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140字小説集

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投稿した140字小説をまとめました
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記事一覧

140字小説「星に愛される男」

140字小説「星に愛される男」

男は『途切れた運命の糸』が落ちているのに気がついた

拾って、見てみると『運命の糸』は引き千切られていた

男は物悲しく揺れる『運命の糸』を見て
『運命の糸』の千切れた部分を地面に埋めて供養した

男は自分の手を見る

自分の『運命の糸』は、誰に繋がっているのか
まだ見ぬ運命の相手が、男は気になった

140字小説「下手の横好き」

140字小説「下手の横好き」

男達は会議室で話し合っていた

議題は問題のある社員についてで
様々な社員から報告が上がっている

「手柄を横取りされた」
「会社の備品を横流ししている」
「出勤時車を横付けしてきて危ない」
「会議でいつも発言に横槍を入れてくる」

成績も悪く、周りに被害が出てるとして

この社員をリストラ候補に上げた

140字小説「隣人ガチャ」

140字小説「隣人ガチャ」

男は今回のガチャ結果が外れだったと落胆した

まず、環境に合ってなく
望んだ条件も満たしていない
そして何より、男との相性がとても悪かった

これなら前回のガチャ結果のほうがマシだったと酷く後悔した

男はこのままでは生活に支障が出てしまうと思い

仕方なく、手間のかかるリセマラの準備に取り掛かった

140字小説「別人の成り代わり」

140字小説「別人の成り代わり」

彼は昔から遅刻が多かった

今でこそ誰かと会う日は
カレンダーの日付に印をつけて
遅刻対策をしているらしい

今日の待ち合わせにも遅刻せず
効果があるものだと感心する

彼から話があると部屋に招かれた

準備が必要らしく部屋で待っていると
壁に掛かったカレンダーが目に入る

今日の日付に印はついていなかった

140字小説「脚を取られる」

140字小説「脚を取られる」

男は見知らぬ部屋で目を覚ました
部屋を見渡すと脚の壊れた机が散乱している

脚が壊れていない机は男が寝ている長机だけだった

男は長机から降り部屋を調べていると
壊れた机に脚を捕られて転倒しそうになる

男は咄嗟に手を伸ばし長机の脚を強く掴んだ

男の頭に声が響く

『これより脚の引っ張り合いを始める』

140字小説「お先真っ暗」

140字小説「お先真っ暗」

女は日常の中で既視感を覚えていた
人との会話、人との出会い
それらを夢で観た気がする

確認のため
毎日夢の内容を記録していくと

3日毎に
女が翌日の予知夢を観ているとわかった

そして予知夢の内容は
女が何をしても必ず実現した

前回の予知夢から3日後の朝
女は夢を観ずに目覚める

そして絶望し悲鳴を上げた

140字小説「カムバックキャンペーン」

140字小説「カムバックキャンペーン」

久しぶりに
君のもとを訪ねると決めてから

共に過ごした
楽しかった日々を思い出すよ

僕が君に興味を持ったから
僕たちは出会ったんだよね

でも僕は君との出会いや
一緒に過ごした思い出は覚えているのに

君と交わした二人だけの大切な言葉を忘れてしまったんだ

「パスワード忘れてソシャゲにログインできない」

140字小説「致死量の記憶」

新種の花が発見された
触れた人の記憶を奪い、白い花弁を黒く染める花

学者達は様々な実験により

この花は奪った記憶を花弁に蓄える事
花弁が黒いほど蓄えている記憶量が多い事
花弁を食べると蓄えてある記憶が頭に流れ込む事

それらを発見した

その結果

漆黒に染まった花弁を食べさせる『黒花刑』が施行された

140字小説「叶えるとは言っていない」

140字小説「叶えるとは言っていない」

女は明日の試練を突破させてほしいと神に願った

試練の結果次第で経済的に窮地へ陥ってしまうと必死に訴えた

神は女の必死な願いを聞き、一日怪我をしない体と危機察知の加護を与えた

翌日の夕方

女は神に怒りをぶつける

「算数のテスト全然できなかったじゃん!!」

女のおこづかいは両親によって減らされた

140字小説「未完により打ち切り」

140字小説「未完により打ち切り」

人生の書は付属のペンで書き込んだ願いが実現する本

そんな本を人から譲り受けた男は、不思議に思いながらも自分の為に使うことにした

数日後、男が願いを書き込んでいるとペンのインクが無くなり、何も書けなくなってしまった

人生の書には、まだページが残っている

その後、男を見たものは誰もいなかった

140字小説「第1位は令和」

140字小説「第1位は令和」

旅行会社が今年の旅行先ランキングを発表した

国内は沖縄に根強い人気があり、国外のハワイやグアムと20位付近を競っている

他星では手近な月や環境の整っている火星がトップ10に食い込み、星間旅行の人気に衰えはない

そして昨年放送の大河ドラマにより、不動の1位『江戸時代』が僅差で2位となった

140字小説「栄養価は非常に高い」

140字小説「栄養価は非常に高い」

森の中に池がある

池の近くに住む村人は
昔から池に向かって秘密を吐き出していた

そうすれば他人に秘密が漏れないと信じており
実際秘密が漏れた村人はいなかった

村が酷い干ばつに襲われた年
村人たちは話し合い、池の水を農地に利用する事を決めた

秘密をたっぷり含んだ野菜を巡り

村が崩壊するまで後3ヶ月

140字小説「俺たちに気が付かない!!これだけいるのに!!」

140字小説「俺たちに気が付かない!!これだけいるのに!!」

女は新居で祖母の形見である手鏡を見ていた

新居は立地や間取りに対して家賃が安く
穴場の物件に入居できたと女は今も思っている

問題は形見の手鏡で
祖母はこの手鏡の事を声を写す鏡と呼んでいた

女は改めて形見の手鏡を見る

形見の手鏡には女の顔が見えなくなるほど
無数の声が写っていた

女に霊感は全くない

140字小説「誰も帰ってこない」

140字小説「誰も帰ってこない」

男は浜辺で地図の入ったビンを見つけた
冒険心をくすぐられ
男は地図を持ち帰り調べ始める

数年かけて調べた結果
地図の場所は
昔、財宝を求めた海賊が出没して
今は海賊の心配はない場所とわかった

男は冒険心を抑えられず
地図の場所に向かう準備をする

男は海賊船が尽く沈没し
地図だけ帰ってきた場所に向かう