横浜中華街 2024

持続可能な開発、社会学、文化人類学、民族学、環境問題、BOP、貧困問題、平和構築、戦略…

横浜中華街 2024

持続可能な開発、社会学、文化人類学、民族学、環境問題、BOP、貧困問題、平和構築、戦略論、明治維新、日本近代史、太平洋戦争、中国、インテリジェンス、エネルギー問題、沖縄、基地問題、原発問題、核拡散、軍事、地政学、難民問題などに興味があります。宜しくお願い致します。

最近の記事

【読書ノート】 「情報生産者になる」 上野千鶴子(著)

著者は社会学者で東京大学名誉教授。フェミニズムの第一人者で多くの著書がある。本書は大学・大学院における論文の書き方を指南したもので、情報生産技術、知的生産の教科書とも言えるもので内容は濃い。「問いを立てる」「研究計画」「収集」「分析」「アウトプット」までの一連の過程を順を追って説明しており、どのように研究を進め「情報生産者」になるかを理解することが出来る良書。彼女の大学での講義が質の高いものであるかが窺い知れる内容。文系の大学生大学院生だけでなくアウトプットを行う全ての人にお

    • 【読書ノート】「Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界」

      著者は英国人でケンブリッジ大学で社会人類学を専攻し博士号を取得し、その後フィナンシャル・タイムズのジャーナリストになった異色の経歴の持ち主。(東京支局長として日本に滞在したこともある。)本書の原題は「人類学的視野」で2022年に出版。現在、グーグルなど始めとする欧米のハイテク企業は積極的に文化人類学者を採用しているが、これは人類学者は他者の心の中に入り込むことを学び、異文化を理解するだけでなく、インサイダー・アウトサイダーとして新鮮な視点で自らの環境を評価し、別の視野を得るの

      • 【読書ノート】「入門 開発経済学 グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション」山形辰史 (著)

        著者は立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授。題名が示すように開発経済学の入門書。大学の教科書のように開発経済学の重要な項目が一通り網羅されている教科書的な内容になっている。しかしながら、近年の国際開発やODAの在り方に対して鋭い批判的な目を向けており、特に国連のSDGsと日本政府の開発協力大綱に対しては極めて懐疑的な立場を取っている。貧困で苦しむ途上国の人々を支援するために本当に必要なことは何であるかを問い詰め吟味すること、これが本来の学者・研究者の行う仕事ではないかと

        • 【読書ノート】「復興〈災害〉――阪神・淡路大震災と東日本大震災 」(2014)

          10年ほど前に書かれたものだが、今回の能登半島地震を期に読んでみた。阪神淡路大震災(1995)と東日本大震災(2011)のケースをもとに日本の復興政策の弊害を述べている。残念ながら記載された内容は古くなっていない印象で、これは日本の災害・復興政策が進化していない証とも言える。 (2024年2月18日)

        【読書ノート】 「情報生産者になる」 上野千鶴子(著)

        • 【読書ノート】「Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界」

        • 【読書ノート】「入門 開発経済学 グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション」山形辰史 (著)

        • 【読書ノート】「復興〈災害〉――阪神・淡路大震災と東日本大震災 」(2014)

          【読書ノート】53 「家を失う人々」 マシュー・デスモンド

          本書は2016年に出版されピューリッツア賞をはじめ数々の賞を受賞した。原題は「強制退去:アメリカ都市における貧困と利益」。著者はプリンストン大学の社会学者で、アメリカの貧困層の住環境を調査するために、自ら貧困層のトレーラーハウスパークで生活して、家主と犯罪や様々なトラブルを恒常的に引き起こしている貧困層の借家人たち(ほどんどは有色人種)たちと交友を結びそれを記録したノンフィクション。借家人たちは常にお金がなくトラブルを起こしているために、頻繁に家主から強制退去をさせられ生活が

