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【前編】 F1のちっちゃいエンジンがなんで1,000馬力も出せるか教えたるで!

みんな、元気にやっとるか!

いきなりやけど、F1は好きかいな。ワイはBMWザウバー押しとったけどな。なんつうか、いろんな意味でポンコツなチームやった。今も昔も変わらずフェラーリとメルセデスがよろしくやっとるって感じやな。

今日は、F1で使われてるちっちゃいエンジンがなんで1,000馬力も出せるんかを説明するで。

スペックに関してやけど、現在規定のエンジンは1.6リッター90度V6エンジンで、ボアは80ミリに設定されとる。つまり、ストロークは53ミリやから、1シリンダーあたりの容量は0.267リットルになるんや。これは今の市販車のシリンダーのサイズの約半分やな。市販車のシリンダーはだいたい0.5リットルぐらいやからな。このエンジンは15,000 RPMまで回るんやけど、これがなんでかっていうのはこの記事の後半で説明するわ。


1.6リッターV6エンジン!?

スクーデリア・フェラーリTipo 059/3エンジン
By 5225C - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=134676932

今のF1のエンジンは2014年から使われてるんや。ざっくり説明すると、まず空気がインテークから入って、ターボチャージャーのコンプレッサー側を通るんやな。もちろん、その空気は熱くなるから、インタークーラーを通して冷やされるんや。これがエア・トゥ・エア(空冷)かエア・トゥ・ウォーター(水冷)のインタークーラーやね。その冷やされた空気がシリンダーに入って、燃焼に使われるんや。排気ガスはターボチャージャーを回してから、車の後ろの排気管から出るんやで。

一般的なF1のエンジン

ほな、このF1のパワーユニットには、めっちゃ賢い追加の機能が二つあるんや。それが両方とも電動モーターで、一つはMGU-Kっちゅうて、車のクランクシャフトに直接繋がっとるんや。もう一つはMGU-Hで、ターボチャージャーのシャフトに直接繋がっとるんや。想像できると思うけど、ターボチャージャー付きのエンジンやと、排気ガスが増えるにつれてブーストが増えて、その結果さらに排気ガスが増えて、またブーストが増えるっていう無限ループになるやろ?これを止める方法がいるわけや。

ターボチャージャーと外付けのウェイストゲート

伝統的なターボチャージャー付きエンジンやと、ウェイストゲートを使って、排気圧の一部をターボをバイパスさせて、この無限ループを防ぐんや。でもフォーミュラワンでは、もっと賢い方法があって、排気に行くエネルギーを無駄にせずに、できるだけ多くのエネルギーを回収するんや。つまり、そのエネルギーを無駄にする代わりに、MGU-Hっちゅう電動モーターを使って、ターボチャージャーの排気部分とインテーク部分に繋げるんや。このモーターを回転させると、ブレーキの役割を果たすんや。ターボチャージャーの回転を抑える再生ブレーキみたいなもんやね。それで、このエネルギーをバッテリーかMGU-Kに送れるんや。

つまり、MGU-Hは三つの役割を果たしてるんや。① オフスロットルの時にターボチャージャーを回したままにすることで、アンチラグみたいな働きをするんや。それから、② バッテリーを充電する役割もあるんや。このときはウェイストゲートみたいに、ブーストを制限しつつ、そのエネルギーをバッテリーに送るんや。そして、③ MGU-Kに直接パワーを送ることで、クランクシャフトに直接繋がってるMGU-Kを動かして、車輪にもっと加速を与えるんや。

メルセデスAMGペトロナスが採用したMGU-H
https://www.formula1.com/en/latest/article/mercedes-to-debut-formula-1-mgu-h-technology-in-amg-road-cars.6ha9y57tg2aY33xZsWQjwH

MGU-Kには基本的に二つの機能があるんや。① 120キロワットのパワーをクランクシャフトに直接送ることや。これで加速が良くなるんやな。② ブレーキみたいに使うことや。再生ブレーキとして使うことで、マイナス120キロワット、つまり120キロワットのパワーをMGU-Kからバッテリーに戻して、そのエネルギーを後で使うために保存するんや。

ホンダF1が開発したMGU-K
https://global.honda/jp/tech/motorsports/Formula-1/Powertrain_MGU-H_MGU-K/

ほな、MGU-Kが120キロワット、つまり160馬力を作り出すとして(規定によりMGU-Kは120キロワット以上出せない)、全体で1,000馬力に達するには、エンジンだけで約850馬力が必要になるわけや。ほんまにそんなん可能なんか?

