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読書家ノート

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#海外文学

『ポーランドの人 』 J.M.クッツェー (著), くぼたのぞみ (翻訳) 本文200頁ほどの中篇だが味わい深し。かなり高齢(70代後半)単身男性ピアニストと49歳の知的な家庭ある女性の恋(というか男性側からの一方的な恋)を女性視点側から描く。クッツェーは執筆時82歳高齢男性なのだが、その手際は。

『ポーランドの人 』 J.M.クッツェー (著), くぼたのぞみ (翻訳) 本文200頁ほどの中篇だが味わい深し。かなり高齢(70代後半)単身男性ピアニストと49歳の知的な家庭ある女性の恋(というか男性側からの一方的な恋)を女性視点側から描く。クッツェーは執筆時82歳高齢男性なのだが、その手際は。

『ポーランドの人 』 2023/6/1
J.M.クッツェー (著), くぼた のぞみ (翻訳)

Amazon内容紹介 があまりに長いので初めの方だけ

本の帯のほうが、小説の雰囲気を伝えているなあ。

ここから僕の感想 高齢のノーベル賞作家が、死に近いくらい高齢の老人男性主人公の恋(と性)を描いた小説、というのを、昨日のガルシア・マルケスの『わが悲しき娼婦のたちの思い出』に続いて、二日連続で読ん

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『イギリス人の患者』 マイケル オンダーチェ (著) 土屋 政雄 (訳) 四人の主人公の、過酷な、凄絶な、しかし美しくもある個人的体験を通じて、戦争が世界にもたらした変化を描き切った大傑作でした。

『イギリス人の患者』 マイケル オンダーチェ (著) 土屋 政雄 (訳) 四人の主人公の、過酷な、凄絶な、しかし美しくもある個人的体験を通じて、戦争が世界にもたらした変化を描き切った大傑作でした。

『イギリス人の患者』 (新潮文庫) 文庫 – 1999/3/1
マイケル オンダーチェ (著), Michael Ondaatje (原著), 土屋 政雄 (翻訳)

Amazon内容紹介「痛いほどの美しさ。救いようのない悲劇。『The English Patient』(邦題『イギリス人の患者』)は、第二次世界大戦末期のイタリアのある修道院を舞台に語られる、4つの破壊された人生の物語である。疲れ果

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『パライソ・トラベル』 ホルヘ・フランコ (著), 田村 さと子 (訳) 貧乏人は携帯電話を持っていない時代、ニューヨークに不法入国したその日に警察に追われて恋人とはぐれたら、もう会えない、完全迷子。パスポートもお金もなくて英語も分からない若者は、どうやって生き延びで、恋人を探したか。

『パライソ・トラベル』 ホルヘ・フランコ (著), 田村 さと子 (訳) 貧乏人は携帯電話を持っていない時代、ニューヨークに不法入国したその日に警察に追われて恋人とはぐれたら、もう会えない、完全迷子。パスポートもお金もなくて英語も分からない若者は、どうやって生き延びで、恋人を探したか。

『パライソ・トラベル』 単行本 – 2012/8/18
ホルヘ・フランコ (著), 田村 さと子 (翻訳)

Amazon内容紹介「ラテンアメリカ文学新世代を代表する作家のアドベンチャー・ラブ・ストーリー。故国コロンビアを捨てアメリカに密入国した若者が、はぐれてしまった恋人を探しながら経験する過酷な旅路。」

ここから僕の感想
 読書師匠、しむちょんが教えてくれた本。日本とコロンビアは豊かさとか治

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『双眼鏡からの眺め』 イーディス・パールマン (著), Edith Pearlman (著), 人生の締めくくりを迎える時期に、何が起きる可能性があるのか。どういう心持になるのか。どう受け入れることができるのか。そんなことを考えるために読む小説というものがあるのである。

『双眼鏡からの眺め』 イーディス・パールマン (著), Edith Pearlman (著), 人生の締めくくりを迎える時期に、何が起きる可能性があるのか。どういう心持になるのか。どう受け入れることができるのか。そんなことを考えるために読む小説というものがあるのである。

『双眼鏡からの眺め』 単行本 – 2013/5/24
イーディス・パールマン (著), Edith Pearlman (著),

Amazon内容紹介。「〈全米批評家協会賞・PEN/マラマッド賞受賞〉
双眼鏡で隣人宅をのぞく少女が見た重い現実とは――切り詰めた描写のうちに底知れないものがひそむ表題作。
第二次世界大戦中のロンドンで難民の保護活動に携わるソーニャと、それぞれの道に進みゆく人々との束の

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『ミルクマン』  アンナ バーンズ (著), 栩木 玲子 (訳) 時代社会状況も深刻。起きる事も暗鬱。なのに、何度も抱腹絶倒、50代女性作家が18歳少女(と50代母親)を描く、その独特の語り口。「このような小説は読んだことがありません」とブッカー賞審査委員長が語った。全く同感。

『ミルクマン』 アンナ バーンズ (著), 栩木 玲子 (訳) 時代社会状況も深刻。起きる事も暗鬱。なのに、何度も抱腹絶倒、50代女性作家が18歳少女(と50代母親)を描く、その独特の語り口。「このような小説は読んだことがありません」とブッカー賞審査委員長が語った。全く同感。

『ミルクマン』
Anna Burns (原著), アンナ バーンズ (著), 栩木 玲子 (翻訳)

Amazon内容紹介は、今一つだったので、本の帯の紹介文を引用紹介。

「政治、宗教、暴力で分断された70年代終わりの北アイルランド。謎のテロリストに恋人として狙われる18歳少女の物語。」

ここから僕の感想。
 紹介文だけからすると、えらく深刻な状況で、どんな重たい暗い小説なのか、政治サスペンス

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『タイガーズ・ワイフ』を読んで。私小説として未熟、説話として巧み、若い作家が小説を書くということについて。

しむちょーん、読んだよー。

『タイガーズ・ワイフ』 (新潮クレスト・ブックス) 単行本 – 2012/8/1
テア オブレヒト (著), T´ea Obreht (原著), 藤井 光 (翻訳)

Amazon内容紹介
「紛争の繰り返される土地で苦闘する若き女医のもとに、祖父が亡くなったという知らせが届く。やはり医師だった祖父は、病を隠して家を離れ、辺境の小さな町で人生を終えたのだという。祖父は何

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