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心惹かれる本。素敵な読書の記事。

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2022年3月の記事一覧

ピアニストの時間 舘野泉

ピアニストの時間 舘野泉

図書館で借りて読みました。

舘野泉さんが50年間の間に書いたものが詰まっていて!

舘野さんがカスキの曲の中で好きな曲を2曲あげられているところや、シベリウス についての文章など、何故か?知ってる!と思ったら、全音の楽譜に解説してあるものと同じでした。

本を読みながら、YouTubeで、舘野泉さんの音源を聴いていたのですが、好きな曲が、増え続けてしまいました。

パルムグレン、メラルティン、シ

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円周率・その3:柳谷晃「円周率πの世界」

円周率・その3:柳谷晃「円周率πの世界」

3月14日は、世界的に円周率の日である。

このように書くのは、去年おととしに次いで3度目だ。つまり、孫娘の2歳の誕生日を迎えることになる。去年の記事の冒頭で、次のように書いた。

まぁ、仕方あるまい。そのうちわかるだろう。

ということで、今年はブルーバックスの柳谷晃著「円周率πの世界」を読んだ。

2021年の7月に発行されたばかりなので、2019年の3月15日に発表されたGoogleの快挙も

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「まとまらない言葉」とともに

「まとまらない言葉」とともに

この前の金曜日、仕事で自分が中心に進めていたとある記事企画が頓挫しそうになった。自分なりに丁寧なコミュニケーションを経て作っていた企画書を、関係者に確認依頼したところ、思ってもいなかったフローが新たに関わることになり、また企画が振り出しに戻りそうになったのだ。

わたしにとっては最多の人数が絡む新たな挑戦であった今回の企画。微かな不安を常に抱きながら、それでも「やるぞ…!」という気持ちをもって進め

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ヒマラヤを駆け抜けた男 山田昇の青春譜(著者:佐瀬稔)

ヒマラヤを駆け抜けた男 山田昇の青春譜(著者:佐瀬稔)

著作者名:佐瀬稔 発行所:中央公論社 1997年6月18日発行

山田昇は1950年群馬県沼田市生まれ。世界の8000メートル峰全十四座中9座に登頂し、当時、日本で全峰登頂記録に最も近かった登山家である。

人の悪口をけっして語らず「楽しい山」が大好きで、しかも山に感心のない人の前ではひと言も山を語ることのなかった山田昇という青年は、すべての人々から愛された。

ヒマラヤのルールがある。アタック・

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海の地政学・1:Admiral James Stavridis "Sea Power"

海の地政学・1:Admiral James Stavridis "Sea Power"

2022年の3冊目の洋書は、Admiral James Stavridis の "Sea Power" を読んでいる。英語の学習のため、そして洋書を読むことそのものが楽しみで、毎年、硬軟交えて年間12冊を目標に読むようにしている。本書 "Sea Power” は、2月中頃から読み始めてまだ 25%を過ぎたところ 1日2%進めるのがやっとという感じだ。ぎっしりと文字が詰まって 372 ページなので、

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ある日。 から始まる日記

ある日。 から始まる日記

武田百合子さんのこと。

武田百合子さんの『富士日記』を読もうと思って購入したが、一緒に購入した『日日雑記』を先に読んだ。
日記形式で日々のいろんなことが書かれているのだが、この日記には日付が記されていない。
どの日の日記にも日付の代わりに『ある日。』と書いてある。
(お正月の日記にだけは『正月三ガ日』と書かれてる)
それを読んで私は理由もなく、「なんかかっこいいな」と思った。
日付の有無はとても

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ジプシー一家と、本の読み聞かせをする図書館員。そこに降る恩寵の物語 ~『本を読むひと』

ジプシー一家と、本の読み聞かせをする図書館員。そこに降る恩寵の物語 ~『本を読むひと』

 パリ郊外の荒れ地に住むジプシーの大家族のもとへ、図書館員のエステールは週に1回、本を読み聞かせるために通い続ける。ジプシーたちは、自由と誇り、家族愛にあふれてはいるものの、文字を読めず、仕事はなく、社会からはじかれて、貧困の底で暮らしていた――。

アリス・フェルネ『本を読むひと』(デュランテクスト 冽子・訳 新潮社)

「本」そして「読書」というものの力を、しなやかに伝えてくれる物語でした。

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