上に一線を越えようとする瞬間の快感は、なにものにも代えがたいと思う。

恋愛だけでなく、人間関係一般は、トラブルの解決もふくめて、あいだに人を立てるより、自分で向かっていったほうがいろいろ楽しいのではないかとおもっている。つまり、冒険である。

結局、ラクに生きたいのか、たのしく生きたいのか、ということになるのだろう。ぼくは楽しく生きたい気持ちが強いので、代理を立てずに自分でDIYしたい気持ちが強いですね。人間関係のDIYこそが冒険だとおもう。

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