いつかの日記(7) (爪切り、cero『e o』、あうヨーグルト)

一言二言日記つづき。

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夜中に爪を切ってはいけない、夜中に新しい靴をおろしてはいけない、夜中に口笛を吹いてはいけない。いわゆる言い伝えにおける夜という時間帯は、私の日々の感覚よりもずっとはっきりと、意識のガラスケースに入れられ他の時間から区別されている。それはこの世がこの世ではない場所と接続する時間、光が終わりまた始まるまでの時間。子供の頃はそういう境界としての夜をよくわかっていたと思う。だから夜中に目が覚めるとちゃんと怖かったし、それを乗り越えた先にある朝は毎回、花のように新しかった。
(寝る前にふと爪を切りたくなって、少し迷ったけど切っちゃったよねという日の日記。)

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ceroの『e o』聴き始めた。幾重にも重ねたコーラスの上、あらゆる情景の断片と“リンクの切れた言葉たち”が漂う。生きることは世界と連動することだから、ここにあるのは一度接続を絶たれることで死んだものたちが、奇妙に隣り合い再生する地層。
世の中にはめちゃくちゃ素晴らしい音楽がめちゃくちゃたくさんあって、頑張って追いかけたって一生のうちにそのほんの一雫にしか出会うことができない。ceroはそうであることの喜びと寂しさを思い出させてくれるバンドです。
良き鑑賞者でもあるはずの3人の音楽家たちは今日までどんな音楽を聴いてきて、これからどんなものを聴くのだろう、それが当然私には想像もつかないということにわくわくする。彼らの創る景色は時と共にゆるやかに形を変えながらずっと、ポップスという現在進行形に膨張する、生きる巨大ライブラリーと繋がってる。

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数ヶ月前、テレビで「肌のために良いこと特集」みたいなのをやっていて、ヨーグルトを夜に食べると良い、ヨーグルトは色々な種類を食べてみて自分に合うものを選ぶと良い、とのこと。自分に合うものってどういうことだ…と思いつつ、それまで全然食べる習慣がなかったのに食べてみたくなり、思いついた時に買うようになった。ヨーグルト。ほんとに色んな商品があるんだねぇ。それで、この間母と電話していたら、ねぇヨーグルトって自分に合うものを選ぶといいんだって、でも自分に合うものってなんなの?と言うのでおかしかった。
美味しいと思うものでいいんじゃない、というのが私たちの結論で、最近気に入っている(私に合っている)のは蒜山ジャージーヨーグルトというやつ。蒜山、「ひる」と「ごぜん」が入ってるようで明るい地名だ。

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つづく。


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