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§ 中国万華鏡 § 之 ぶくぶくちゃいなノオト(更新終了)

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※当マガジンは2017年12月末をもって更新を終了いたしました。2018年1月からの記事は「月刊『ぶんぶくちゃいな』」(http://bit.ly/2A23ZT7 800円/月)… もっと読む
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#中国

【ぶんぶくちゃいな】中国ITプロたちの不安:センター化するインターネットと我われの記憶

変な話に聞こえるかも知れないが、わたしはインターネットの「流儀」を中国のネット界で学んだと思っている。

こんなふうに書くと、「中国のネット界ってコピペとパクリだらけなのに?」とか「へー、世界のインターネットから遮断された環境でねぇ〜」と思う人もいるかもしれない。それも想像の上で書いている。

もう一度書く。わたしはインターネットの「流儀」を中国のネット界で学んだ。

引っかかる人に言っておく。た

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【ぶんぶくちゃいな】マルチ商法:「愛国」と「絶望」の間の深い闇

【ぶんぶくちゃいな】マルチ商法:「愛国」と「絶望」の間の深い闇

お盆休みに入ったようで、東京の街もあちこち閑散としてきた。就活中の大学生たちもちょっとくらいは息抜きしてせっかくの夏休みを楽しんでいるのだろうか?

中国も今、就活の時期だ。日本と違って中国の就活はそれほどスケジュールの取り決めもなく、逆に縛り付けられることもないので、6月に卒業してからが就活のピークシーズンとなる。もちろん、もっと早くに手を打つ人もいるだろうが、大学最後の年はみな卒論で手一杯で、

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【ぶんぶくちゃいな】「インターネット安全法」施行日に個人情報争奪戦勃発

「【ぶんぶくちゃいな】『安全』という名の『規制』 インターネット安全法成立」で触れた「インターネット安全法」が6月1日から施行された。その前日の5月31日から西洋メディアでは、同法施行を前にした外国企業の不安の声が伝えられた。

一方、日本メディアはというと、わたしがいつも目を通しているニュースサイトにもこの話題が上がってこなかったので、インターネットで検索したところ、各新聞社もそれなりに触れては

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【ぶんぶくちゃいな】「東シナ海は正常に戻った」

【ぶんぶくちゃいな】「東シナ海は正常に戻った」

「王毅外相は東シナ海の事態はすでに正常に戻ったと述べた」(王毅稱東海事態已經恢復正常)

25日朝、中国メディアに流れたニュース記事のこんなタイトルが目に止まった。「すでに正常化に戻った」? ニュースでは前日の日中外相会談で特になにかに合意したという「成果」は伝えられていなかった。

日中韓3カ国首脳会談のために日本入りした王毅外相だが、多くのメディアが報道する通り、この日本語ができる元駐日本大使

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【ぶんぶくちゃいな】王五四「キミはおバカなときだけ誠実だ」

【ぶんぶくちゃいな】王五四「キミはおバカなときだけ誠実だ」

ハーグ仲裁裁判所が下した南シナ海領有権問題への裁定。中国はその主張が退けられた。だいたい仲裁裁判に求められても出廷しなかったのだから、その「敗訴」はもともと予想の範囲内。その証拠に中国では裁定発表前夜から政府系メディアは警戒感丸出しの記事を流し続けていた。つまり、裁定後の「厳しい反論」は準備された演技といえる。ならば、その演技の先にいかなる「落とし所」があるのか。意外なシナリオが見えてきた。

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【ぶんぶくちゃいな】大洪水でつきつけられた「情報開示」請求

【ぶんぶくちゃいな】大洪水でつきつけられた「情報開示」請求

普通選挙も存在しない中国に「民主意識」はどこまで育つのか。そのきっかけは意外なところからやってくる。

一年もすでに半分が過ぎたが、今年は世界的に「選挙」や「民意」の意味がさまざまに論じられる年となるのではないかという気がしている。

東京では参院選に引き続き、東京都知事選が行われる。さまざまな物議をかもした石原知事以降、続く猪瀬直樹氏、舛添要一氏の早々の退陣、そしてまた新しい都知事を迎えることに

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【ぶんぶくちゃいな】崩れ落ちた新ビジネスモデルと「ネジ釘」

【ぶんぶくちゃいな】崩れ落ちた新ビジネスモデルと「ネジ釘」

今週は2つの「事件」が中国の中産階級の注目を浴びた。

一つは、メルマガ135号「繰り返される『記憶』:文革、そして庶民の不審死」でも触れた、雷洋氏の不審死事件が新たな進展を見せたことだ。

この事件は、北京の郊外に暮らしていた雷洋氏が空港に着く親戚を出迎えるために家を出たが空港に姿を表さず、心配していた家族たちとその数時間後に警察で遺体となって対面したことから始まった。警察側は、雷氏の自宅付近で

