千種ゆり子@気象予報士、防災士

執筆物をまとめています//新聞コラム執筆約10年//2014年~毎日新聞,東奥日報,共…

千種ゆり子@気象予報士、防災士

執筆物をまとめています//新聞コラム執筆約10年//2014年~毎日新聞,東奥日報,共同通信社//Web連載:ハフポスト,NewsPicks,Sirabee,旅色LIKES//東大院M2/専門:気候変動コミュニケーション■依頼https://chikusayuriko.com/

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最近の記事

学生たちに関わることで、私の方が生かされている

(一橋大学空手道部・90周年記念誌より編集して再録)  私は2006年・18歳の時に一橋大学で空手を始めました。空手を始めたきっかけは2つあります。1つは、高校時代に路上で痴漢に遭った経験があるのですが、叫んだだけで何も対処ができず悔しい思いをしたからです。その時、自分自身を自分で守れる力や気概を身に付けたいと思ったんですね。  そして2つ目の理由は、こんな所で書くのも恥ずかしいのですが、アニメの影響です。名探偵コナンのヒロイン・毛利蘭が空手をやっていて、ピンチの時に空手

    • 阪神淡路大震災・被災から29年 防災を志した原点と語り継ぐことの重要性 

      今から29年前、私は神戸市東灘区の自宅で被災しました。29年前のきょう・ 1月17日、6400名以上が亡くなった、阪神淡路大震災が発生しました。  被災したとは言っても、幸いにも大きな被害がなく、さらにはまだ小学1年生だったからか「トイレをバケツで流さなければならないので大変だった」くらいしか記憶に残っていませんでした。私の両親は悲惨な状況を見せまいと、外に連れ出さないようにしていたそうです。その後神戸を離れたこともあり、私はその日のことをすっかり忘れていました。  それ

      • 天候への対応が結果を左右する冬季五輪

        今回のコラムは、2022年冬に開催された北京五輪についてです。

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        • 数珠つなぎの選択

          1年前の私は、2つのことを公表した。 1つは、結婚したこと。 もう1つは、26歳の時に、難治性の不妊症「早発閉経」であると診断されていたこと。 早発閉経を公表した理由私が早発閉経と診断されて不妊治療をしていたとき、不妊治療中の芸能人だったり、不妊治療をやめてもイキイキと輝いている方のインタビュー記事に、強く励まされた。 だけど、早発閉経の方のインタビューは見つけられなかった。 早発閉経は、100人に1人いると言われている。 100人に1人だって、少なくたって。

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        • 毎日新聞 お天気みちくさ
          4本
        • 共同通信社 スポーツ随想(地方紙向け配信)
          23本

        記事

          猛暑と温暖化 私たちに出来ること

          2018/8/4 毎日新聞お天気みちくさ 掲載分(毎日新聞許可済み)  西日本豪雨に記録的猛暑と、自然の恐ろしさを感じる夏になっています。西日本豪雨で亡くなった方は200人以上、今夏熱中症で亡くなった方も100人以上と、広い意味での「気象災害」によって多くの方が命を落としています。  これらの惨状を見て「気候が変わった」「温暖化だ」と言う人も多いように感じます。  長期的な変化傾向として、温暖化の影響は無視できない状況です。観測データもそれを裏付けていて、非常に激しい雨

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          台風見物した軍艦島の住人

          2018/9/7 毎日新聞お天気みちくさ 掲載分(毎日新聞許可済み)  長崎県の端島、通称「軍艦島」に行ってきました。軍艦島は湾内ではなく外海(そとうみ)にあるため高波の影響を受けやすく、国の重要な産業である炭鉱を守るため、RC造のアパートを並べていました。アパートが防潮堤の役割を果たしていたのです。もちろん住宅側ではなく廊下側の壁面で受けていたようですが、人の住み処を盾にするとは、今では考えられない発想です。  ガイドの方の話で興味深かったのが、奥様方が「台風見物」をし

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          温暖化対策で政治家選ぶ日を

          2018/9/21 毎日新聞お天気みちくさ 掲載分(毎日新聞許可済み)  個人的な話で恐縮ですが、私は気持ちの浮き沈みが激しい人間です。気持ちが乗ったときはこのコラムもいいアイデアが思い浮かびさらさらと筆が進みました。しかし気持ちが沈むと精神的に退廃し、仕事の生産性が下がっているのがわかりました。一緒に仕事をする人にも迷惑をかけているかもと思うこともありました。常に精神的にフラットでいたいと思いながらも、それがなかなか難しい。仙人にでもなればできるのでしょうか。  常に一

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          暑熱順化で熱中症予防 暑さ指数も参考に運動を

            うっとうしい梅雨が到来です。1カ月半後に梅雨が明けるといよいよ猛暑がやってきます。今年はマスク熱中症なども心配されますので、熱中症予防として「暑熱順化」を済ませておくことが大切です。  暑熱順化とは、本格的な夏になる前に、暑さに身体を慣らしておくこと。「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる程度の運動を毎日30分程度、1週間程度継続して行うと良いそうです。そうすると血液量が増加して温度調節機能が向上するため、熱中症にかかりにくくなるそうです。  「やや暑い環境」とは気

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          ライバルは夫@右手を騙し騙し、リングフィット

