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【読書ノート】65『DV・虐待・性暴力』特集


1.「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」上間陽子

2.「海をあげる」上間陽子

著者は沖縄で若い女性の実態調査を行っている琉球大学教授。本書は本屋大賞2021ノンフィクション大賞受賞作品。前作「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」は被害者少女たちの話だったが、このエッセイ集は著者自身を含む沖縄に住む女性・少女たちのことが綴られており、著者の細やかな感性とやさしや思いやり、そして弱者を生み出す土壌としての沖縄の風景が溶け合って独自の色合いを醸し出している。特に女性はぜひ読んで欲しい一冊。

3.「言葉を失ったあとで」上間陽子・信田 さよ子

DVや虐待、性暴力の被害者と関わり第一線で活動され続けている2人の非常に中身の濃い対談。内容は重く濃密であり学ぶことが多い。難解な個所もあるが、多くの人が知るべき内容。
*性暴力を「性依存」と言い換えることで加害性とジェンダーの問題が見えなくされている
*性暴力には新しい教科書が必要
*日本は欧米諸国に比べてまだ「加害者の更生プログラム」が未発達
*加害者の更生プログラムにおいては、彼らも過去被害者であったということを加害性より先に認識させてはいけない。これは、被害者性に気づかせることは意義があるが、加害を免責・免罪してしまうことにもつながる危険性があるため。
*宮台真司の援交論への違和感

4.「家族と国家は共謀する サバイバルからレジスタンスへ」信田さよ子

(2024年4月30日)


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