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仏教ってなに?

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世の中で、良く分からないものの代名詞と言っても過言では無い物の一つが仏教であると言えます。 専門家による解説本も多数出ていますが、どれも分かったようで分からないものが多いようです… もっと読む
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#仏教

動物倫理及び環境倫理の背景思想としての仏教の可能性

動物倫理及び環境倫理の背景思想としての仏教の可能性

         <ENGLISH>

 今回は、仏教が今後の人類社会に対して果たしうる役割について考察した学術論文をアップする事にします。論文なのでちょっと長いですが、お時間のある時にでもじっくり読んで頂ければ幸甚です。

目  次

序 章

第1章:欧米で生まれた「動物倫理」と「動物福祉」政策の世界的な広がり

第2章:同時期に生まれた「環境倫理」とその課題

第3章:仏教における不殺生戒と

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仏教ってなに? 応用編ー4−1       (如来ってなに?)

仏教ってなに? 応用編ー4−1  (如来ってなに?)

自分の無力さを徹底的に自覚する事によって、自分を脱却する道

 先に見てきたような阿羅漢の道も菩薩の道も相当の覚悟と信念を必要とする道であり、誰にでも出来るとは言いがたい面があります。
 そこで、後の時代になると、これは仏教だけの話ではなく、世界的な広がりを見せた宗教的な潮流なのですが、人々を救済しようという大いなる意志を持った超越的な存在に、自分の全てをお任せして救って頂こうという信仰形態が興隆

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仏教ってなに? 応用編ー3            (菩薩ってなに?)

仏教ってなに? 応用編ー3  (菩薩ってなに?)

菩薩

 先にご説明した阿羅漢のように、自分の修行に専念して出来るだけ早く涅槃に入ろうとするのは、基本的には自分という妄想から脱却するための一番直接的な方法であると言えます。だからこそ、釈尊も最初から弟子になった人々にそういう方法を教えられたのだと思います。また、基本的に自分という存在が本当のものごとのあり方を知らない無知により妄想されたものであるならば、その自分と対比して妄想されるに至った多くの

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仏教ってなに? 応用編ー1

仏教ってなに? 応用編ー1

自分を脱却する為の複数の道

 基礎編では釈尊が説かれた基本的な教えを概観致しました。ここからは、それら釈尊の基本的な教えが、その後どのように受け止められ、実践されてきたかを見ていきたいと思います。
 基礎編の最後の方でご説明致しましたように、中道を知らない無明(無知)に囚われた人は、自分という一つの視点を設定し、その自分という視点を設定することによって、自分以外の多数の他者を仮構することになり、

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仏教ってなに? 基礎編ー10          (諸行無常・諸法無我の本当の意味)

仏教ってなに? 基礎編ー10  (諸行無常・諸法無我の本当の意味)

諸行無常・諸法無我

 そもそも何故、諸行無常と言うのでしょうか?一般的には「諸行とは縁起によって生じたもの、つまり、様々な現象すべてのこと」というような説明がされていますが、より厳密に言葉を検証して行くと、諸行の「行」とはサンスクリットでsaṃskāraと言うことばで本来の意味は「潜在的な形成力」というような意味です。仏教的には、十二因縁の所で出てきた「無明」の次に来る決定的に重要な要素で「行」

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仏教ってなに? 基礎編ー9

仏教ってなに? 基礎編ー9

無常・無我

 「無常」と言えば、仏の教えを代表する言葉の1つであるとみなされています。よく「縁起によって生じたものは無常であり、無常であるものは無我である。」と言う風に言われ、その説明として「原因と条件によって生じたものは、常に変化するものであり、そのような変化するものの中に、不変の実体を見出すことはできない」などと説明されています。
 そのような説明だけを聞くと、多くの人は「そりゃ当たり前でし

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仏教ってなに? 基礎編ー8              (蛇足な解説)ー飛ばしても可ー

