#連載小説
小説『衝撃の片想い』シンプル版【第四話】⑥
【北の海原】
◆
午後六時。利恵が深い眠りに就いたのを確認し、ゆう子に通信してみる。リングを見ながら、話しかければいいのだった。通信を受けたゆう子は、
「今はだめです。もうすぐ帰るから、あとで部屋にきて。副作用なんですか? なんでもするから」
と言っただけで、通信を切った。
――なんでもするとかじゃなくてさ…。
嫉妬して怒っているなら、謝ろうと思っていた。
付き合っているわけじゃないから浮気と
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第二話】⑤
【血に染まった町】
◆
自動小銃を撃ちながら、レストランに向かい歩いてくる男は、宗教の言葉を叫んでいた。友哉にはそれの意味も分かった。「我々の神は偉大だ。世界を創造したのは我々の神だ。資本主義社会は間違えている」と言っていた。
歩道にいた人たちが壊れたロボットのように倒れていく。
そして路面が赤く染まった。
「やだー!」
ゆう子がホテルの部屋で悲鳴を上げている。
「奥原、落ち着け!絶対に窓から
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第二話】②
【わたしを信じて】
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「娘さんと楽しそうにしていたあの頃のあなたに戻してあげたい気持ちもあるの。でも、わたしの場合はいろんなことがばれて、わたしがあなたに嫌われると思う。女らしいことができないからさ。しかも、わたしみたいな女は優秀な男性には嫌われて当たり前なんです」
「俺は優秀じゃない。君が有名な美人女優で一般の男に嫌われる理由があるなら、その男が平凡ということだ。自分に自信がない。君のよう
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第二話】①
【わたしがあなたを守ります】
(10月17日。誤字など修正しました)
◆
空港に到着後、ワルシャワのホテルにチェックインする。
部屋に入ると友哉はすぐに、「SF映画に出てくる転送ってやつが本当にできるなら、その練習をさせてくれないか」と、シャワーを浴びに行こうとした彼女を制した。
「シャワーに向かう女を止める男の人…」
ゆう子がうんざりした顔で言った。
「女のシャワーは長い。嫌いじゃないが、
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】⑧
【病気を治す神秘の光『Marie』】
「友哉さんが、テロリストと戦っても誰か分からないようにする作戦も練ってあります。AZには高度な技術からくだらないマニュアルまでなんでも入っています」
「くだらないマニュアルって」
ゆう子は少しはにかんだ。
「友哉さんの女性の服装の好み、下着の好み、セックスのプレイの好み。…データに入ってます。分かるそうです。下着の好み……薄い色のを持ってきましたよ」
「洋服