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「鬼滅」劇場版三部作って、どんだけ儲ける気やねん?

鬼滅の刃 柱稽古編」、終わっちゃいました。
今回のは今までの編よりやたらギャグ要素が強く、なんか「箸休め」という印象すらある感じだったよね。
で、最終回はめっちゃいいところで終わり、これの続きは「無限城編 劇場版三部作」をお楽しみに、という締め方だった。
・・三部作?
3つも映画をやるのか!

まぁ、前回の劇場版「無限列車編」は興行収入400億を超えるという超特大ヒットだったからなぁ。
そりゃまぁ、こんなおいしいを放っておくオトナなんていないさ。
いうなれば、「柱稽古編」は本命の劇場版へと誘うプロモーションだったんだろう。
それでも、さすがに本命を3つも作るとは想定してなかった。
こういうのって、一体誰が決めてるんだろう?

先ほど「無限列車編」が興収400億以上と書いたが、仮に次の「無限城編」が3作品各々400億の興収だとしたら、合計1200億というトンデモないビッグビジネスである。
まぁ、各々に400億というのはさすがに見積もりすぎだろうけど、それでも合計で1000億前後は十分に見積もれると思う。
さて、ここで最大の問題となるのが、製作委員会の構成はどうなるのか?ということである。
ちなみに、前回の「無限列車編」、およびテレビアニメの製作委員会は

・アニプレックス
・集英社
・ufotable

の3つによる構成だった。
どうやら、次の「無限城編」三部作もこの3つで継続するっぽい。
うわ~、フジテレビ、食い込めなかったのか?

一般的な製作委員会の形態

基本、映画がヒットしておいしい思いをするのは製作委員会である。
製作委員会というのはいわばオーナーであり、

・委員会加盟者は、作品制作に必要な資金を出す
・作品で儲けが出れば、その配当を得る
・作品で赤字が出れば、それを負担する
・儲けの配当は、出資した額の比例配分となる

という仕組み。
この委員会に加盟してないところは、映画がヒットしようがコケようが関係ないってことね。
だって、儲けの配当はないんだから。
だけどみんな甘い汁を吸いたいのは当然だし、何とか委員会に加盟しようと裏で色々駆け引きがあったと思う。
普通、テレビ局や広告代理店なら加盟できるはずなんだ。
だって、彼らには「うち、映画の販促をできますよ?」という絶対的な強みがあるんだから。
なのに、「鬼滅」の委員会にはフジテレビや電通の名前がない・・。
販促は集英社とアニプレックスだけで十分、という一種の自信だろう。
ちなみにアニプレックスってのは、ソニーミュージックエンターテイメントの子会社ね。
そこそこ資金力のあるところだと思う。

さて、宮崎駿作品「君たちはどう生きるか」がDVD&Blu-rayがいよいよ発売となったようだが、この映画は「ジブリの単独出資」として知られている。
こういうのは、めっちゃ珍しいケース。
普通、制作会社単独出資の映画なんてないよ。
そもそも、販促どうするんだ?となるからね。
でも、ジブリは「販促しません」という前代未聞のコンセプトを打ち出してきた。
よって、観客はこの映画がどんな内容かの事前情報も何もなく、「宮崎駿が監督したアニメ」という一点だけで劇場に足を運んだんだ。
これでこの映画がヒットしたこと自体、よく考えたら凄いことである。
確か興行収入は93億なのでジブリ映画としては上位ではないものの、しかしこれが単独出資である以上、トンデモない額の収益をジブリにもたらしたのは間違いないだろう。
聞けば、直近のジブリ決算報告が過去最高益だったとのこと。
まぁ、こんな離れ業、ジブリ(宮崎駿)じゃなきゃ絶対できないことだろうけど・・。
多分DVD&Blu-rayもたくさん売れるだろうし、ジブリってホントに日テレの子会社である必要のあるところなのか?
多分、彼らとして「うまいこといくのは宮崎駿が生きてるうちだけ」という思いがあるんだろう。
いつか必ず訪れるXデー。
そのXデー以降は、ジブリ単体では絶対生き残れない、と・・。

