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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#あほやん

巧妙な詐欺(1分で読める小説)

巧妙な詐欺(1分で読める小説)

人間誰しも、簡単に信じてはいけない。
たとえそれが、
愛情持って育ててくれた両親であっても。

彼がある日、両親から家の購入の相談を受けた。
母親が云うには「2000万の建て売り住宅を購入したい」と云うのである。
だが、「両親とも高齢で住宅ローンが組めない。お前の名義でローンを組みたい。返済は私達が責任を持つから、
名義だけ貸してくれ」
と、頼まれた。

彼は熟考し反対したのだが、両親は執拗に食い

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放課後ランプ (続編) (410字の小説)

放課後ランプ (続編) (410字の小説)

昨日の反省をした僕は、誓いを立てる。
…決して授業中に居眠りはしない…
と心に決め真剣に授業に臨む。
誰にも見つからずにランプに火を灯し、
神妙に授業を受ける僕。
僕の決意はかたく、
今日は一睡もしなかった。

直ぐに帰宅しランプを探すが、無い!
学校に忘れて来た。
火も消していない。
直ぐに学校に行き、
ランプを取りに行かないと!
心に思うが、睡魔が僕を襲い、
語りかけて来る。
「そんな物は睡眠

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放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

僕は受験生。
僕の家は貧しく、塾にも行く事は出来ない。
不安に思っていたある日、ある人からランプを貰った。
その人が云うには
「このランプを灯すと、授業中の記憶が蘇る」と云うのだ。
このランプ、「放課後ランプ」と云うらしい。
…そんなランプ、本当に有るのか?…
と、疑念が湧いたが、
授業の内容がもう一度確認できるのであれば、
復習するのに最適である。
そのランプの使い方は、
「授業中にそのランプを

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ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者が、私に向かって
「貴方は凄い能力の持ち主だ。
修行すれば、かなりの力を得るであろう」
と、言ってくる。
おだてに弱い私は、その言葉を信じて修行を重ね遂に
霊能力を身に付ける。

私には観える。
その人の運命が、手に取る様に解る。
だが、只では教えてはあげない。
修行に元でが掛かっているからだ。
私は、路上で占いの商売をやり始めた。
私の占いは当たる、と評判となり多くの
人達が私の元にや

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300字のラブレター➕追伸➕追伸の追伸

300字のラブレター➕追伸➕追伸の追伸

澪ちゃんと、初めて会ったのは、
幼稚園児だったね。
鼻水を垂らしていた僕に、
君はティッシュペーパーをくれたね。
僕が鼻をかむのを見て
「50円ちょうだい」
と、手を差し出した澪ちゃん。

僕に強烈な印象を与えてくれたよ。

遠足に行った時に、
お弁当のオカズを落として
泣いている僕を勇気付けてくれたね。
「エビフライをどうぞ」と言って。
でも、後でハンバーガーを奢らされてしまったけど。

ボラン

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あほやん300字のラブレターを頼まれる➕追伸

あほやん300字のラブレターを頼まれる➕追伸

「私の事好きなら、ラブレターちょうだい。
それも300字以内で書いてね。」
と、愛嬌を振りまきながら言いふらしているのは、
幼馴染の澪ちゃんだ。
だが、誰も聞き流していた。

僕は不思議に想い、澪ちゃんに訊ねたら
澪ちゃんは、
「雑誌の募集小説に『300字のラブレター』と
言うのがあるの。それに応募したいんだけど、
私は小説書けないの。
だから人に書いてもらうの。
大賞を獲ると賞金50万円よ、凄い

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小さいオルゴール(530字の小説)

小さいオルゴール(530字の小説)

結衣ちゃんはもう直ぐ3歳になる女の子。
何でも興味を持つ女の子。

今日は不思議な箱を見つけて、目を輝かしています。
「ねえママ、この箱不思議だよ。蓋を開けると音楽が聴こえてくるよ。」

「そうだね、不思議だね。この中に結衣ちゃんよりも小さな人が
音楽を聴かせてくれてるのかも知れないね。」

と、ママは結衣ちゃんに夢を与えてくれました。
「この中に、小さな人がいるの?結衣ちゃんよりも小さな人がいる

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春の夢(420字の小説)

春の夢(420字の小説)

