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【詩】 仮面舞踏会

秘すれば花なり
ペルソナは
花の下にて俯向くかんばせ
睫毛の先に光るのは
貴方を想い
溢れる雫

さあ手を取って
リズムを取って
何も語らず
背筋を伸ばす

赤い靴なら踊り尽くして
ワインを片手に語り尽くして
ビロードのカーテンは重すぎて
一気に開帳するには
陽光か月光か覚悟を決めて
貴方は左に私は右に
残された真ん中には
深紅の硝子のアネモネを
去り際にはジルバのステップを

招待状にはフェイクネーム
夢があるよと
宙を向いて言う

タップダンスは合わないわ
だったらジルバもなんだか違う
型に嵌まったワルツなんてもっと
首飾りさえつけずに
彼女は笑った

王子様はすぐに眠ってしまう
マントの色は名もなき階調
文法に自信がなくとも
このマスクは魔法のように
貴方の国の言葉を操る
朝日を受けると溶けるような
真夜中に誘い込むような
魔女の囁きは危うくて
真実は事実をふんわり包む

後ろの森へ迷うにはドレスが重い
あと一歩階段を降りきって
城を抜ければなんてことない
招待状から文字が落ちゆく
風が仮面を攫えばもう夜明け
目と鼻と口と耳と
人差し指の先で確認して
広角をにわかに上げた

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吾音萌音
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