なぜ大人になると感情的でなくなるのか? 情動の涙をうまく使う工夫とは
「最近いつ泣きましたか?」
こう聞かれて、ドキッとする人も多いのではないでしょうか。私もそうです。前回泣いたのはいつだろうかと、考えてしまいます。
この「感情的になること」「涙を流すこと」について、最近ある気づきがありましたのでご紹介します。
ジョブズの涙
冒頭で触れた「ある気づき」とはスティーブ・ジョブズについてです。ジョブズについては多くの書籍や映像、映画などで、その特徴的な性格、そして数々の偉業に触れることができます。偉大なクリエイターであり、正に偉人といえます。
そんな彼には、彼の本質に迫るある奇妙な習慣があったそうです。それは「常に泣いていた」こと。
これはあまり知られていないようですが、彼は感情的になるとすぐ涙を流していたそうです。若いころ、当時Appleを正に創業しようとしていたとき、 パートナーのエンジニア、スティーブ・ウォズニアックが起業に消極的だと言われた時にジョブズ は激しく泣いたそうです。
さらにAppleが成長し大きくなったあとも、スタッフが自分の意図を理解せず彼の考えとは違った製品企画を提案してくると、スタッフの目をはばからずに泣いたそうです。組織のリーダーがスタッフの前で涙するのはなかなか異例な状況でしょう。
そして、最も感情を表に出したのは、感動的な発想と出会った時です。 彼はこんな言葉を残しています。
「私はたびたび、完璧な純粋さ― 純粋な霊魂と愛― の中に私がいることを感じる。そのとき、私はいつも泣く」
このジョブズが持っている意外な側面は、彼が人並み外れた豊かな感受性を持っていたことを物語っています。この感受性こそがクリエイティビティの源泉。感覚を重視するジョブズだからこそ、彼が手掛けるプロダクトに対して、初めて手にしたときの触れた感覚や、説明不要で直観で操作できることを重視していたこともうなづけます。
そこから生み出されるプロダクトに、我々も言葉ではなく感覚で心地よさを感じ、手になじむ感覚があるのだと思います。私が初めに買ったiPhoneは3GSというモデルでしたが、当時丸みをおびた曲線が手の平にフィットして感動したのを覚えています。
私たちは皆、子供の頃はちょっとしたことで感情的になっていた子ども時代を過ごしていました。しかし、成長するにつれ「大人が人前で感情的になったり、泣いたりすることは恥ずかしいこと」だと学習していきます。
ジョブズのケースから学ぶとすれば、感動を表に出すことをためらってはいけないのかも知れません。そこから、感情に訴えかける、そしてその人にしか、その瞬間にしか生み出せない仕事が創られるのかもしれません。すごいものを見て感動できる人が、すごいものを生み出せる人なのではないかと改めて思いました。
情動の涙をうまく使う
以前、涙の正体についてまとめました。
この記事で、「情動の涙」という人間にだけ許された涙について触れています。涙は共感できる状態ではじめて流れるもの。共感するポイントを多く持つようになると、涙もろくなるといえます。よく「涙もろくなったなぁ」という言葉を耳にしますが、それを言う人は決まって経験豊かな年配の方ではないでしょうか。これはただ歳を取ったという事ではなく、人間としての経験値が増えてきた証でもある、ということです。
ジョブズの涙は子供のようなピュアな完璧な純粋さから来る涙と、経験豊かな涙の両方から来ていたのかもしれません。
泣くことは悪い事ではなく、むしろ心の安定をもたらしてくれるポジティブな側面があります。上手に「涙」と付き合うことで、より創造的な毎日を送りたいものです。
まとめ
我々は感情的な人や、ワンワン泣いている人を見ると「大人気ない」と思いがちです。
しかし、その「大人気」って何でしょうか。わかったふりをしたり、知ったかぶりをして、自分を大きく見せている「虚構の自分」にこだわっているだけなのかも知れません。そんな虚構の自分から、自分を解き放つ事で、自分の中にある創造性はもっと発揮できる可能性があります。
感情豊かに生きることは、自分に嘘をつかずに、素直に生きるということ。喜怒哀楽を感じ、素直に表現することは人間らしく、魅力的に生きる事のようにも思います。
ジョブズの言う「完璧な純粋さ」の中に自分を発見できれば、新しい自分に出会えるのかも知れません。
たまには「涙を流す」のも自分と向き合うためにも必要な事なのかも知れませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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