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2022年のキーワードは「声」。ファン・サポーターの熱量を上げるために書き綴ってきたこと



2022年は、スポーツ業界にとって、スポーツを応援するファンにとってどんな1年だったのだろう。

それを振り返る上で、自分の中で軸になっていることを1年前に書いていた。



ファンベースという考え方がある。
ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や事業価値を高めるという考え方だ。
ここで言うファンとは、企業やブランドが大切にしている価値を支持してくれる存在。
その根底にあるのは、共感・愛着・信頼と言ったファンの感情だ。
ファンの感情を知ること。ファンの熱量を高め、広げていくこと。
まさに自分自身のライフワークとなっている。

人々の生活も大きく変わり、社会としての変動も大きかった近年。
スポーツ業界にとっても、大きな節目になるはずだった東京オリンピックも終わってしまった。

このnoteでは、Jリーグ開幕以来ずっと応援している浦和レッズのことや、以前、公式ファンサイトでキュレーターをさせていただいたJリーグやスポーツ全体のことを書き綴っている。



そこでは、こんなことも書いていた。

応援するファン・サポーターの熱量を上げるためには、どうしたらいいか。その熱量が上がるトリガー(引き鉄)は何かということを深く考えるようにもなってきた。

そこで、ファン・サポーターの熱量が上がる瞬間を探るために、まずは自分が浦和レッズの存在を無二のものと感じるようになった体験を思い出し、そこで何が起こっていたのか、そこで心はどう動いたかを自分なりに紐解いていきたい。


この1年間でファン・サポーターの熱量を高めるために書き上げた記事は25本。

だいたい2週間に1本程度のペースで書いている。


この1年全体を通して感じたのは、「声」に関する記事の多さだ。




声出し応援ができない中、ファン・サポーターなどうしていたのか。
少しずつ、声出し応援が緩和されていく中で感じた喜びとは。
サポーターの声の素晴らしさとそのチカラ。
世界中を熱狂の渦に巻き込んだカタールワールドカップ。


今日は、自分が書き綴ってきた「2022年の声」から特に熱い想いが込められている記事を10本を選び、みなさんと一緒に振り返ってみたいと思う。



★2020年、2021年に書き綴ってきたことはこちら





❶2022年3月(原さんの言葉)
👉多くのサポーターにぜひ見てもらいたい。原さんのJリーグTV最終回がかなりファンベースだったので

番組もいよいよフィナーレ

原さんからは、この後何をするのかの質問に対してこんな言葉が出ていた。
「お金じゃなくて、自分が必要とされることお役に立てることができればいい」
こんな素敵なセリフをさらりと言える姿はかっこいいし、自分もそういう人間になりたいと心から思う。
もちろん、原さんはスタジアムにも来てくれるらしい。
(村井チェアマンと温泉に行くみたいな話もあった)

この番組は多くのファン・サポーターたちが見てくれているみたいで、コメント欄は感謝の言葉でびっしりと埋まっていた。
このファンとの距離を縮め、同じ方向を向かせてくれたのは原さんの大きな功績だと思う。
この後、新体制のJリーグに切り替わるけれど、このファン・サポーターを大事にし、その共感・愛着・信頼を増やしていくこと。そして共に未来の価値を創出していくことを続けて欲しいと思う。

原さん、どうもありがとうございました!





❷2022年5月(声出し応援の是非)
👉雨上がりのスタジアムで、声出し応援の是非を問う


前回も書いたけれど、試合中の声出し応援は以前から行われていて改善されていない。

クラブとしては、毎試合、試合後にアンケートを取っているので認識しているはずなのに、対策をしているように見受けられない。

一部のサポーターの中では、海外ではすでにチャントを歌っているだとか、チャントが影響するという科学的なエビデンスがないから歌ってもいい。
など、擁護をする声も出てたりするけれど…


でもね。
スタジアムは、治外法権の場所じゃない。
多くの人が互いにルールを守りたって、安全に試合を観戦する場所。熱く応援している自分たちが特別だから、自分たちの方が正しいからという理屈を盾にして、思考を止めてしまうのは、本当に危ないことだと思う。
また、ルールを守れないことに関しては、クラブ側も毅然とした態度を取らなくてはならないと思う。

ルールを守れないクラブでプレーをしたいと思う選手がいるのか?
未来のサポーターである子供たちが観戦に来たいと思うのか?
スポンサー企業のイメージを下げてしまっていないのか?

