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非行

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息子の非行の日々
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#心

ピカピカ

ピカピカ

むかしむかし、あるところにピカピカの可愛い男の子が産まれました。
『いいこと考えた!』が口癖の元気な男の子です。
いたずらばかり思いつく天才でよく怒られました。
少し大きくなった男の子は怒られるのが嫌になりました。
嫌だ嫌だと言っても誰も聞いてくれません。
誰も聞いてくれないから話せなくなった男の子は怒りん坊の暴れん坊になりました。
そうすると『反省しなさい』と閉じ込められて、男の子の心はどんどん

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少年院の運動会

少年院の運動会

小学校の運動会は両祖父母も揃っていつも賑やかだった。
中学校の運動会は遠くから写真を撮っただけで終わった。
中退した高校の運動会では無視された。

少年院の運動会は未経験だ。私は1人で参加した。 写真に残すことも許されない運動会。

北朝鮮の軍隊のように揃った動きで出てきた子どもたちを見た瞬間、涙があふれた。
金髪で暴言を吐きまくっていた子がどうやったらこんなふうになるんだろ

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親子が別々に暮らすということ

親子が別々に暮らすということ

未成年の息子を追い出す夫。
そうなってしまうほど夫も限界だった。

保護観察ということもあり、親の関わりや接し方についてやんわりではあるが助言のようなものもされる。

時には面識のない市の担当の人に子育てについて柔らかく遠回しに言葉をかけられることもある。
過敏になっている夫の心はもう閉じていた。

もう誰かに何か言われることを拒否していた。

親子は一緒に暮らした方がいいのかもしれない。

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怒り

怒り

ピリついた毎日だった。

保護観察中の分際で、遅くまで帰らないこと、仕事に寝坊すること、次男の態度の悪さに夫はイライラしていた。

「やりたいことをやるなら筋を通せ」という夫のまっすぐ過ぎる正論は正しかった。

そして正論では伝わらないことが山ほどあり、言葉でねじ伏せても効果はないように感じた。

次男はあまりしゃべらなかった。
というより、話してもどうせ聞いてもらえないことを感じ

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15歳で社会に出る

15歳で社会に出る

次男は知人の会社で働き始めた。

肉体労働はきつかったと思うが丈夫な身体を生かして働いた。

大人の中で働くことで自分も大人になったような嬉しい気持ちだったのかもしれない。

実年齢より上に見られることを嬉しがっていた。

鏡の前で腰袋を装着し工具を入れたり出したりしていた。

新しいランドセルが届いた時も鏡の前で嬉しそうに、からったり下ろしたりしていたなと思う。

嬉しい時に

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