醍醐兎乙 @140字小説

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140字小説「星に愛される男」

男は『途切れた運命の糸』が落ちているのに気がついた 拾って、見てみると『運命の糸』は引き千切られていた 男は物悲しく揺れる『運命の糸』を見て 『運命の糸』の千切れた部分を地面に埋めて供養した 男は自分の手を見る 自分の『運命の糸』は、誰に繋がっているのか まだ見ぬ運命の相手が、男は気になった

    • 140字小説「下手の横好き」

      男達は会議室で話し合っていた 議題は問題のある社員についてで 様々な社員から報告が上がっている 「手柄を横取りされた」 「会社の備品を横流ししている」 「出勤時車を横付けしてきて危ない」 「会議でいつも発言に横槍を入れてくる」 成績も悪く、周りに被害が出てるとして この社員をリストラ候補に上げた

      • 140字小説「隣人ガチャ」

        男は今回のガチャ結果が外れだったと落胆した まず、環境に合ってなく 望んだ条件も満たしていない そして何より、男との相性がとても悪かった これなら前回のガチャ結果のほうがマシだったと酷く後悔した 男はこのままでは生活に支障が出てしまうと思い 仕方なく、手間のかかるリセマラの準備に取り掛かった

        • 140字小説『「力及ばず申し訳ない」』

          「及ばずおじさん」という都市伝説がある 困っているとおじさんが現れて 「及ばずながら力になります」と助けてくれる しかし、「及ばずおじさん」の力で問題が解決できないと おじさんに見捨てられ、神隠しに合うらしい 私は今、女子トイレの個室で紙がなく困っていた トイレの外からおじさんの声が聞こえる

        140字小説「星に愛される男」

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        • 140字小説集
          27本
        • 有料作品
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        記事

          140字小説「無能な働き者の被害者」

          男は同僚の様子を見に病院へ来ていた 男の職場は常に多忙で、空き時間を作るのにとても苦労した だがどうしても、男は同僚の様子を確認したかった 男がたどり着いた病室には、怪我をしていても職場復帰に意欲的な同僚 疲れ切っている男は、同僚を再び背後から、殴り倒すことにした 「この状況が一番助かる」

          140字小説「無能な働き者の被害者」

          140字小説「変わらない散歩道」

          男は習慣で続ける散歩中 防護柵に結ばれた袋を見つけた 袋の中には何もなく、イタズラのように見える 男は袋が気になり、落ちていたペットボトルを袋に入れた 翌日 袋の中を確認すると、入っていたのは新品のペットボトル 男は散歩の度に、様々な物を袋に入れてみた 数日後 男は愛犬の遺骨を持ち、散歩道を歩く

          140字小説「変わらない散歩道」

          140字小説「暴力的ナンパ撃退法の加害者と被害者」

          女は紹介された男と目が合う 女はこの男があの時の男だと気づき、思わず拳を握る 他の男は覚えてないが、この男は瞳の色が自分と同じで、珍しく覚えていた 遅れて男も女に気づく 男は女の握られた拳に恐怖し、怯えで表情が歪む 互いの子供の変化に気が付かず、親は再婚を告げた これから女と男は義姉弟になる

          140字小説「暴力的ナンパ撃退法の加害者と被害者」

          140字小説「鉛筆」

          彼は身を削って仕事をする 時に心が折れ 時に道具として扱われた 同僚は彼のミスをフォローするが そのせいで同僚も身を削り、くたびれ、汚れていく 彼はミスを押し付ける自分は同僚から好かれていないと思っていた その上日々新人達との能力差を見せつけられる 彼は今後新人達に仕事を奪われていくと自覚した

          140字小説「鉛筆」

          140字小説「頭がよく舌の肥えた友人」

          男は友人に食事を振る舞いながら、なにか大会を開催して優勝したいと相談していた 騎士団の入団試験で、実績として大会優勝をアピールしたいようだ 友人は食事を取りながら考え男に助言を伝えた 男は助言を参考に大会を開催 そして苦難の末、優勝を勝ち取った その結果、男は無事騎士団に入団 調理当番として

          140字小説「頭がよく舌の肥えた友人」

          140字小説「浮気者の末路」

          男は昔から危険な目に合う直前、悪臭を感じていた 食べ物が腐ったような気分の悪くなる悪臭 嗅覚を頼りに悪臭を避けると対人トラブルも乗り越えることができた しかし今、男は恋人に追い詰められている 正面に座る恋人は微笑みを浮かべているが 恋人の手料理からは憎悪を煮詰めたような悪臭が漂ってきていた

          140字小説「浮気者の末路」

          140字小説「花瓶を持ったミイラ」

          美しい花瓶が売られている 店主曰く この花瓶はバラしか挿せず バラ以外を挿すと枯れるという 女はこの美しい花瓶を購入した 女は自室に飾った花からバラを花瓶に挿し直す バラは問題なく飾れた 女は好奇心に負け別の花も花瓶に挿してみる その花は枯れ バラだけが花瓶に残った 女は花瓶の中が気になり 指を入れた

          140字小説「花瓶を持ったミイラ」

          140字小説「前任者は300年努めた」

          男は「復讐の遺跡」にたどり着いた この遺跡は最奥に至ると復讐を完遂できると伝承が残っている 遺跡に侵入すると、半透明な番人が現れた 番人は男に近づき触れようとするが男の体をすり抜ける 男は番人を無視して、遺跡の奥へと立入った 「復讐の遺跡」は復讐を遂げた魂を常に一人だけ番人として囚えている

          140字小説「前任者は300年努めた」

          140字小説「半年で滅亡」

          古代予言が解読された 『黒髪の王族により王家滅亡』 王家は予言の内容を重く受け止め 王族に黒髪の赤子が産まれた場合、命を摘むと決めた 予言解読から数十年 王族に黒髪の赤子は生まれなかった しかし年々国力を落とした王家は 遠方の大国と縁を結ぶ為 王族同士の婚姻を決めた 大国から黒髪の王女が嫁いでくる

          140字小説「半年で滅亡」

          140字小説「迷宮のお腹を壊す方法15選」

          ある時、旅人は迷宮に呑み込まれた 迷宮は普段動かないが生きていて 入口に生物が近づくと無差別に呑み込む 迷宮に呑まれた旅人は 他の国で聞いた様々な迷宮攻略法を試す事にした 攻略法を試し、効果を日誌に書き込む 旅人は攻略法の中で 効果の高い方法を街で広める事に決めた そして旅人は迷宮から排出された

          140字小説「迷宮のお腹を壊す方法15選」

          140字小説「孫に見られるのは、流石に恥ずかしいのよ」

          当主の男は、明け方病院から帰宅した そして屋敷に飾っていた、若い婦人の絵画が消えている事に気がつく 亡き先代当主が若い頃に描かせて、大切にしていた絵画 妻も「こんなふうに愛されたい」と気に入っていた 病院にいる妻を思う 出産直後で心労をかけたくない 男は留守を頼んだ先代夫人に話を聞く事にした

          140字小説「孫に見られるのは、流石に恥ずかしいのよ」

          140字小説「別名ウグイス笛」

          鳥の歌声と呼ばれた幻の楽器があった その楽器の音色を聞かせれば、聞いた者がどんな性格かわかったという それは自分を殺そうとするのか、それとも助けてくれるのか、もしくは観察してくるのか 争いの絶えなかった時代 相手が敵対か中立か友好かが判別できた幻の笛は大変重宝されたという 「ホーホケキョ」

          140字小説「別名ウグイス笛」