短期的には、クラブを応援している行為と正当したくなるかもしれないけれど、中長期的にクラブに不利益を与えてしまう行為になっていないだろうか。
自分も含め、クラブやサポーターが真剣に考えるべき場面なのかもしれない。






❸2022年5月(声のチカラが勝利につながる)
👉浦和レッズが初めて勝利した29年前の5月29日。スタジアムに「大ハンドコール」が沸き起こった

スタジアムのざわつきはますます大きくなる。

このまま試合が再開されては、絶対にいけない。そんな気持ちがサポーター達の中で出たのだろうか。
なんとスタジアムが一体となって
「ハンド、ハンド」
と大ハンドコールを始めたのだ。
このハンドコールをバックに審判団の協議は続く。

そして、主審が笛を吹いた。
結果は、ハンド!

なんとゴールは取り消されたのだ。
「うぉー、やった!まだいけるぞ。」
浦和サポーターの応援が一気にヒートアップしていく。

この部分について、参考にした浦和レッズのオフィシャルサイトのコラムではこのように書かれている。

トラップ時にハンドがあったとして、取り消される一幕もあった。

さらっと書かれているけれど、ハンドの取り消しは実際にあった。やはり自分の記憶は間違っていないようだ。このことが、実際のスタジアムで起きていたのだと確信に近いものが持てるような気がした。






❹2022年6月(コアファンについて深く考える)
👉サポーターは「クレーマー化したコアファン」になってはならない

冒頭にも少し書いたけれど、「コアファンの暴走」について、先日、キングコングの西野さんがこのようなことを書いていた。 
(別の業界についての話だけど、サッカークラブにあてはまることも多い)


>これこそが、前々から言っている「クレーマー化したコアファン」あるいは「店を殺す古参」なんですけども、まぁ、本人は良かれと思ってやっているので、自分が「クレーマー」になっている自覚もなければ、「店を殺す古参」になっている自覚もない。
で、これ、本当に気をつけた方がいいのが、業界が痩せていくと、「コアファンに支えてもらっている」みたいな状態になって、気がついたら、業界のお客さん全員がクレーマーみたいになっていることがある。
芸能の歴史を見ると、消滅した芸能の最後は、必ずその状態になっているんです。
「あそこと絡んだら、クレーマーが面倒臭いから、絡むのは辞めておこう」という。新陳代謝が起きていない業界は、裏で、この会話が必ず交わされている。


コアファンは、自分たちでは良かれと思ってやっているのでクレーマーになっている自覚がない。
そして、そのクレーマー化したコアファンを運営側が大切にすればするほど、周りがどんどん離れていくということらしい。
深く考えさせられる内容だ。






❺2022年7月(声が出せないからこそ)
👉だから今こそ、スタジアムに行こう

特に、素晴らしかったことがある。

逆転を許した後のスタジアム全体から
「前を向け!」
「これからだ」
という想いをのせた、大拍手が起こった。

声は出せないけれど、熱い想いを伝えられる。
共に闘おうとする。これこそが、浦和レッズサポーターの本当のチカラだと思う。

試合は、その後同点に追いつき、圧倒的に攻めながらも引き分けに終わった。優勝という2文字がかなり遠くなり、逆に降格圏との差が縮まるということとなった。
あと一歩、ゴールまであと数センチのところがどうしても届かない。
本当にもどかしいし、苦しい状況になっている。
こんな時こそ、サポーターのチカラが欲しい。
声が出せない状況だからこそ、熱い拍手が欲しい。
これから、本当に暑い季節になる。
スタジアムを駆けまわる選手たちを励まし、勇気づけるのはサポーターの応援でしかない。

だから声を大にして言いたい。
「今こそ、スタジアムに行こう」






❻2022年8月(サポーターのチカラふたたび)
👉浦和レッズを劇的勝利に導いた「15年前の死闘」の記憶 (2022 ACL準決勝観戦記)

ウラワレッズー
ウラワレッズー
プライド オブ ウラワレッズ!
延長後半、残り4分。
全北現代に失点を許した絶体絶命の瞬間、勝負を賭ける応援歌がスタジアムに鳴り響いた。

アジアチャンピオンズリーグのノックアウトステージ準決勝 全北現代vs浦和レッズ。
東地区の代表を決めるための最重要な試合だ。
試合は90分を終えて、同点。
延長戦へ入る。
1点を争う激しい攻防が続いていた。

しかし…
延長後半11分、全北にゴールを許してしまう。
あまりにも痛い失点だった。

疲労もピークの時間での失点。
選手もサポーターも気落ちし、集中を切らしてもおかしくない、そんな状況だ。

ところが…
浦和レッズのサポーターは、まったく諦めていなかった。
失点した瞬間、なんとPRIDE OF URAWAを歌い出したのだ。この歌は、勝負をかける時や勝利を確信した時に歌われる特別な歌。