          【読書ノート】53 「家を失う人々」 マシュー・デスモンド

          【読書ノート】52「中村哲特集」

          私が今まで読んだり観たりしてきて中村哲医師に関する書籍やドキュメンタリー作品を簡単にまとめてみました。どれも中村氏の活動を理解する手助けになる素晴らしい内容なのでお勧め致します。 1.「アフガニスタンの診療所から」 (2005年)  もともと1993年に出版されたもので、題名とは異なり全体の3分の2ほどはパキスタンのペシャワールを拠点したアフガニスタン難民に対する医療活動の話で、その後国境を越えて移動して、アフガン内のダラエ・ヌールに医療拠点を立ち上げる過程が描かれている

          【読書ノート】52「中村哲特集」

          【読書ノート】51 「黄色い家」川上未映子

          2023年作品。初めて川上未映子の小説を読んだ。中年の主人公が未成年だった90年代を回想する形式で、恵まれない下層環境に育った未成年の主人公(ダメな母親、水商売、貧困家庭)が母の友人の黄美子と知り合い、生きていくために他の2人の少女と共に水商売やカード犯罪に身を投じていく話。読み安い軽妙な語り口だが重い内容。 細かい描写や心理はどれも非常にリアルで、著者は高卒でキャバクラなどで働いた経歴があるようなので、犯罪以外の部分は著者自身の青春時代の経験が反映されているのかもしれない

          【読書ノート】51 「黄色い家」川上未映子

          【読書ノート】50 「大震災’95」小松左京

          今日で阪神大震災発生から29年経った。95年の阪神大震災の際には73年に「日本沈没」を書いてベストセラーになった著者の所に問い合わせが殺到したそうだ。著者も長年神戸地域に居住しており、63歳の時にこの地震に被災した。本書は地震のルポだけでなく科学的見地に立った地震の分析や専門家らとの対談、またいくつかの提言が述べられており重厚で興味深い内容になっている。 動物を使った地震予測 客船による被災民の一時避難 首長による要請なしによる救助活動開始 様々な専門分野のデータベス

          【読書ノート】50 「大震災’95」小松左京

          【読書ノート】49「外国人差別の現場」安田浩一・安田菜津紀

          現在様々な場所で活躍しているジャーナリストの安田菜津紀氏、安田浩一氏による日本社会の「外国人差別の現場」のルポタージュ。今まで日本政府・入管などは外国人を社会の一員として認識せず「犯罪者扱い」してきた傾向が顕著であるが、入管が戦前の「治安維持」を行った特高警察の影響を受けた制度・施設であることは本書で初めて知った。政府の「管理」「監視」「排他」すべき「治安維持」の対象が戦前は社会主義者や共産主義者、無政府主義者だったが、現在は(難民を含む)外国人になっていることが良く理解出来

          【読書ノート】49「外国人差別の現場」安田浩一・安田菜津紀

          【読書ノート】48「私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット:中国の富・権力・腐敗・報復の内幕」デズモンド・シャム

          1921年出版。政府の有力者である温家宝元首相の妻に食い込み、「関係」(政府の大物たちとのコネ)を駆使し中国で巨万の冨を築いた筆者とその妻の回顧録。有名な政府高官が実名で登場し、彼らとその親族がどのように蓄財したのかがインサイダーの視点で語られる。中国の超上流階級である「赤い貴族」の都合や利権ですべてが運営され、法治主義がなく高官であっても簡単に粛清されてしまう有様が描かれている。以前読んだ「国際指名手配 私はプーチンに追われている」の中国インサイダー版のような感じで、独裁主

          【読書ノート】48「私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット:中国の富・権力・腐敗・報復の内幕」デズモンド・シャム

          【読書ノート】47「パンとサーカス」島田雅彦

          実は初めて島田雅彦の小説を読んだ。「小説・対米従属国家日本」といった感じの内容で、長いが読みやすいので一気に読める。ドラマ「VIVANT」のように、政治経済に関わる多少難解な題材を万人に理解できるようにマンガ的に解りやすく物語化している印象。筆者は職業小説家であるが、政治に対する意識も非常に高く日本国の現在の在り方(アメリカ隷属の現状と中国従属の可能性)について批判的な立場から長年深く考えていることが理解出来る。参考文献は添付されていなかったが、多分あの本やこの本を読んだので