F1の二つのルール!?

パワートレインに関して言うと、F1には基本的に二つのルールがあるんや。

まず一つ目は、車に積んでいい燃料の量が110キログラムまでっていう制限。これがレースを完走するためのエネルギーや。決まった周回数を誰が一番速く走り切れるかが目標やけど、みんな同じ110キログラムの燃料でそれをやらなあかんわけや。エネルギーが多ければ多いほど速く走れるけど、みんな同じ110キログラムの燃料を持ってるから、その中でどう効率よく使うかが鍵やな。

ほな、二つ目のルールやけど、これは燃料の流量に関するもんや。エンジンに入れる燃料の量には上限があって、この方程式で決まっとるんや:燃料流量(fuel flow)はRPMに0.009を掛けて、そこに5.5を足すんやけど、上限は1時間に100キログラムや(つまり100 kg/h)。せやから、エンジンに1時間に100キログラム以上の燃料は入れられへんちゅうことや。

この方程式をグラフにするとどうなるかっちゅうと、基本的には線形関数になって、10,500 RPMで上限に達するんや。10,500 RPMでは最大の燃料流量100 kg/hを使えるっちゅうわけや。これがエンジンが15,000 RPMまで回らん理由やね。そんなに回しても意味がないんや。10,500 RPM以上で燃料を使い切ってもうたら、それ以上のRPMでは摩擦損失が増えるだけやし、空気はもっと入れられるけど、燃料は規定量以上増やせへんからあんまり意味がないんや。

燃料流量100kg/h時の理論的なRPM最大値
燃料流量とRPMのグラフ

せやから、ドライバーは12,000 RPMぐらいでシフトするんや。パワーのピークはだいたい10,500~11,000 RPMぐらいになるから、その範囲内でギアを使ってレースを走るんやな。そうすることで、エンジンのパワーを最大限に活かせるんや。

ここでおさらい

まだ1,000馬力どうやって出してるんか分からへんな笑。ほな、今分かってることおさらいしよか。まず、パワーは最終的には燃料で制限されとるんや。1時間に100キロ以上の燃料は使えへん。ほんで、100キロの燃料にどんだけのエネルギーがあるんかっちゅう話やな。F1で使ってる燃料は、ほぼ市販のガソリンと同じやってチームが言うてるんや。

余談やけど、スクーデリア・フェラーリはシェルのV-Power入れとるらしいぞ。

EPA(アメリカ合衆国環境保護庁)のデータによると、1ガロンのガソリンは33.7キロワットアワーのエネルギーに相当するんや。1ガロンのガソリンは約6ポンド、つまり2.72キログラムや。ほんなら、100キログラムの燃料を2.72で割ると、約36.8ガロンのガソリンになるんや。それをEPAの変換レートで33.7キロワットアワー掛けると、100キログラムのガソリンに含まれるエネルギーは1,240キロワットアワーになるんや。

100kgのガソリンが持つエネルギーは1,240kwh

これ、ちょっと計算しただけやけど、信じてもええんかっちゅう話やな。実はメルセデスのドキュメント見つけたんやけど、それによると100キログラムの燃料には1,240キロワットのエネルギーがあるって書いてあったんや。でも、キロワットっていうのはパワーの単位で、エネルギーの単位やないんやけど、まぁその辺はええやろ笑。

ほな、エンジンは燃料でパワーが制限されてるってことが分かったやろ。つまり、エンジンは1時間に1,240キロワットアワーまでしか使えへんっちゅうことや。これはエンジンが100%熱効率で動いてる場合やけどな。実際には、このエンジンはなんと50%以上の熱効率なんや。せやから、燃料のパワーを半分にすると、エンジンは620キロワット、つまり約830馬力を生み出せるっちゅうことや。さらにMGU-Kから120キロワットが加わるから、合計で約740キロワット、つまり約1,000馬力になるんや。

ほんなら、次の疑問として「どうやって50%の熱効率を達成しとるんや?」っちゅうことやろな。今日の内燃機関で35%の熱効率を達成するだけでもすごいことやのに、なんでこんなに効率がええんや?そこの秘密には3つの技術があるんや。

後編に続く!
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