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エッセイストになりたいねん

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自分の人生や日々の生活に起きたことをエッセイにしています。
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2020年1月の記事一覧

ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番=「ロシア正教会の鐘の声 諸行無常の響きあり」

ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番=「ロシア正教会の鐘の声 諸行無常の響きあり」

「祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり……」といえば平家物語である。生きているとたまにこういう気分になる時がある。

祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

【現代語訳】
祇園精舎の鐘の音は、「諸行無常」、つまりこの世のすべては絶えず変化していくものだという

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一番きれいだった日(振り袖の話)

一番きれいだった日(振り袖の話)

今日は成人の日だそうだ。なんだって!?知らなかった。日にちの感覚も曜日の感覚も消失しているから、1月下旬くらいかと思っていた。まだ1月って始まったばかりなんだ……お正月って終わったばかりなんだ……あ、そう……

成人式といえば振り袖である。日本中が色彩に溢れ、華やかさ晴れやかさに満たされる日。布団に横になり続けるアラウンド80のような暮らしを送っていると、若い人たちの元気な姿が光に見える。テレビに

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言った方は覚えていない

言った方は覚えていない

とんでもなくひどい事を言われたとして、言われた側はその後の人生に深い暗雲が立ち込めるわけだけど、驚いたことに「言った方は覚えていない」ということが研究によりわかった。

「あの時、……って言ったでしょ」
「……覚えてない……」
「……」
「そんなこと言ったっけ……」
「覚えてもないんだ!(ひどい!ひどい!ひどい!)」
「……ごめんなさい」
「……ひどい……(覚えてないなんて……)」
「ごめんね……

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音楽の力があるとして

音楽の力があるとして

この世にはどうにもならないことがある。たくさんある。それを知っている。

自分の力、人の力、どんな力を持ってしても、合わせても、無力な瞬間がある。時がある。日々がある。

苦しさ、悔しさ、悲しさ、虚しさ、寂しさ、切なさ、いろんな「さ行」が心の中で影を潜めている。顔を出さないように釘をさしても、ほんの僅かな出来事で弾け飛んで、心の内壁が傷付いて、癒える日が遥か遠くに見える。

どうしようもないことを

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音楽性の合う合わない

音楽性の合う合わない

音楽性の合う合わないを友だちづくりの基準に据えていた時期があった。今考えれば、なんとまあ未熟な、可能性を狭める選択をしていたことか。若いってえげつない。

大学生の頃、あんまり友だちがいなかった。毎日がつまらなくて、授業には遅刻ばかりして、講義室に入るのがいやでサボるのはいつものことだった。

当時は「音楽がすべて」だった。軽音サークルに入って、歌を歌って、演奏をして。人間は音楽をするのが当たり前

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ポジティブな人について

ポジティブな人について

昔の私は、ポジティブな人のことをどこか薄っぺらいと思っていた。どうせ人生でつらい経験なんてしたことがないんだろう。環境的に恵まれているから明るい性格なんだ。生まれもってのものなんだ、と。

ネガティブでいても許される場所を求めて、私はインターネットに逃げ込んだのだった。SNSは気楽だった。赤の他人と無責任な友情に浸れる。一人の自由さと、人に囲まれる気持ち良さがちょうど良い塩梅で混ざり合っていた。

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言語化のばかやろう

言語化のばかやろう

できないことが増えてくたび
自分がひとつ消えていく
なにも知らない人の
あどけないひとことに傷ついて

なにもやらないことに慣れてくたび
自分がひとり死んでいく
やりたいことだけが膨らんで
できずにしぼんでく

どうして どうして どうしてなの?
どうして どうして どうしてなの?
どうして どうして どうしてなの?
どこにも答えは載ってない

やりきれぬこと飲みこむたび
悔しさばかりたまっていく

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