マガジンのカバー画像

取り繕わない旅

16
得るだけじゃなく、残せる旅に。かっこ悪くてもいい、正直に。旅の途中で考えたことなどの置き場でもあります。
運営しているクリエイター

記事一覧

ちょっとしたこぼれ話

ちょっとしたこぼれ話

現地の言葉を使うことという記事を読み返していて思い出したことがある。ラオスからタイへ向かう船上で知り合った、ドイツ人の陽気な青年達。共通言語は英語だった。英語で、ドイツのどこ出身なの?と聞くと”ミューニック”だという。当時のわたしはその地名のことを聞いたこともなくきょとんとしていると、彼らが地図を見せてくれた。すると、よく知った地名であることが分かった。「あぁ、ミュンヘンじゃないの!」そう答えると

もっとみる
憧れを憧れのままに

憧れを憧れのままに

アラスカには人生最後に行かなきゃなんないのに。わたしの人生もう終わるのかな。

人生の大きな決断をしたあんたが何言ってんだ、これからだっていうのに縁起でもない。
そう思って口にしたかどうかは忘れたが、そんな重々しい内容を軽く笑い飛ばし、餃子をつまんでビールを一口。学生時代からの友人のTとは、久しぶりに会ってもいつも同じような会話をする。いつもだいたい、どこかへ行きたいとか、どこへ行きたい?とか、

もっとみる
ひとり旅のハードルを下げる

ひとり旅のハードルを下げる

「ひとり旅いいなぁ。
でも、わたしにはできないなぁ。」

そう思っている人がいたとしたら、そんな方のために今日はひとり旅のハードルを下げてみようと思います。もしかするとそんな人が、たまたまこの記事を見つけてくれるかもしれない。そんなことを思って書きます。

目次
1.時間とお金は問題ではない
2.ひとりですることない⁉わけない
3.さみしくなんて、ない
まとめ

1.時間とお金は問題ではない

もっとみる
扇風機/もう少し空が広いところへ行きたい

扇風機/もう少し空が広いところへ行きたい

山間のまち。迫り来る山の輪郭に切り取られた空は、いつも見上げる空より確かに狭い気がした。小さな島で生まれ育った私にとって空は広いもの。山を背にすれば目の前には海があって、海の方へどこまでも空が続いていた。確かに空は広かった。

山を背にしても向かいにも山、右を向いても、左を向いても山があった。山の輪郭に切り取られた空は、高かった。遠いところにあった。

大学時代の友人がそこに住んでいた。体調を、心

もっとみる
初めて食べたタイ料理のあじ

初めて食べたタイ料理のあじ

初めて食べたタイ料理は何だっただろう?

19歳の時にタイを女二人旅した大好きな友人と、約一年半ぶりに再会した。二人とも、その旅行がきっかけでアジアにどっぷり浸かることとなった。今はお互い日本にいてアジア不足のため、昼も夜もタイ料理をはしごすることになった。

どちらのお店も最高に美味しかったのだが、夜に行ったお店のマスターが、初めて食べたタイ料理の話をしてくれた。

「初めて食べたタイ料理はね、

もっとみる
月で生まれた芸術

月で生まれた芸術

学生時代を過ごした街へ久しぶりに出掛けた。電車とバスを乗り継いでの長旅だった。周りの街とは気温の差がある盆地の街。今日もこの街は少し涼しかった。夏はずいぶん暑く、冬はかなり冷える。だからわたしは、この街の秋が一番好きだ。風のにおいや肌で感じる街の温度に懐かしさを覚えながら、少し散歩をした。

なんとなくすぐに帰るのがもったいなく感じ、好きだったラーメン屋に寄って帰った。相変わらず混んでいて、相変わ

もっとみる
旅は孤独なもの

旅は孤独なもの

旅は孤独。どこかで見たことのあるフレーズだ。多くの人にとって、旅と孤独は無縁かもしれない。ひとり旅と孤独、そう置き換えないのはなぜか。そんなことを考えながら、ぼんやりと、誰かとの旅と孤独について考えていた。すると、記憶の彼方へ遠ざかっていた大切な瞬間がいくつも思い起こされた。今日は何か言いたいことがあるわけではないのだが、旅と孤独について少し書き残しておきたい。場所も、一緒にいた誰かがどんな人かも

もっとみる
現地の言葉を使うこと

現地の言葉を使うこと

簡単なことである。
日本を出て異国の地に足を踏み入れる前に、わたしが必ずすること。こんにちはとありがとう。Hello と Thank you にあたる現地の言葉を覚えていく。

たった二言だ。ものすごく簡単である。

わたしにとって旅は、生きる力の確認作業である。そして、もう1つ忘れてはいけないのが、得るだけじゃなく、残せる旅にしたいという思い。

今回の韓国への旅は二泊三日といえど自由時間は丸一

もっとみる
生きる力の確認作業

生きる力の確認作業

便利な世の中になった。便利なツールを使いこなせることが生きる力なのだとしたら、わたしは、その力を欲していないかもしれない。

学生の頃と同じ、携帯も使えない、言葉も通じない、そもそも目的もあまりない、そんな状況で。紙の地図で、片言もしくは身振り手振りで、その一瞬一瞬を、どんな状況をも、楽しむ。
そんな風に異国の地を旅できれば、わたしはあの頃の生きる力を失っていないのだなあと安心するし、じゅうぶんで

もっとみる
得るだけじゃなく、残せる旅に

得るだけじゃなく、残せる旅に

19歳のときに女友達と二人で、タイに行った。いわゆるバックパッカー的なものに憧れていたので、航空券と、ちょっとビビりだったから初日の宿だけ予約して、憧れのバックパックを背負って、旅に出た。

自分のサバイバル能力みたいなものを試してみたかったし、刺激が欲しかった。ツアーのように時間に縛られたくなかったし、誰かに気を使うのも嫌だった。好きなことを好きなだけする自由が欲しかった。同じ価値観の友達と、も

もっとみる
インスタ映えはもう飽きた

インスタ映えはもう飽きた

この話も、もう飽きた話だろうか?だが、少し書かせて欲しい。これは、インスタ映えに飽きてしまったわたしの個人的な話である。

疲れたと言った方が、適切な表現なのかもしれない。

インスタを始めたのは21歳くらいだろうか。当時はまだあまり流行っておらず、旅の写真の中でよく撮れたなぁと思ったお気に入りを、キャプションもないままアップしていた。拡散もいいねもコメントも、インスタ映えも、何も気にせずアップし

もっとみる
器の大きさぶんしか、持って帰れない

器の大きさぶんしか、持って帰れない

初めて海外に行ったのは大学一年生、19歳のとき。海外経験の少ない学生を対象に、書類と面接の審査を通れば5万円で2週間の海外研修に参加させてもらえるというものだった。なかなか倍率の高かった審査に通り、往復の航空券代にもならない金額で、オーストラリアはメルボルンに2週間滞在することができた。

その研修でお世話になった大学の職員さんに、渡航前に言われた一言が最近よく思い出される。

「みなさんの器

もっとみる
その日を特別な日にするために

その日を特別な日にするために

「プレゼントを早めに用意したからって、早めに渡してしまうのは、自分のためでしょ」
バレンタインもクリスマスも誕生日も、その日を特別にすることが相手にとっていちばんいい。そう職場の先輩に教わった。プレゼントを早めに用意したから早めに渡したいというのは、相手の反応を早く見たい、その当日まで待ちきれない、という自分のために行うことであるという。

サプライズとはその日に予想外の出来事が用意されていること

もっとみる