アルコールと社会問題④~飲酒と自殺~
昨日から寒くなりましたね。
寒い時は、家で温かい食事がいいですね。
鍋物とかシチューが食べたくなりますね。
私の好きな言葉をお届けします。
「人の辛さがわかることも優しさだと思う」
“I think it's kindness to understand people's pain.”
(黒柳徹子)
飲酒直後の自殺
自殺した人からアルコールが検出されることは珍しいことではありません。
日本の調査でも自殺例全体のアルコール検出率は32.8%で毒物死・焼死・轢死・墜落死で高濃度のアルコールが検出されています。
この割合を海外の調査結果と比較すると、自殺した人からは平均で37%からアルコールが検出され、自殺未遂で救急病院を受診した人からは平均で40%の人からアルコールが検出されています。
このように自殺の直前に飲酒する割合は高いことが知られていますが、その理由としては下記のような心理的変化が提唱されています。
a. 飲酒が絶望感・孤独感・憂うつ気分といった心理的苦痛を増強する
b. 飲酒が自分に対する攻撃性を高める
c. 飲酒は人の予想に変化をもたらして死にたい気持ちを行動に移すきっかけとなる
d. 視野を狭めて自殺を予防するために有効な対処手段を講じられなくなる
慢性的な飲酒と自殺
習慣的な大量飲酒も自殺の危険性を高めます。
わが国の調査によると、中年男性を7年以上追跡した調査では月に1-3日程度飲酒する人が自殺で死亡する危険度を1とした場合、非飲酒者および週に414グラム(日本酒約18合に相当)以上の大量飲酒者で自殺による死亡の相対危険度が2.3と危険性が高くなり、少量ないし中等量の飲酒では自殺による死亡の危険度は低くなるという結果でした。
国内のもう一つの男性の調査では上述の調査とは結果がやや異なっており、飲酒量に比例して自殺で死亡する危険度が高くなるという結果でした。
このふたつの調査では大量飲酒が自殺の危険を高めることは共通していますが、非飲酒または少量の飲酒が自殺の危険性を高めるか関係しないかという点については結果が分かれていました。
アルコール使用障害と自殺
アルコール依存症の人は依存症ではない人と比較して自殺の危険性が約6倍高いとされています。
特にうつ病の合併・離婚や別離といった対人関係のストレス・社会的サポートの欠如・非雇用・重篤な身体疾患・単身生活といったことが自殺の危険性を高めるとされます。
また、アルコールの乱用そのものも自殺の危険性を高めます。
一方、自殺者にうつ病が多いことは有名ですが、うつ病以外では依存症が最も頻度が高く、自殺者全体の15-56%にアルコール乱用または依存がみられたと報告されています。
アルコール依存症から回復するには
1. 本人の行動
(1) まず、断酒しましょう。
(2) 自助グループに参加しましょう。
・本来の自分をとりもどしましょう。
・過去を整理して傷を癒しましょう。
(3) 精神科医療機関を受診しましょう。
・診断や有効な治療について相談しましょう。
・イライラ、発汗、睡眠障害などの離脱症状が苦しいときは、薬物療
法が有効な場合があります。
2. 家族の行動
(1) アルコール依存症は脳の仕組みに関係する病気であることを知りましょう。
(2) 回復すると信じましょう。
(3) 依存症者に「愛している」と伝え、見守り、回復に協力しましょう。
(4) 専門の相談機関や医療機関に相談しましょう
(5) 自助グループに参加しましょう。
(6) 飲酒につながる世話をしないようにしましょう。
参考資料:厚生労働省ホームページ、大分県ホームページ
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