数珠つなぎの選択
1年前の私は、2つのことを公表した。
1つは、結婚したこと。
もう1つは、26歳の時に、難治性の不妊症「早発閉経」であると診断されていたこと。
早発閉経を公表した理由
私が早発閉経と診断されて不妊治療をしていたとき、不妊治療中の芸能人だったり、不妊治療をやめてもイキイキと輝いている方のインタビュー記事に、強く励まされた。
だけど、早発閉経の方のインタビューは見つけられなかった。
早発閉経は、100人に1人いると言われている。
100人に1人だって、少なくたって。
少ないって、いるってこと。
だから私は、せっかくテレビに出ているのだから、いつかは早発閉経のことを公表する、と決めた。
私が早発閉経を公表することで、同じ診断をされた人たちの力になりたいと思ったのはもちろんだし、この病気について知った誰かの未来が、希望に満ちたものになってくれたらと思った。
みんなの「悩み」と「選択」に触れて
Yahoo!ニュースの1000件以上のコメントに加え、さまざまな方からメッセージをいただいた。
「私も不妊治療中です」「実は流産していました」「子宮頸がんと診断され子宮を全摘出しました」など…
みんな言えないだけで、実は色々な悩みを抱えて生きている。
みんな、色んな「選択」をしながら、懸命に生きている。
そんな悩みと選択を、私は打ち明けていただき、その想いにこたえるにはどうしたらいいか…私は考えた。
頂いたメッセージの中には、このような励ましの言葉もあった。
「この記事で生理不順の人が検査を受けに行くと思います。」
私がすべきことは、発信活動を続けることなんだろうと、改めて強く思った。
そこで私は、伝える手段として「映画製作」を選択した。
「映画製作」を選んだきっかけ
この映画に対する想い
後輩自身の体験、彼女がヒアリングした内容を聞き、私なりの情報発信の方向性が定まった。
①映画というエンタメを通して届けることで、少しでも自分の不調に目を向けるハードルを下げたい。
②相談したいのに、なんとなく相談できない、そんな人がこの映画をきっかけに、周囲の人との会話を始めてくれたらいいな
③逆に、身近な人だからこそ打ち明けにくいという人もいると思うので、映画の登場人物という架空の存在の体験を届けたい
そんなことを思って、映画製作に取り組むことに決め、野本さん・稲村さんとタッグを組むことにした。
これまで、世の中にあまり認知されていない悩みを映画にしてきた野本さんなら、「みんなが言えないだけで抱えている悩み」を作品にして、世に届けてくれる。
エグゼクティブプロデューサーの稲村さんも、ご自身も婦人科疾患で悩まれた経験がある。4人の子の母としての視点もある。
私は稲村さんの「国籍性別立場世代関係なく」という言葉が好きだ。
これまで私は、「自分(I)」の経験を発信してきた。
これからは、主語を「私たち(We)」に変えて「国籍性別立場世代関係なく全ての皆様に」見ていただけるような映画にしたい。
数珠つなぎの選択
1年前の自分がした「公表」という選択。
それによって私は、みんなの悩みや選択に触れるという機会を得た。
それらが数珠のようにつながって、私は映画をプロデュースすることに決めた。
蓋をあけてみたら、多くの人を巻き込むプロジェクトになっていることに身震いするとともに、だからこそ、何が何でもやり遂げるぞ、という覚悟が決まった。
みなさん、わたしと数珠つなぎになってくれてありがとう。
千種ゆり子
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