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共同通信社 スポーツ随想(地方紙向け配信)

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記事一覧

女性アスリートと婦人科健診・スポンサー

女性アスリートと婦人科健診・スポンサー

 2023年1月、大坂なおみ選手が第一子妊娠を発表しました。第一子出産時の母の年齢を日本と米国で比べると、日本では平均30歳なのに対し、米国では平均26歳。米国内としては平均的な年齢での出産予定となるようです。

 元なでしこジャパンの澤穂希さんは、米国でプレーしていた時、十代の頃から婦人科で定期的な検診を受けているチームメイトが多かったのを見て、日本との違いに驚いたそうです。技術はトレーニングや

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暑熱順化で熱中症予防 暑さ指数も参考に運動を

暑熱順化で熱中症予防 暑さ指数も参考に運動を

  うっとうしい梅雨が到来です。1カ月半後に梅雨が明けるといよいよ猛暑がやってきます。今年はマスク熱中症なども心配されますので、熱中症予防として「暑熱順化」を済ませておくことが大切です。

 暑熱順化とは、本格的な夏になる前に、暑さに身体を慣らしておくこと。「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる程度の運動を毎日30分程度、1週間程度継続して行うと良いそうです。そうすると血液量が増加して温度調節機

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気象キャスターのジェンダーギャップ

気象キャスターのジェンダーギャップ

東京キー局の気象予報士は、女性は(出産などを機に?)30代で番組から退くことが多くなっています。

この現状があると私は薄々気づき始めたので、出産できないことに絶望しました。出産でマイルドに引退することができないので、自分でセカンドキャリアを探さなければならないからです。

テレビ局の社員である局アナとは違って、気象キャスターは契約で出演していることが多く、出産後に再び画面や仕事に戻れる人は少ない

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WBC日本優勝で沸く中で、サッカーW杯の盛り上がりを思い出す

WBC日本優勝で沸く中で、サッカーW杯の盛り上がりを思い出す

 史上初の「冬開催」となったサッカー・ワールドカップ(W杯)。

 開催国のカタールは、緯度こそ沖縄と同じくらいですが、気候は大きく異なります。いわゆる砂漠気候で、夏季は最高気温が40度を超えることも多い。柔軟に冬開催に変更したことは素晴らしいです。

 しかしながら、3つ、気になる点がありました。1つ目は、過剰にも思える空調です。今大会は空調設備を備えていたことがアピールされましたが、観客からは

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ジェンダー平等が求められる現代において「女性専用道場」の意義を考える

ジェンダー平等が求められる現代において「女性専用道場」の意義を考える

皆さんが「コロナ禍が明け始めた」と実感できた出来事は何でしょうか。まだ実感できていないという方もいるかもしれませんね。大変な中頑張っていらっしゃる方には本当に頭が下がります。

私は最近ようやく、自分がコロナ禍を克服し始めているのを実感する出来事がありました。

それは、空手の新しい道場に入会したことです。

その新しい道場とは、前回のコラムで紹介した、原宿にある女性専用のおしゃれな空手道場です。

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「進化」に必要なのは「外部者」からの変革かもしれない

「進化」に必要なのは「外部者」からの変革かもしれない

「空手道場」と聞いて皆さんがイメージするものは、屈強な男性が大声を出しながら突いたり蹴ったりして汗をかいている情景でしょうか。

去年、それとは真逆のイメージの道場が、東京の原宿に誕生しました。

道場に入ると、目に入ってきたのは、ピンク色の柱や扉。J―ポップの音楽が流れています。

訪れた私の口から思わず「えっ、ここが道場?」という声が漏れました。

更衣室もピンク一色で、シャワー、ドライヤー完

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COP27を前に、高校野球について考える~気候変動の影響~

COP27を前に、高校野球について考える~気候変動の影響~

11月7日から、COP27が始まります。この期間中は、気候変動に関する報道が多くなると思いますので、私からも、気候変動とスポーツに関する話題を。

先日とある新聞記事で「夏の甲子園のナイター開催を考える時期にきている」という識者の主張を読みました。

この意見に私は強く共感します。その理由は、近年の気温上昇による熱中症のリスクです。

神戸市では猛暑日(最高気温35度以上)の日数が、この100年で

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日本人の「ムラ社会」について

日本人の「ムラ社会」について

(こちらは2022年6月に共同通信社から地方紙向けに配信された「千種ゆり子の空てんき」記事です。共同通信社からは許可を得て、そのままの文章でnoteにも配信しました。内容は最新のものでない場合があります。)