仏教ってなに? 基礎編ー8  (蛇足な解説)ー飛ばしても可ー

三転十二行相

 釈尊は先の4つの真理(四諦)を説かれる際に、3段階に分けて、実践的に説かれたそうです。その3段階というのは
1. なるほどそうだったんだ!と納得する段階
2. 実際にやってみるか!と自分でやってみる段階
3. 確かにそうだった!と自分で実体験として確認する段階
というもので、4つの真理を3段階で説いたことから4x3=三転十二行相と言われています。
 このようにして釈尊は5人の友人

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仏教ってなに? 基礎編ー7 (中道と四諦・八正道)ーここが本当に分かれば仏教の根本が分かりますー

仏教ってなに? 基礎編ー7 (中道と四諦・八正道)ーここが本当に分かれば仏教の根本が分かりますー

初めて伝えた内容

中道

 釈尊が悟った内容を最初に伝える相手として選んだ人達は、かつて自分と一緒に修行していた仲間でした。その時の修行とは「苦行」と言われるもので、とことんまで自らの肉体を痛めつけることによって精神を研ぎ澄まそうとするものでした。
 釈尊はそのような「苦行」では最高の悟りを得ることは出来ないことに気付いて、苦行を止めて、やせ衰えた肉体の回復に努めて、その後に最高の悟りを得ること

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仏教ってなに? 基礎編ー5

仏教ってなに? 基礎編ー5

十二因縁

 これまで拘ってきた「自分」というものは、本当の事を気づかなかった、知らなかった「無知」によるものであり、その「無知」(これを仏教用語では「無明」といいます。) を一番の根本原因として、架空の「自分」を作り上げようする自他分離(自分とそれ以外のものを分離しようとする)「働き」(行) が生じ、そのような自他分離の働きによって作られたものを「識別する作用」(識)が生じ、その識別作用によって

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仏教ってなに? 基礎編−4

仏教ってなに? 基礎編−4

悟りの内容

 それでは、釈尊が悟ったという物事の本質的なありようとはどのようなものだったのでしょうか?釈尊は自分のこころの在り方をじっくり観察するところからスタートしました。自分とは一体誰なのか?何が自分の本質なのか?本当の自分はどんなものなのか?などについて、ずっと観察していると、結局、本当の自分など何処にも居ないことが分りました。あるのはただ「自分」という思いだけでした。自分の存在を根拠づけ

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仏教ってなに? 基礎編−3

仏教ってなに? 基礎編−3

仏(釈尊)は何を悟ったのか?

どうやって悟った?

 先にも述べたように、釈尊は自分の内面世界をとことん探求して、ついに、ものごとの本質的なあり方を完全に把握するに至りました。何故、内面世界を探求して宇宙のあり方の事まで分かるのかというと、私たちが外に広がっていると思っている広大な宇宙は、実は私たちの内側に広がっている世界であると仏教は考えるからです。
 この基本的なことが分かっていないと、いく

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仏教ってなに? 基礎編−2

仏教ってなに? 基礎編−2

悟りってなに?

 仏教は、その名の通り仏の教えであります。
 したがって、仏教とは何かを知るには、先ず、仏とは何かを明らかにしておく必要があります。
 その仏として仏教を有史以来最初に説かれた人が一般にお釈迦様と言われている人です。
 そのお釈迦様の本名はゴーダマ・シッダルダという名前でした。彼は今から2500年程前に現在のインドとネパールの国境近くで釈迦族という部族の王子として生まれたと言わ

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仏教ってなに? 基礎編ー1

仏教ってなに? 基礎編ー1

 このシリーズは日頃「仏教ってなに?」って思っている人達に、仏教の本質について、誰にでも分かるように解説することを目的に開設したものです。
 と言っても、巷にあふれる仏教の入門書や解説本、又は簡単なところではWikipediaにでてくるような、ありきたりであるが故に今ひとつよく分からない解説を繰り返すつもりはありません。
 仏教の入門書やWikipediaの説明が何故解ったようで今ひとつよく解らな

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