#連続短編小説
西瓜の季節(季節の果物シリーズ⑧最終話)
あなたからの手紙を読んでから、僕はあなたの気持ちを尊重し、あなたへ連絡をする事はしなかった。
というのは自分をごまかす為の嘘だ。
僕があなたへ連絡をしなかったのは、あなたへかけるべき言葉が思いつかなかったからだ。
暫くの間、理解できないでいる答えを探し、ぶつけどころのない怒りを抱えながら、悶々とした日々を送っていた。
7月の中旬まで、その時期の天気と同じようにじめじめと自分の殻に閉じ籠ったあと
枇杷の季節(季節の果物シリーズ⑦)
あなたが山梨の実家に戻って、始めのうちはあなたからのメールや電話があった。
主な話の内容は、農作業の大変さとやりがいについてだった。
4月の後半のメールで、桜桃の木の花が満開になったのでもう少ししたらサクランボの実が生り始める、という報告があって以来、あなたからの連絡は来なくなった。
こちらからメールを送っても既読にすらならない、電話をしても出ないという状況が続いた。
あなたはサクランボの実