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終わりゆくひと夏の恋と呼ばれるもの、貴方は私にとってまさに夏そのものだった。
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記事一覧

夏の衝動

べたべたに甘い恋がしたい

苺のショートケーキがたべたい

真夏にふさわしい恋がしたい

狂おしく温度の高い恋

BGMはAcid Black Cherry

すっかり汗をかいたビールを飲み干す

熱帯夜

湿度の高い風が

真夏の衝動を呼び起こす

くらくらとめまいのするような甘美に

溺れてしまったあの頃を

ひと夏の恋と呼ばれるもの

彼のアイコンの画像が変わった
以前の写真は私が撮った、後ろ姿

これは奇妙なことなのだけれど
私は嬉しくてたまらなかった

彼もあの夏から完全に抜け出してくれたような気がして
ようやくあの夏を終えることが出来たのだと

相変わらず気障なサングラスをかけて
素晴らしくうつくしい景色のなかに居た

きっとほかの誰かが
撮ってくれたのだろう

ただ夏を夏らしく
過ごしたかった私たち

それだけで良かった

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十月某日

あんなにぐつぐつ煮えたぎっていたというのに

いっしゅんで収まるんだな

熱々のビーフシチュウも

あなたへの熱も

*

きっと怒りも鎮まってしまうように

喜びもすぐに悲しみに変わってしまうように

あなたへの強い執着心も

なにもかもささげてしまいたい衝動も

くらくらするほど甘い刹那を

あなたを

世界のすべてだと信じてしまいたくなるような危険な思想も

時間が季節が他人が

忘れさせて

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晩夏

この数ヶ月のうちに
たくさんうしなった

元々手に入ってたわけでも
ものでもないから
遠くなってしまった、というのが正しいかも

大切に思っていた
つもりだった

ばちがあたったように
つけが回ってきたように

皆一気に去っていってしまった

けれど、

うしなってぽっかりあいた空白は
ただ悲しんで見つめるものなんじゃなくて

もっといいものが入る為の
余白なんじゃないかと思う

うしなって学んで

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drink

ホットにするだけで
こんなにも心にしみるの
なんでだろう

つめたいのみものとは与えてくれる感情が違う

だってあなた、ビールを飲んで安心する?

あなたとわたし
欲しいものが全然違うの

あなたはつめたいサイダーがほしい

刺激的でごくごく飲み干せて
後味は一瞬の爽快感

わたしはあたたかいココアがほしい

優しい甘さでゆっくり味わって
後味は余韻のある安心感

同じものを求めれたらいいのに

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真昼

休日の真昼

貴方と過ごした
たった2時間がとてもたのしかったから

解散したあとに
何気なく入った雑貨屋で
今の気持ちと合う
ポストカードを買った

居心地が良くて
素敵な場所を教えてくれて
蚊に刺されたしくたびれたけれど
シンプルにたのしかった

帰り際
じゃあ、また、ばいばい
がハッピーアイスクリーム

リセットボタンを押した、ということは
強制終了ではないのでしょう?

もう一度はじめから

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いちばん

カメラを向けられて

にっこり笑うのが苦手だ

口角を少しあげるだけか

はたまた歯をむき出しで

大笑いしていて不器量か

だから

いちばん可愛い笑顔の私を

撮ることが出来た貴方は

やっぱり特別な人

前の日の夜

あんなに、あんなに
会いたかったのに

忙しない日々だったせいかな
待ちわびていた日が
いざ、目の前にくると

考えていたこと
伝えたかったことがふっと
飛んでいってしまう

冷静さを少し取り戻せたからかもしれない
心の余裕が出来たのかも
ひたすら悲しくてノートに記した
感情にまかせて出てきた言葉たちは
いまこの瞬間の私にはしっくりこないのだった

いま気分に合うのは
星空の写真と穏やかなピアノ

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おやすみ

大切な人と衝突して
なにもかもわけがわからなくなって
しばらく距離を置こうと言われた

連絡をしなくなり
余裕のなくなっていた心を
ゆっくりと休めて

心のなかをふるいにかけたとき、
残ったのはやっぱり
貴方に会いたい、顔を見て話したい
なのだった

勇気をだしてメッセージを送る

はじめは彼お得意の皮肉の効いた言葉が返ってきたけれど、まるで衝突などなかったかのように
するするとやりとりが続く

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