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塔野陽太の記事

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記事一覧

僕の壊しちゃったもの/塔野陽太

僕の壊しちゃったもの/塔野陽太

①父親のブラック・ジャックの帯

実家に父親の手塚治虫全集がありました。400冊くらいあるヤバいヤツです。共用の本棚から何冊か取ってきて自分の机の下にある棚に置くということをよくしていました。勉強かネットに熱中していたんだと思います。無意識のうちに足でガシガシ蹴飛ばして、帯をベロベロにしてしまいました。それを境にその全集は何処かに片付けられてしまいました。

②バイト先の店長のお気に入りのコップ

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ガシャン派へ/塔野陽太

ガシャン派へ/塔野陽太

ガシャン派(公式略称)へ捧ぐプレイリストです。

1)今朝の目覚めは悪かった/T字路s

養命酒を飲んだり飲まなかったりしていますが、目覚めは大体悪いです。

2)人間椅子/江戸川乱歩

ウィーンガシャン派を立ち上げる初期衝動を産んだものの一つです。

3) ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV/シルベスター・スタローン

コロナで暇になったスタローンがロッキー4を再編集した映画。元々僕はロッキー

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塔野陽太って?/塔野陽太

塔野陽太って?/塔野陽太

「塔野陽太」は2019年に短歌を始めるに際して、親ではない人からもらった短歌用の名であり、敬愛する芸術家の代表作のアナグラムです。

短歌をちっとも詠んでいない今、名乗る理由はほとんどありません。
ですが、一度は自分の名になった文字列をやはり無下にできず、短歌用からは少しだけ拡張され、文章全般を書くときとインドカレーを食べるときに自称しています。

千葉に生まれ、一時は北海道まで北上しました。人生

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『学校の怪談』/塔野陽太

『学校の怪談』/塔野陽太

好きな映画をいつでも、どこでも観れる時代になった。

だけど、他のコンテンツも同様に、「いつでも、どこでも」を手に入れてしまった。
そんな過多の時代だから、僕らの時間は、必要最低限のものを追うだけで、あっという間になくなっていく。そして、それでもまだ残る貴重な時間さえも、何かにじっくりと時間をかけることが怖くて、短くて軽いコンテンツで埋めてしまう。
そうやって消費した無駄な時間を集めれば、毎日とは

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午前7時56分に目が覚めてから/塔野陽太

午前7時56分に目が覚めてから/塔野陽太

目が覚めた。
時計を見る。

 ●午前7時56分
メールチェックをする。

 ●午前8時03分
洗面台で口をゆすぐ。
マウスピースを装着して寝ているからか、朝は口中の不快感で目覚めることが多い。

 ●午前8時05分
おしっこをする。(←あとで消す?)

 ●午前8時07分
今朝の午前6時07分に来ていた上司からのメールにお詫びと感謝の返信をする。

 ●午前8時23分
部屋のガジュマルに水をやる

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RIP 立ち上げられた団体たち/塔野陽太

RIP 立ち上げられた団体たち/塔野陽太

思えば大学に入学した18歳ごろから、僕は謎の団体を立ち上げてばかりいる。

あるときは、後輩らをかき集め、●●●などという創作団体を立ち上げ、オリジナルポストカードの作成に勤しんだ。出来上がったカードを、後輩の一人と連れ立って、商店街に売りに行った。素人が色鉛筆で描いたイラストが売れると素朴に信じていた。

そして、何故か50円で売れた。買ってくれたのは身体の大きい男の人で、怖い顔をしていた。怖い

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『雨滴は続く』/塔野陽太

『雨滴は続く』/塔野陽太

2022年2月、作家の西村賢太が急逝した。

彼の小説をすべて読んできたわけではない、不勉強な読者でありながら、そのニュース映像を見たとき妙にしんみりとした記憶がある。
作家としてはメディア出演が多く、画面越しに見る強烈な個性には不思議な実在感があった。むろん他の出演者たちも皆実在しているはずだが、自身の貧乏時代を語る彼の言葉や笑い方には、死が身近にある人間特有の力強い生がにじみ出ていたように思う

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