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季節の果物シリーズ

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僕とあなたとの季節の果物を交えた恋愛連続短編集
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#連続短編小説

西瓜の季節(季節の果物シリーズ⑧最終話)

西瓜の季節(季節の果物シリーズ⑧最終話)

あなたからの手紙を読んでから、僕はあなたの気持ちを尊重し、あなたへ連絡をする事はしなかった。
というのは自分をごまかす為の嘘だ。
僕があなたへ連絡をしなかったのは、あなたへかけるべき言葉が思いつかなかったからだ。

暫くの間、理解できないでいる答えを探し、ぶつけどころのない怒りを抱えながら、悶々とした日々を送っていた。

7月の中旬まで、その時期の天気と同じようにじめじめと自分の殻に閉じ籠ったあと

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枇杷の季節(季節の果物シリーズ⑦)

枇杷の季節(季節の果物シリーズ⑦)

あなたが山梨の実家に戻って、始めのうちはあなたからのメールや電話があった。
主な話の内容は、農作業の大変さとやりがいについてだった。

4月の後半のメールで、桜桃の木の花が満開になったのでもう少ししたらサクランボの実が生り始める、という報告があって以来、あなたからの連絡は来なくなった。

こちらからメールを送っても既読にすらならない、電話をしても出ないという状況が続いた。

あなたはサクランボの実

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苺の季節(季節の果物シリーズ⑥)

苺の季節(季節の果物シリーズ⑥)

あなたが大学を卒業し、あと数日で実家の山梨に戻るという3月の初旬、あなたが以前から行きたいと言っていた久能山へ二人で登ることになった。

久能山は僕の実家から西へ20分ほど歩いた海岸線にあり、石を並べて作られた階段を上がって行くと、徳川家康公ゆかりの久能山東照宮に辿り着く。

東照宮までの階段を2/3ほど登ったところから見える、輝く海の景色は正に絶景だ。

頂上の東照宮までは45分ほどで着いた。

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蜜柑の季節(季節の果物シリーズ⑤)

蜜柑の季節(季節の果物シリーズ⑤)

大晦日、僕は実家に帰った。
その日は両親と一緒に地元の市場でマグロやイクラやスルメイカやらを買い、近所の蕎麦屋で年越しそばを食べて帰宅した。

解凍したマグロを肴に日本酒を呑みながら紅白歌合戦を観ていると、父から将来の事について訊ねられた。
そろそろ仕事のことや、実家に戻るかどうかなど、決めておかなければならない時期だとはわかっていたが、まだ何も決められずにいた。
父は自分の好きなようにすればいい

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栗の季節(季節の果物シリーズ④)

栗の季節(季節の果物シリーズ④)

あなたが東京から帰った2日後、あなたから電話が来た。

「この間の君の様子が気になって、帰りの高速バスの中でも夜眠る時も、それから昨日大学で授業を受けている時だって、ずっとずっと君のことが頭から離れなかったんだからね」

あなたは怒ったような口調で話していたが、本当に責めている訳ではないことくらいは鈍い僕でもわかった。

「だから私への償いとして今週末、静岡に来なさい」

あなたへはバイトの予定が

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無花果の季節(季節の果物シリーズ③)

無花果の季節(季節の果物シリーズ③)

「ねえ、イチジクって夏に実がなる種類と秋に実がなる種類があるのって知ってた?」

僕に質問しながら、あなたはイチジクの皮を片側半分だけ剥き、テーブルの上にティッシュを引いてその剥けた皮を律儀に並べていた。

「知らなかった」

「夏に実がなるのを夏果専用種って言って、それが6月から8月頃で、秋果専用種は8月から11月くらい。夏果の方が実が大きくて、秋果の方が甘いのよ」

「へー、さすが果物農家の娘

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葡萄の季節(季節の果物シリーズ②)

葡萄の季節(季節の果物シリーズ②)

お盆のあとも僕とあなたは朝の海岸で会っていた。
台風が来て2日間会えなかった時には、もうあなたに会えなくなるのではないかと心配したが、翌日にはちゃんとあなたは来てくれた。

台風の影響で砂浜にうちあげられた流木や、様々な人間が作り上げたゴミを二人で拾い集め、一ヶ所に纏めながら話をしたね。

「ねえ、私ね、今度、山梨の実家に遊びに帰ることになったんだけど、君も一緒に来ない?」

もちろん快諾したさ。

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