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#エッセイ

好きな自分を殺さないために

情景の温もりは浸っていたくなる。
肩まで浸かったぬるま湯のように、少し立ち上がっては直ぐに外の寒さに驚いて体を沈めたくなってしまう。
実家に帰る電車で田んぼが増えてくると、どこか安心している自分がいる。
窓の外を見れば、開けた視界と都会より高く感じる青空、きっと建物の背がすべて低いせいだろう。
田んぼ道の用水路なんかには子供がいて、もしかしたら過去の自分もいるんじゃないかと思い、どこかで探している

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月を見つけた瞬間が好き。でも人前で「月がきれいですね」と言わなくなった話。

月を見つけた瞬間が好き。でも人前で「月がきれいですね」と言わなくなった話。

月を見つけた瞬間が好き。
見つけた瞬間が好きなだけで、別に月に強い関心があるわけじゃない。

ずーっと眺めていたら結構はやめに疲れてくるタイプだと思う。
別に、月の構成物質も知らないし、裏側に誰が住んでいるのか興味があるわけでもない。

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見つけた瞬間だけが好き。
例えば、夜空に満月がこうこうと輝いているのを見つけてしまったらスルーできない。

絶対言いたい。
「月、超きれいだね!」
とか

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空にこんなにも言葉が溢れてくるのだから

空にこんなにも言葉が溢れてくるのだから

ふわり、と起きれた。
こんな日は誰かに手紙を書きたくなる。

昔のことを思い出す。淡々と流れる時間をなぞったかと思ったら、心臓がどきりと沈む言葉を投げかけたり。昔を思い出すとはなかなか重い。どうしてふわりとした気持ちは風といっしょに空気へ浮かんでいってしまうのか。暗い気持ちほど重く胸に残るのか。

そんな思いがさらりと香る、朝の電車に木漏れ日がきらり。吸い込まれるようにずんずんと進む綺麗なガタンゴ

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