「春の夢?
別に夢は春だけでは無いでしょ。
夏だって、秋だって、冬だって、夢はあるでしょう。」
と、冬が冷たく言った。
「そうだよ、春だけなんて可笑しいぞ!」
と、夏が熱く語る。
「まあまあ、皆さん冷静になって」
と、涼しげに秋が言う。
「でも、春と私は姉妹なのに春だけなんて、ズルい」
秋は拗ねている。
「みなさん、ごめんなさい。私、国民の多くの人達に
一番好かれているので、『春の夢』として選ばれ

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ハルの夢を(410字の小説)

ハルの夢を(410字の小説)

「貼るの!夢を。神社の壁にお札を貼るとね、
願いが叶うのよ」
と、見知らぬ人の声が聞こえる。
ここは「壁貼り神社」
…壁に貼ったぐらいで、夢が叶うなら苦労はしないよ。…
と、想っていたのに、この神社に来てしまう
「溺れる者は藁をも掴む」と言うけれど
今の僕の心境だ

壁に貼ってあるお札を見ると、
夢の貼り紙に、❤️のマークが付いている。

神主に聞いてみた。
「他人の夢が良い夢だと感じたら
❤️を

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この日本国の将来を想う。(525字)

この日本国の将来を想う。(525字)

この日本国に将来の希望があるのか?
私たちが20代の頃は、国民の8割が中流階級と想っていた。
現実には中流階級だったかどうだかわからないが、
皆んな貧しさを感じなかった。

今はどうだろうか?
「貧しくて三度の食事に事欠く児童が居る」と、大々的に宣伝されている。
私達の若い頃にはそんな宣伝は皆無であった。

少子高齢化が進む現代、収入の少ない老人は年金では生活が苦しい。
このまま少子化が進み人口が

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始まりはいつも・・・(300字の小説)

始まりはいつも・・・(300字の小説)

始まりは、何故かビール。

居酒屋に行くたびに、
「取り敢えずビール」を無意識で注文してしまう。
お酒の種類はいっぱいあるのに何故?

1番バッターはビール。
先ずは軽く塁に出る事🟰軽く酔うのはビールに限る

2番バッターはチュウハイだ
どんな物にも対応できる柔軟さ
水で割ったり、炭酸で割ったり
何でもありのお酒だ

3番バッターは日本酒だ。
一つ一つに個性がある。
水で割ることもない純粋さが魅

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階段を登る君を見つめて➕追伸

階段を登る君を見つめて➕追伸

「初恋!?。いつの事か思い出すのも困難だ。
この歳になると。最初誰に恋したっけ?」
初老の男は、5歳の孫の質問に真剣に悩んでいる。
「そう、あれは・・・」

男は頭の中で時を戻し始めた。
目に浮かび見えてきたのは、五月雨の季節。
中学二年生だったあの時の体育館。

私が淡い感情を抱いている娘が僕の側にいた。

時々、彼女と目線が重なり合う。
トキメキを隠しながら、素知らぬ顔の僕。
その娘も恥ずかし

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昴(谷村新司)(ナイツ風ツッコミ)

昴(谷村新司)(ナイツ風ツッコミ)

🎵目を閉じて何も見えず

「当たり前だろう。見えたら怖いわ。」

🎵悲しくて目を開ければ

「目を開けるのに何で悲しんだよ!」

🎵荒野に向かう道より、他に見える物は無し

「おまえ、目を閉じたまま、
どの様にして此処に来たんだよ?
誰かに拉致されてきたのかよ!」

🎵嗚呼砕け散る定めの星達よ
せめて密やかにこの身を照らせよ

「何?
訳の解らない話を、この状況下でするの?
今、拉致されて

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行列の出来るリモコン(440字の小説)

行列の出来るリモコン(440字の小説)

年金暮らしの老人には生活の余裕は無い。
今日も無料で食べれる「炊き出し鍋」に来ている

親切なボランティアの団体が
無料で食事を振る舞ってくれ大助かりだ
私と同じ老人達が群れを成す。
行列は毎度の事、無料だから待つ値打ちがある。

街をぶらついていると、長い行列に出くわした。
習性とは恐ろしいもので、行列を見ると、
つい並びたくなる。
何の行列か尋ねてみると、
リモコンを無料でくれるらしい。

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