この状況の中、スタジアムにいるサポーター全員が勝利を諦めていなかったのだ。
スタジアムを包んだその熱気は選手の気持ちを奮い立たせ、最後まで戦いを諦めない強力なチカラとなった。

そして奇跡が起こった。
延長後半15分、試合終了ギリギリのところで劇的な同点ゴール!
スタジアム中のサポーターの想いがボールに乗り移ったような、気持ちで押し込んだゴールだった。

うぉぉぉぉ

スタジアムの熱狂は最高潮に上がった。






❼2022年11月(最終戦でサポーターが発した声)
👉サポーターの総意ではない。でも理解できるところもある


満員だったゴール裏に人がいない…
今季の不甲斐ない戦いに対して、ゴール裏のサポーターたちの多くが最終戦のセレモニーをボイコット。
スタジアムの席から退出していった。
(もちろん残っているサポーターもいたけれど)

クラブ側にブーイングするよりかは、スタジアムにサポーターがいないということで、抗議をしようという意味だと思うけど…

浦和レッズの立花社長の挨拶の時は抗議を伝えるとして行ったのなら意味があるのかもしれない。

でも、正直言うと…
この2年間、クラブのために戦ってくれたリカルド監督の挨拶の時にはサポーターたちに戻ってきて欲しかった。
クラブのために闘ってくれた選手たちには拍手をしに戻ってきて欲しかった。
選手とクラブとサポーターがバラバラになってしまうのは、何としても避けたい。
互いに歩み合うところ、大人になるところはありそうだ。

とは言え、ポジティブに捉えられるところもあったので伝えておく。





❽2022年11月(時に奇跡が起こる)
👉2000年11月19日 (J2最終節)浦和レッズ史に残る奇跡の試合を綴ってみた

まもなく始まるカタールワールドカップ。
世界中が熱狂の渦に飲み込まれるフットボールの祭典の前に…
日本のJリーグのスタジアムで起きた熱狂の記録をまとめておこうと思う。
・・・・・・・・・・・・・・・


浦和レッズを応援して30年。
シーズチケット歴も25年になるので見てきた試合も何百試合になったのかもうわからない。


30年間見てきた試合の中で、本当に印象に残っている試合を1試合だけ、本当に熱かったゴールをひとつだけ選べと言われたら…
かなり迷ってしまうけれど…


自分は22年前の今日11月19日の試合とそこで決まったゴールを選ぶだろう。






❾2022年11月(森保監督の言葉)
👉23年前の11月27日。世界一悲しいVゴールの後に、森保一(現日本代表監督)が福田正博にかけた言葉とは

哀しみにくれる福田選手を抱きしめたのは、対戦相手だった森保一選手だった。

そう。
23年後にカタールワールドカップを闘う日本代表を率いている森保監督のことだ。

森保選手は、福田選手を抱きしめてこう言葉をかけてくれたらしい。
「また、来年、上がってくればいいじゃないですか」
福田選手は、この言葉を聞いて涙が止まらなくなってしまったらしい。
このエピソードだけでも、当時から森保監督は相手を思い、気遣い、その場面場面で言葉をかけられる人だったのかと思われる。


そして、その言葉のとおり、1年後に浦和レッズは同じ最終戦でギリギリだったけれどJ1へ復帰をすることになった。





❿2022年11月(世界中を熱狂させる)
👉日本代表劇的勝利!noteの世界でもワールドカップが盛り上がってきたぞ

「ほら、思っていたとおりじゃないの!」
「日本が勝つと思っていたんだ」

そんな声が、日本中のあちらこちらで聞こえてきそう。
そんな嬉しい木曜日となった。
ワールドカップカタール大会で、我らが日本代表が強豪ドイツを撃破し初戦を勝利で飾ることができたのだ。


えっ!?
手のひらを返したみたいに何を言ってるのかだって。


ぜんぜん、そんなことないですー
開幕3週間前に書いた記事の中でも、グループリーグは突破は当たり前で、なんと日本代表が決勝戦まで進んだ場合のスケジュールまで共有しちゃったのだ。



★2022年のまとめ


こうやって振り返ってみると、いろいろなことを書いてきたなあと。


「声出し応援ができない苦しさ」
「ルールを守ることの大切さ」
「サポーターの声が起こしてきた奇跡」
「熱狂のスタジアムの尊さ」

やはり「声」がキーワードになっている。


どれも、この2022年だからこそ書けたことなのかもしれない。

ファン・サポーターの熱量を高め、熱狂のスタジアムを取り戻していくために、2023年もいろいろ書き綴っていこう。

1年間、ありがとうございました!





今回、紹介できていない記事はこちらにまとめてあります。



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