          【読書ノート】47「パンとサーカス」島田雅彦

          【読書ノート】46「難民―行き詰まる国際難民制度を超えて」アレクサンダー・ベッツ & ポール・コリア

          本書の原著は2017年に出版され、今年翻訳されたものである。原題は「難民:破綻した難民制度を変革する」。著者のアレクサンダー・ベッツは強制移住と国際問題専門のオックスフォード大学教授、ポール・コリアはアフリカの開発経済学で有名なオックスフォード大学教授である。監訳は「難民を知るための基礎知識」などの著書がある滝澤三郎ら複数の大学教員による。本書は現在の世界の難民の概要や置かれた状況と現在の難民支援の在り方の問題点とそれに対処するための改善案などが盛り込まれた内容になっており、

          【読書ノート】46「難民―行き詰まる国際難民制度を超えて」アレクサンダー・ベッツ & ポール・コリア

          【読書ノート】45 「朝日新聞政治部」鮫島浩

          朝日新聞で長年勤務して「吉田調書」事件の当事者となった元朝日記者の自伝。題名は正確に言えば「朝日新聞政治部と特別報道部と「吉田調書」事件」といった感じ。重要な登場人物はすべて実名の内部告発ノンフィクションになっている。   前半では大手新聞社における政治部での仕事が描かれているが、このように「いかにして政治家と親密になり食い込むか」が勝負であれば、必然的にジャーナリズムである政治家批判などは難しくなることが良く理解出来る。   後半では特別報道部で自由に意義のある調査報道を行

          【読書ノート】45 「朝日新聞政治部」鮫島浩

          【読書ノート】44「水と原生林のはざまで」アルベルト・シュヴァイツァー

          アルベルト・シュバイツァーはドイツ出身の哲学者、神学者、医者で、アフリカのガボンでの医療等にその生涯を捧げ、ノーベル平和賞を受賞した。この本は1921年に出版されたもので、第一次世界大戦勃発前後の4年半にわたるガボンでの活動の記録である。意外なことに本書では現地で医療活動の詳細よりむしろ、ガボンの黒人社会の有様や彼らの生活、またそこに滞在している白人たちの木材ビジネス、キリスト教伝道の様子などの方に多くのページを割いている。今から100年ほど前の西アフリカの奥地の様子が生き生

          【読書ノート】44「水と原生林のはざまで」アルベルト・シュヴァイツァー

          【読書ノート】43 「危機の外交 岡本行夫自伝」

          ◆ 岡本行夫氏は外務官僚を務めた後、政府要職も数多く歴任。日本の外交政策に大きな貢献を行った著名人だがコロナで数年前に急逝した。この自伝では大戦中の自己の両親の話から始まるが、著者の父親が頑迷な農水省官僚で、戦時中は徴兵されロシア語を習得し満州のあの731部隊で勤務していたことを初めて知った。父親の話だけでもかなり読み応えがある。 ◆ 著者は非常にバランス感覚に富んだ外交官・政府官僚で以前から多くの人々から高く評価されてきたが、首尾一貫して「アメリカと日米安全保障が日本にと

          【読書ノート】43 「危機の外交 岡本行夫自伝」

          【読書ノート】42 「トランジション ――人生の転機を活かすために」

          1980年に出版され現在まで版を重ね読み継がれているロングセラー。このような人生の転機に関する本を初めて読んだので学ぶことが多かった。トランジション(転機)は変化と異なり、「終わり」「ニュートラルゾーン」「新たな始まり」により構成されており、多くの人が経験する。これはつまり通過儀礼であり、多くの神話でも描かれてきたこと。筆者はオデッセウスやオイディプス王など有名な神話を例に挙げて説明しており、様々なことが腑に落ちた。多くの人に読んで欲しい優れた内容。

          【読書ノート】42 「トランジション ――人生の転機を活かすために」