          わたしの右手首の痛み、TFCC損傷。装具で固定し続けたところ、日常生活には問題がないレベルまで回復したのですが、空手をできるほどにはならず。 せっかく元日本代表の選手に教えてもらえる道場に入ったのに…と悔しい日々が続いています。 完全に治るまで運動は我慢しようと思う一方で、このままだと体力が衰えてしまうと焦りも募り、右手を使わずに気軽にできる運動を探しました。 たどり着いたのがリングフィット様私は右手が痛いため、体幹や下半身を中心としたメニューに調整し、1日20分ほどを

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          気象キャスターのジェンダーギャップ

          東京キー局の気象予報士は、女性は(出産などを機に?)30代で番組から退くことが多くなっています。 この現状があると私は薄々気づき始めたので、出産できないことに絶望しました。出産でマイルドに引退することができないので、自分でセカンドキャリアを探さなければならないからです。 テレビ局の社員である局アナとは違って、気象キャスターは契約で出演していることが多く、出産後に再び画面や仕事に戻れる人は少ないのが現状です。 2021年3月に気象予報士の長谷部愛さんが「東京キー局に出演す

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          WBC日本優勝で沸く中で、サッカーW杯の盛り上がりを思い出す

           史上初の「冬開催」となったサッカー・ワールドカップ(W杯)。  開催国のカタールは、緯度こそ沖縄と同じくらいですが、気候は大きく異なります。いわゆる砂漠気候で、夏季は最高気温が40度を超えることも多い。柔軟に冬開催に変更したことは素晴らしいです。  しかしながら、3つ、気になる点がありました。1つ目は、過剰にも思える空調です。今大会は空調設備を備えていたことがアピールされましたが、観客からは「寒い」という声が出たのです。もちろん服装や出身地によって体感の差はあるものの、

          WBC日本優勝で沸く中で、サッカーW杯の盛り上がりを思い出す

          ジェンダー平等が求められる現代において「女性専用道場」の意義を考える

          皆さんが「コロナ禍が明け始めた」と実感できた出来事は何でしょうか。まだ実感できていないという方もいるかもしれませんね。大変な中頑張っていらっしゃる方には本当に頭が下がります。 私は最近ようやく、自分がコロナ禍を克服し始めているのを実感する出来事がありました。 それは、空手の新しい道場に入会したことです。 その新しい道場とは、前回のコラムで紹介した、原宿にある女性専用のおしゃれな空手道場です。 私が入会を決めた理由の一つが、道場の雰囲気です。毎回十名ほど、二〇代から四〇

          ジェンダー平等が求められる現代において「女性専用道場」の意義を考える

          「進化」に必要なのは「外部者」からの変革かもしれない

          「空手道場」と聞いて皆さんがイメージするものは、屈強な男性が大声を出しながら突いたり蹴ったりして汗をかいている情景でしょうか。 去年、それとは真逆のイメージの道場が、東京の原宿に誕生しました。 道場に入ると、目に入ってきたのは、ピンク色の柱や扉。J―ポップの音楽が流れています。 訪れた私の口から思わず「えっ、ここが道場?」という声が漏れました。 更衣室もピンク一色で、シャワー、ドライヤー完備。 道場というより「ジム」と表現する方が正しいように思いました。 ピンク色

          「進化」に必要なのは「外部者」からの変革かもしれない

          COP27を前に、高校野球について考える~気候変動の影響~

          11月7日から、COP27が始まります。この期間中は、気候変動に関する報道が多くなると思いますので、私からも、気候変動とスポーツに関する話題を。 先日とある新聞記事で「夏の甲子園のナイター開催を考える時期にきている」という識者の主張を読みました。 この意見に私は強く共感します。その理由は、近年の気温上昇による熱中症のリスクです。 神戸市では猛暑日(最高気温35度以上)の日数が、この100年でおよそ2倍になっています。 猛暑は温暖化のせい?と聞かれることが最近多いのです

          COP27を前に、高校野球について考える~気候変動の影響~

          日本人の「ムラ社会」について

          (こちらは2022年6月に共同通信社から地方紙向けに配信された「千種ゆり子の空てんき」記事です。共同通信社からは許可を得て、そのままの文章でnoteにも配信しました。内容は最新のものでない場合があります。) 私は今、東京大学大学院で社会心理学を学んでいます。先日授業で、日本人はアメリカ人に比べて、他者への信頼感が低いという調査結果を学びました。 正確に表現すると、日本人は自分の「内集団」に対する信頼は高いが、「外集団」への信頼は低い、という意味です。 「内集団―外集団」

          日本人の「ムラ社会」について

          ふつうの愛好家が、スポーツを強くする

          地球温暖化が進むと、国内ほとんどの地域で雪の量が減ると言われています。雪国で暮らす人の多くが雪が減ることを喜びますが、スキー場経営者やウィンタースポーツの愛好者にとっては放置できない問題です。少雪の影響で休業や廃業に追い込まれているスキー場もあります。 しかしスキー場が苦境に立たされている原因は、気象的な要因より、社会的な要因の方が大きいとする研究があります。ピーク時の1998年には約1800万人だったスキー・スノーボード人口は、2019年には約510万人、20年は約430

          ふつうの愛好家が、スポーツを強くする