記事一覧
いつかの日記(19) (夢、セイウチ・トド、苦い食べ物)
日記のようなもの、つづき。
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いまの心配事が何と何と何で、それらを自分がまるっと何のせいにしたいのかが明らさまにわかるような夢を見て、萎えた。が、心配ばかりしてないでそろそろ心身を動かさないといかん、という気にもなって、のろのろと起き上がり、しっかり目の朝食をとる。トーストにはバターを塊で載せちゃう。バターはしっかり溶かして満遍なく塗るよりも
いつかの日記(17) (色々な手違い、カーソン・マッカラーズ『マッカラーズ短篇集』)
日記のようなもの、つづき。
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調味料棚に同じメーカーの同じデザインの「ブラックペッパー」と「シナモンパウダー」の缶を並べていて、いつか絶対に間違えるナーと思っていたけど、とうとうやった。いつか絶対に間違えるナーと思っていたので驚きはない。がっつりシナモンがまぶされた野菜炒め、なんとなくトロピカルな、緯度が低そうな風味がして「なし」ではない気が
いつかの日記(16) (花と絵画)
日記のようなもの、つづき。
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最近、部屋に花を飾るようになった。20年近く一人暮らしをしていて、ほぼ初めてだと思う。
きっかけは、絵を飾ったことだ。絵画をプレゼントしてもらい、賃貸マンションの小さな部屋のどこにどう飾るか、数ヶ月悩んで(途中あきらめかけてちょっと放置した…)、なんとか定位置が決まった。そうしたら、その下に花も飾りたくなった。
いつかの日記(15) (通過する日々、ゲーリー・スナイダー詩集)
日記のようなもの、つづき。
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ファイル名に2024と打ち込みながら、もう24年か〜、もうそのうち年度末じゃーん、とつい思う。
月末とか月初とか期末とか期首とか、われわれ会社員の世界は見えない線を引き、守ったり跨いだりすることに年がら年中皆の膨大なエネルギーを注いで成り立っている。時間を区切り、かつその一つ一つの区間をブロックのように積み上げ、
いつかの日記(13) (斎藤真理子『本の栞にぶら下がる』)
日記のようなもの、つづき。
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斎藤真理子『本の栞にぶら下がる』を読んだ。本や読むこと、言葉そのものに対する愛着と客観性に支えられた読書エッセイ。
著者が本の読み方について使う、オノマトペの豊かさが面白かった。田辺聖子の大量の著作を「どしどし」読んで、その中の気に入ったものを「ごしごし」読んだ、とか。森村桂の本は、中学生の自分にも「するする、ぴ
いつかの日記(12)
日記のようなもの、つづき。
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数年振りにピアノに触る。久しぶりだろうと下手くそだろうと、どこか押せばそれだけできれいな音が出るから本当にいい楽器だなと思う。
ピアノ、子供の時に友達のお母さんから習って、学生の時に軽音楽サークルで鍵盤をやって、それ以降はごくたまに思い出した時に触るくらい。昔から練習が嫌いで、全然上手くならない。それでもぼーっと同
いつかの日記(11) (食パン、着メロ、SF)
日記のようなもの、つづき。
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食パンが好きである。ニンゲンのほとんどは水らしいが私の3分の1は「超熟6枚切」でできていると言いたい(一日三食のうちの最初の一食が必ずそれなのだから)。整然と切り揃えられたふかふかの断面、口の中でほどよくもたつく厚みと柔らかさ。全てがちょうどいい。焼いてもそのままでもうまい。あれは幸せの断面なのではなく、断面という
いつかの日記(10) (『燃ゆる女の肖像』など)
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配信で映画『燃ゆる女の肖像』を見た。
恋とは見つめることであり、見つめることは必ず相手を侵襲する。恋人たちは互いの眼差しに傷付けられながらも、それを求め合う。眼差しが交差する一瞬だけが永遠であることをわかっているからだ。
未完成の、顔のない肖像画。前を行く者が「振り返る」ことの意味を、語り合う女たち。出会いと別れの場面における、追いかける者と
いつかの日記(5) (コーヒー、違和感の記述、スペース)
一言二言日記つづき。
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声が通らない。飲食店で注文するのが苦手である。聞き返されつつも喫茶店でアイスコーヒーを頼んだつもりが、アイスコーヒーとホットコーヒーの両方が運ばれてきた。アイスとホットのハーフサイズ(といってもそれなりの量)のセット、というメニューがあって、それを頼んだと思われたらしい。全然構わないが、そんな温冷交代浴みたいなメニュー
いつかの日記(4) (春、なんかの入れ物、トマト、欧米の隅々:市河晴子紀行文集)
ほぼ一言日記つづき。
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春はバンドが聴きたくなる。音の隙間を色や光や風が埋めてくれる季節だ。
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帰省。実家とは、「かつて何かの入れ物だったもの」や「かなりなんとなく装飾された入れ物」がやたら活躍する場所。ハーゲンダッツの箱に塩昆布が入っている。「I AM A CAT」と印字されたボトルに