もし私がジブリの経営者なら、映画で得た収益をまるごと不老不死の研究費に回し、宮崎駿を鬼舞辻無惨化するんだけどねぇ・・。

現在の宮崎駿
施術後の宮崎駿

君たちはどう生きるか」⇒「私は鬼舞辻無惨として生きる」という冗談はさておき、話を「鬼滅の刃」に戻そう。
思えば、「鬼滅」ではufotableもたいがい儲けてると思うよ。
なんせ製作委員会3社の一角に食い込んでるんだし、そりゃアニプレックスや集英社と比較すれば出資比率が低い分儲けも低いにせよ、それにしても、この巨大な「鬼滅」マーケットの中でがっつりと奪える側に回れているのは事実である。
色々な制作会社が「アニメって、しんどい割に儲からない・・」と嘆いてる中、ufotableは「儲かりますよ?」とめっちゃいい笑顔で言い切ると思う。
なんせ、ここは株式会社でなく「特例有限会社」、そもそも経営がめっちゃ不透明な会社である。
どれほど儲けてるのかも全く公開されておらず、ただ分かってる事実は

社長が巨額の脱税、資産隠しで摘発された、ということ(笑)。


多分、自宅の金庫には現ナマが山のように積まれてたんだろうねぇ・・。

ufotable社長・加藤光

この加藤光社長、そんなにお金持ちなのか?
画像を見た感じ、シャツがシワシワで貧乏臭いぞ?
・・えぇ、シワ加工のシャツだってことぐらい分かってますって(笑)。
この社長は結局有罪判決食らってるんだけど、でもひとつ擁護させてもらうなら、決して私腹を肥やす為に資産隠しをしたわけじゃないってこと。
ぶっちゃけ、会社の資金繰りに回していたらしい。
これはまだufotableが「鬼滅」で一発当てる前の時代のことらしく、その頃はまだ会社もギリギリで回してたんだろうね。
社員の給料も払えるかどうかの瀬戸際だったらしく、きっとこの時代の加藤さんのシャツはリアルにシワシワだったんだと思う。
だけどまぁ、「鬼滅」で一発当てられて良かったね。
こうして当たったのは、決して偶然でもない。
加藤さんとして、「うちなら『鬼滅』を当てられる!」と自信があったんだと思うよ。
なんせ脱税するほど資金繰りに追い込まれたufotableが、敢えて巨額の資金を捻出して製作委員会に入ったんだから。
よく考えりゃ、大きな賭けである。
当時としての加藤さんの勝算は、「うちって、夜のバトル描くのがめっちゃ得意なんすよ」といったところである。
そう、アニメファンなら誰しもご存じのことだろう。
「鬼滅」以前のufotableといえば「Fate/staynight:UnlimitedBradeWorks」および「Fate/Zero」を作った会社として知られてたんだ。

ufotableが描いた聖杯戦争バトルシーン

やはり、これは当時ドギモを抜かれたし、「Fate」1作目のスタジオディーン版と比較しても明らかにufotableの方がクオリティ上だったんだよね。
ひょっとしたらなんだけど、これらって予算の上限超過して作ってしまったのでは?
でも、この「Fate」が色々な意味でufotableのその後を決定したと思う。
これをもって完全に、「夜のバトルならufotableがNO1」という神話が出来上がったんだから。
でもって、「鬼滅」もまた「夜のバトル」だろ?
加藤社長的に、「うちの土俵じゃ!」といった感じだっただろう。
まぁ、正直今回の「柱稽古編」は昼間のシーンがやたら多くて、ufotableの良さは半分も出てなかったと思う。
やっぱ夜ですよ、夜。
夜の暗さと、光を放つ武具と、梶浦由記の音楽。
それがufotableを構成する三大要素である。

しかし今となっては飛ぶ鳥落とす勢いのufotableも、20年前には池袋の古いマンションの四畳半が事務所だったらしい。
そういうところからここまで漕ぎ着けるとは、めっちゃアメリカンドリームじゃないか。
「アニメ業界って割に合わない・・」という暗い話が世に多い中、加藤社長のサクセスストーリーはひとつの光明である。
みんな、加藤さんに憧れてシワシワのシャツを着るようになると思う。

イッセイミヤケ

まぁ、最近MAPPAWITSTUDIOなど新興がどんどん台頭してきて、たとえ「夜のバトル」分野でも、ufotable一強というわけでもなくなってきたけどね。
そういや、確かMAPPAも単独出資でアニメ制作やったりしてるよな?
こういう賭けに出るところ、そうじゃないところによって、そのうち明暗が分かれる時代がくるんだろうなぁ・・。


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