私は今、東京大学大学院で社会心理学を学んでいます。先日授業で、日本人はアメリカ人に比べて、他者への信頼感が低いという調査結果を学びました。

正確に表現すると、日本人は自分の「内集団」に対す

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トンガの海底火山噴火 親日のラグビー王国にも影響

トンガの海底火山噴火 親日のラグビー王国にも影響

1月15日、南太平洋にある島国・トンガ付近の海底火山が大規模な噴火を起こしました。衛星画像を見ても、まさに爆発的な勢いで噴煙が広がっています。

トンガ付近にはフィジー、サモアといった島国が分布していますが、これらの国々はラグビーW杯の常連国。特にトンガは親日国としても有名で、ヴァルアサエリ愛選手、中島イシレリ選手など、日本代表にもトンガ出身の選手が多くいます。キックオフ直前に踊りのような伝統的な

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大学スポーツが危機に瀕している

大学スポーツが危機に瀕している

(こちらは2021年3月16日に共同通信社から地方紙向けに配信された「千種ゆり子の空てんき」記事です。共同通信社からは許可を得て、そのままの文章でnoteにも配信しました。内容は最新のものでない場合があります。)

二~三月といえば、受験・合格発表シーズン。それは同時に、熾烈な新入生勧誘活動の幕開けでもあります。一人の新入生に対して上級生が十人近く群がり、チラシの渡し合い、声の掛け合い、腕の引っ張

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スポーツの繋がりは地域防災にも活きる

スポーツの繋がりは地域防災にも活きる

(こちらは5月2日に共同通信社から地方紙向けに配信された「スポーツ随想」の千種担当回第二回の記事です。共同通信社からは許可を得てnoteにも配信しています。)

 平成から令和に時代が変わった、この4月から5月。新入生や新社会人など、新しい環境で1カ月頑張った方も多いことでしょう。私も5年前の今頃、青森県で気象予報士としてデビューしたわけですが、初めての土地で初めての仕事、とにかくいろいろな初めて

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中学、高校より大学慎重 コロナ禍での部活動再開

中学、高校より大学慎重 コロナ禍での部活動再開

(こちらは2020年7月20日に共同通信社から地方紙向けに配信された「千種ゆり子の空てんき」記事です。共同通信社からは許可を得て、そのままの文章でnoteにも配信しました。内容は最新のものでない場合があります。)

再び新型コロナウイルスの感染者が増えている中ですが、各地で部活動が再開されています。中学や高校では、人数を減らしたり道具を毎日除菌・洗浄したりして、感染防止に気を付けながら活動を再開す

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ランニング最適気温は何度?増田明美さんに聞いてみた話など

ランニング最適気温は何度?増田明美さんに聞いてみた話など

 元マラソン選手でスポーツジャーナリストの増田明美さんとお話しする機会がありました。ランニングと気温の関係について伺ったところ、市民ランナーが一番走りやすい気温は15度くらいとのことでした。

 日中の気温が15度といえば東京や大阪では3月下旬、札幌でも5月頭と、各地のソメイヨシノの開花時期に一致しています。ランニングが趣味の友人に好きな季節を聞いても、春と答える人が多い。春のにおいを感じられるか

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脱炭素にも関わる人権問題 北京五輪外交ボイコットで

脱炭素にも関わる人権問題 北京五輪外交ボイコットで

(こちらは2021年12月に共同通信社から地方紙向けに配信された「千種ゆり子の空てんき」記事です。共同通信社からは許可を得て、そのままの文章でnoteにも配信しました。内容は最新のものでない場合があります。)

 2月の北京五輪をめぐって、米国などが外交ボイコットを表明しました。新疆ウイグル自治区などでの中国の人権侵害が理由として挙げられています。ニュースの見出しだけ見ると選手が五輪に参加しないの

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