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よすけの短編小説まとめ

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書いた小説を投稿した順にまとめています。短いのから長いの。暗いものから明るいものまで。ほっと一息つけるように。
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#青春

【短編小説】あの日あの時僕らが見た夢の続きはたまねぎの皮と共に茶になって飲まれた

【短編小説】あの日あの時僕らが見た夢の続きはたまねぎの皮と共に茶になって飲まれた

1,596文字/目安3分

「俺たち、もう終わりだよな」

 すべてを諦め受け入れたような顔でこいつは言った。こいつとは付き合いが長い。本当に終わりだと思って言っているのが分かる。

「そうか……」

 俺は聞き入れるしかないんだと悟った。
 終わりなんて、そんなことを言われたのは初めてだ。

 初めてという言葉を意識したら、途端に嬉しくなった。

 男は最初になりたがるとはよく言ったもので、目の

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【短編小説】最後の約束

【短編小説】最後の約束

624文字/目安1分

「わたしたち、ずっと友達でいようね」

 ガラにもなく抱き合って、わんわん泣いた。
 家が近所で、物心つく前から一緒にいる。いつも二人で遊んだし、しょっちゅうお互いの家に行くし、お風呂も一緒に入るし、毎週のように泊まりに行く。テストの前も、悩んだ時も、好きな人に振られた後も、当然のように同じ時間を過ごした。

 それなのに、遠くに引っ越して転校しちゃうなんて。

 一生の別

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【短編小説】フォトアルバム

【短編小説】フォトアルバム

2,057文字/目安4分

「一つ分かったことがある」
「どうした」
「俺、アプリでいろんな子と会ってるって話よくするじゃん」
「してるな」
「その子ら一人一人、みんな生きてるんだなぁって思うのよ」
「当たり前じゃね」
「いや、そうなんだけど。そうじゃなくて、みんなそれぞれ人生があって、いろんな生き方があるんだなぁって」
「そういうことか」
「みんないい子なのよ」
「何人くらいと出会ったんだ?」

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【短編小説】センチメンタルチェックイン

【短編小説】センチメンタルチェックイン

1,681文字/目安3分

「まいるよなぁ」
「一人で景色なんか見てたそがれて、何してんだよ。しかもぶつぶつと」
「うーん」
「そろそろ行かねーと。宿のチェックインの時間だぞ」
「いやさ、最近出会った子が中学の時に初恋で好きになった子に似ててさ」
「なんだよ急に」
「なんかいろいろ思い出しちゃったんだよね」
「チェックインは」
「中学の時なんか俺クソガキだったからさ」
「今もだろ」
「どう距離をつ

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