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繰り返し読みたい現代の話

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時事問題として取り上げましたが、現代の問題の基礎知識等を書いています。
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#アメリカ

イラン新大統領は「改革派」か?

今年6月、7月にイランで、日欧米メディアが言うところの「改革派」ペゼシュキアン大統領が選出されました。第1回目の選挙では投票率40%と、国民のやる気のなさが出ていましたが、保守派と改革派の決選投票となった2回目投票では、投票率がようやく50%に伸び、「改革派」が勝利したという格好です。

そこで、ペゼシュキアン新大統領は本当に日欧米メディアがいう「改革派」なのかをテーマに見ていきたいと思います。し

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変わりゆくアメリカの姿・米大統領選の行方

どの選挙も水物なので、特定の選挙の勝敗を占うことはしませんが、長期的な視野から見ると、アメリカの姿が変わりつつあり、それが民主党・共和党に与える影響について考えてみたいと思います。

白人はもはや単独過半数ではなくなる
従来白人がアメリカ人口の半数を超えていたのですが、2040年代半ばまでには40%台に下がり、最大のマイノリティー・グループとなると言われています。原因は、白人の出生率が低下する一方

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不安定な韓半島 北朝鮮の核ゲーム

つい先日北朝鮮による「人工衛星打ち上げ」の失敗が話題となりましたが、今回は朝鮮戦争後からそこに至るまでのお話です。

北朝鮮経済は破綻
李承晩政権から朴正煕政権に代わり、それまでの輸入代替工業化戦略から輸出主導型工業化戦略へと舵を切り、さらに日本と国交正常化し、賠償金及び政府開発援助(ODA)の流入もあり、韓国経済は最貧国から高度経済成長期へと移行し、いわゆる「漢江の奇跡」が1960年代後半から言

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不安定な韓半島 朝鮮戦争まで

金日成総書記の勝算①日本の遺産
アメリカとの取り決め通り、ソ連軍は38度線以北まで軍政を敷きました。当初東ドイツと同様、日本が残した工場設備や社会インフラ等を解体し本国へ輸送しましたが、すぐにやめ、スターリン書記長の眼鏡にかなった金日成を1945年9月に北朝鮮に送り込みました。(北朝鮮の歴史的には、金日成が抗日運動を指揮したことになっていますが、ソ連や中国が異なる史料を公開しています)

ここで、

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すれ違いの米中関係 その1

絶妙な2024年台湾総選挙
2024年1月台湾での総統選挙は与党・民進党、第一野党・国民党、第二野党・台湾大衆党の党首による三つ巴でしたが、反中派と呼ばれる中国警戒派、親中派、とその中間としてよく政策の違いを説明されていました。親中派とその中間が、野党として統一候補に絞ることができれば、政権交代もあり得ましたが、統一できずに与党が総統選を制しました。その一方、立法院では与党が過半数席を失い、いわゆ

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アメリカ単独覇権から激動のリバランス時代へ

ロシアに降り立つシカゴ・ボーイズ
以前ラテンアメリカ諸国のお話で、シカゴ学派(シカゴ・ボーイズ)の指導の下、いかに国家資産が欧米企業の餌食になったかをお話しました。そのシカゴ・ボーイズが次に向かった先は、ソ連崩壊直後のロシアでした。全ての企業が国営企業であるため、得意の民営化を進めるにはあまりにも莫大な量(そして欧米企業にとっての利潤)があることは明らかでした。

ソ連崩壊直後の混沌の中、シカゴ・

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パレスチナ・ハマスの勝算

今年10月9日より、パレスチナの武装集団ハマスがイスラエルへ攻撃を仕掛け、1000名強を殺害し、200名余りを人質に取りました。これに対し、イスラエルはハマス殲滅を掲げ、大規模な空爆を中心に既に9倍以上のパレスチナ人を殺害し、パレスチナでの電気・水道等の社会インフラを止め、外国からの人道支援物資搬入ルートもほぼ閉鎖し、200万人ともいわれるパレスチナ人への報復措置を続けています。(十分国際法違反で

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危ない米中関係

アメリカに根強い反中国感情の根源?
バイデン政権発足後、米中間のオンラインサミット会談の直後にアメリカ側が突然中国を挑発する行動を起こすパターンが見られます。前回はクアッド(日米印豪戦略対話)&オーカス(米英豪軍事同盟)発表、今回はペロシ下院議長の訪台です。これまで米台間では現職実務者レベルの官僚交流以上はしないことになっていますから、影響力の大きな現職政治家の訪台はタブーです。(決していいパター

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終戦の日に考える:敗戦を二度と経験しないための教訓(2021年8月執筆)

310万と2000万という数字を聞いたら、何を思い浮かべますか?これらは、日中・太平洋戦争で亡くなった日本人(軍民)及び諸外国人の数です。*目を覆いたくなるような、甚大な命の喪失でした。終戦の日に接するにあたり、二度とこのような惨事が起きないよう、何を学ぶべきかを考えてみたいと思います。

学校で教わる教訓は、戦争反対、原爆(・核兵器)反対です。しかし、本当にそれだけなのでしょうか?小学校レベルな

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多様性の光と影:アメリカ(2021年1月執筆)

連邦議会議事堂占拠は終わりの始まり
今年早々アメリカではトランプ支持者による連邦議会議事堂占拠があり、政治分裂を見せつけられるニュースがありました。いつまでこの分裂は続くのだろうとお思いの方も多いかと思います。

この一連の動きの根底は、アメリカのアイデンティティ再定義による「産みの苦しみ」と視ています。2045年にはアメリカでは白人が単独過半数を割る、即ちマイノリティに転落するという予測が立てら

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アメリカ大統領選後に何が起きる?(2020年11月執筆)

2020年のアメリカ大統領選で、バイデン氏勝利の報道がなされていますので、政権交代(共和党→民主党)を伴う政治スケジュールを解説していきたいと思います。

1)政権要人の指名
日本でも首相が交代すると、大臣や副大臣が入れ替えすることがあります。ですが、アメリカの場合、いわゆる政治任命と呼ばれる人々が、約4000―5000人という単位で入れ替わります。各省庁で人数にばらつきはあるでしょうが、トップ2

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