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#ショートストーリー
きっと貴女は遠くで泣いているから
当たり前が当たり前じゃ無くなった。失って気付く幸せなんて、よく分からなかったけれど、突然目の前に現れると大きさに自覚的になってしまう。僕はきっと傲慢で、無頓着だ。
「今年の花火大会、中止らしいよ」
電話口で彼女は寂しそうな声を漏らした。今年の春に上京した彼女は、地元に残っている僕よりも地元のことに詳しかったりする。不思議な感覚に陥るけれど、軽いホームシックのようなものに苛まれているのだと勝手に
空虚な目をして何を思う
何故、自分自身に満足できないのだろうか。
ベッドの上に身体を預け、ぼんやりと考えてしまった。考えてしまったら最後、僕は設問を解くために腐っている脳みそを動かして答えを探してしまう。泥沼に嵌まったような時間だ。精神的にも追い込まれる。考えている間は設問にばかりに意識がいく。無意識で緊張する身体はこわばっていく。結果的に疲弊して、せっかくの休日が過ぎ去ってしまうことを分かっていながら、僕は答えの見