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【ぶんぶくちゃいな】ネットで日中関係が変わる? ──ふるまいよしこと考える中国メディアのいま

(2016年5月18日 ニコニコ生放送『津田ブロマガeXtreme』#44より)

出演:津田大介(ジャーナリスト)、ふるまいよしこ

津田:月に一度、ニコ生でお送りしている『津田ブロマガeXtreme』、今月のゲストはフリーランスライターのふるまいよしこさんです。

ふるまい:よろしくお願いします。

津田:ふるまいさんといえば、津田マガでも中国メディア事情に関する連載「中国ジャーナリズム、ネッ

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【ぶんぶくちゃいな】端媒体:蔡英文の中台関係「100字発言」戦略を読む

【ぶんぶくちゃいな】端媒体:蔡英文の中台関係「100字発言」戦略を読む

今回は、香港のネットメディア「端媒体 The Initium」に掲載された記事を、許可を頂いて翻訳してご紹介します。台湾で女性として初めて民進党から総統に就任した蔡英文さんが、民進党を「台湾独立派」として警戒する中国に対していかなる戦略を取っているのか。台北からライター史派西さんによる非常に興味深い分析です。

民進党のスポークスマンはメディアに求められ、手にしたメモの文字を一文字も間違えないよう

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【ぶんぶくちゃいな】繰り返される「記憶」:文革、そして庶民の不審死

【ぶんぶくちゃいな】繰り返される「記憶」:文革、そして庶民の不審死

中国の社会ニュースはなんともいえない重苦しいものが続いている。今週メディアが取り上げたトップニュースはなんといっても5月16日が、1966年に発動された文化大革命(文革)から50年目にあたる記念日だったことだろう。

だが、毛沢東による権力闘争として知られるこの歴史的事件も、まだすべてを掘り起こして語り尽くすことができるムードにないことは、中国メディアが「さらり」とそれに触れていることでも明らかだ

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【ぶんぶくちゃいな】エリザベス女王の「一刺し」

先週火曜日(5月10日)、イギリスのエリザベス女王が、昨年10月に訪英した習近平・中国国家主席ら一行を「失礼だった」とコメントしたことが大きなニュースになった。

バッキンガム宮殿スポークスマンは「私的な発言にはコメントしない」と述べているらしいが、バッキンガム宮殿主催の園遊会、つまり公的活動における発言が私的なものといえるだろうか。もちろん、メディアも入っていて発言中の姿もばっちり、そしてその発

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【ぶんぶくちゃいな】検索エンジンビジネスの「邪悪」

【ぶんぶくちゃいな】検索エンジンビジネスの「邪悪」

昨年秋、わたしは夕方のランニング中に道の段差に足を取られて転倒し、足の指を骨折した。香港、北京での30年近い生活でもケガどころか大きな病気にかかったこともなかったわたしは、東京で暮らすようになってからもあまり病院について関心を払っておらず、近所のどこに相応しい病院があるのか、まったく見当もつかなかった。

その時に役に立ったのがGoogleだった。Googleマップの検索欄に住所とともに「骨折、捻

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【ぶんぶくちゃいな】中国式「義援金」システム

【ぶんぶくちゃいな】中国式「義援金」システム

(メルマガ「§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな」では「「熊本地震義援金」に思う」として配信しました。)

熊本地震に対して、台湾政府が6400万円相当の支援を決めたことが話題になっている。台湾の人たちが日本に向ける視線と好意の「熱さ」は言わずもがなで、否定しようがない。実際に行ってみるとわかるが、日本人というだけであんなに熱狂的に迎え入れてくれる場所は世界でも他にない。

その一方で

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【ぶんぶくちゃいな】外交姿勢をめぐる三つどもえバトルの行く先は?

【ぶんぶくちゃいな】外交姿勢をめぐる三つどもえバトルの行く先は?

やっとのことで、日本ではあまり知られていない中国のメディア事情の変遷に関する本を書き上げた。特にここ5年ほどはネット事情のとの絡みがメディア界に底からひっくり返すような激震を巻き起こしており、そのあたりを中心的に書いた。5月中旬までには書店に並ぶ予定だ。

時にここ数年のメディアの動きは激しすぎる。つい1年前の人気紙が今でも主流から外れていたりとめまぐるしい。自分の本の宣伝をここでするつもりはない

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