いつかの日記(10) (『燃ゆる女の肖像』など)
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配信で映画『燃ゆる女の肖像』を見た。
恋とは見つめることであり、見つめることは必ず相手を侵襲する。恋人たちは互いの眼差しに傷付けられながらも、それを求め合う。眼差しが交差する一瞬だけが永遠であることをわかっているからだ。
未完成の、顔のない肖像画。前を行く者が「振り返る」ことの意味を、語り合う女たち。出会いと別れの場面における、追いかける者と振り返る者の美しい対称性。全編を通して念入りに強調される「顔を見せることの特別さ